アミューズ4301の2027年3月期1Q決算は営業利益△90.6%も、前年の星野源・サザン大型ツアーの反動減が主因。福山雅治ドーム追加公演、IVE招聘、映画「国宝」、大泉洋、BABYMETALなど所属タレント動向から決算の中身を読み解く。

2026年8月13日木曜日

企業決算

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【アミューズ決算】営業利益9割減も中身は"反動減"、福山雅治ドーム・IVE招聘・映画「国宝」…所属タレント総動員の1Q決算を読む

【アミューズ決算】営業利益9割減も中身は"反動減"、福山雅治ドーム・IVE招聘・映画「国宝」…所属タレント総動員の1Q決算を読む

2026年8月13日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab

⏱ 30秒で読む結論

アミューズ(4301)の2027年3月期第1四半期(4-6月)は、営業収入176億49百万円(前年同期比△22.1%)、営業利益3億35百万円(同△90.6%)と大幅減収減益。ただし前年1Qはサザン・星野源の大型ツアーが集中した特殊な高水準期で、今期は福山雅治のドーム追加公演やIVE来日公演があってもその反動を埋め切れなかったのが実態。通期予想は5月公表分から据え置きで、営業利益進捗率は16.8%。7月末には自己株式93.5万株を消却済み。

2026年熊本地震(令和8年熊本地震)により、多くの尊い命が失われましたことに深く哀悼の意を表します。また、被災された皆様、そしてご家族・ご関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早く皆様が平穏な日常を取り戻せますよう、被災地の復旧・復興を心からお祈りいたします。

1|アミューズとはどんな会社か

株式会社アミューズ(東証プライム4301)は、福山雅治をはじめ数多くの俳優・ミュージシャンが所属する大手芸能事務所。代表取締役会長兼社長は大里洋吉氏。事業はコンサート・イベント興行を中心とする「イベント関連事業」、音楽原盤・映像権利や配信・放送関連収入を扱う「音楽・映像事業」、タレントの出演料やCM制作収入を扱う「出演・CM事業」の3セグメントに、新規事業やIT支援等の「その他」を加えた構成。一般的な製造業やIT企業と異なり、所属タレントの大型ツアー・映画・ドラマ出演の有無によって四半期ごとの業績が大きく振れやすい「タレント依存型」の収益構造が特徴で、決算を読む際は財務数値と同じくらい「その四半期に誰が何をしていたか」が重要な意味を持つ。

2|主要決算ハイライト(前年同期比)

2026年8月13日、アミューズは2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月、連結)決算を発表した。主要指標はいずれも前年同期比で大幅な減収減益となった。なお同社は主要証券会社によるアナリストカバレッジが確認できない銘柄であるため、本記事では前年同期比・通期予想比を中心に評価する。

指標 2027年3月期1Q 2026年3月期1Q 増減率
営業収入 176億49百万円 226億57百万円 △22.1%
営業利益 3億35百万円 35億54百万円 △90.6%
経常利益 4億20百万円 35億40百万円 △88.1%
親会社株主に帰属する四半期純利益 1億30百万円 23億47百万円 △94.4%

経常利益は為替差益の計上でやや下支えされたが、純利益段階では前年の投資有価証券売却益の反動剥落と固定資産売却損の計上が重なり、減益幅がさらに拡大した。

3|セグメント別・所属タレント動向

なお当第1四半期より報告セグメントの区分を見直し、従来「イベント関連事業」に含めていた新規事業・IT支援・顧客対応等を「その他」区分に切り出している。以下は変更後の区分に基づく。また、セグメント別の営業収入・利益の数値は決算短信補足資料ベースの開示による。

🎤 イベント関連事業(営業収入107億89百万円、△31.3%/セグメント損失1億29百万円)

前年1Qは、サザンオールスターズの全国ツアー「LIVE TOUR 2025 THANK YOU SO MUCH!!」(全13カ所26公演)と、星野源の約6年ぶりの全国ツアー「Gen Hoshino presents MAD HOPE」の日本公演(7会場14公演、うち埼玉・大阪などが会計期間に該当)、さらにブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」といった大型興行が重なった、いわば"当たり年"だった。特に星野源のツアーは全公演がチケット発売と同時に即日完売しており、この反動減の大きさが今期の落ち込みに直結している。

今期の増収要因としては、福山雅治の全国アリーナツアー「WE'RE BROS.TOUR 2026 龍、雷乃発声」(1~4月、全13カ所28公演)と、韓国発ガールズグループ・IVE(STARSHIPエンターテインメント所属)のワールドツアー「SHOW WHAT I AM」日本公演(4月・京セラドーム大阪2days、6月・東京ドーム)を招聘したことが挙げられる。IVEは自社所属タレントではなく、アミューズが日本公演の主催・招聘を担う形。福山雅治については、四半期をまたぐ形で8月にも東京ドーム2days(8/5-6)・京セラドーム大阪2days(8/22-23)を追加開催しており、デビュー35周年関連の大型興行が下期にかけても続く見込み。

利益面では、大型ツアー案件に伴う制作経費の減少や経費コントロールにより営業費用自体は前年同期比で減少したが、減収の影響がそれを大幅に上回り、セグメント損失(1億29百万円)に転落した(前年同期は28億89百万円のセグメント利益)。

🎬 音楽・映像事業(営業収入40億70百万円、△3.1%/セグメント利益3億48百万円、△52.1%)

増収要因としては、吉沢亮・横浜流星主演の映画「国宝」の劇場配給収入等の分配金収益計上が挙げられる。同作は2026年2月に国内興行収入200億円を突破し、実写邦画として史上初めて大台に乗せたほか、歴代興行収入ランキング(興行通信社調べ)で「ハウルの動く城」を抜き歴代10位に浮上する社会現象級のヒットとなった。6月6日からはPrime Videoで独占見放題配信を開始し、配信映画ランキング1位を獲得。6月11日には一部劇場を除き全国的に終映を迎えている。あわせて、大泉洋の「生誕50周年記念!!大泉洋リサイタル」Blu-ray・DVD(4月3日発売、前年12月~2月に全5都市・日本武道館含め計約1.3万人を動員した公演を収録)の売上も増収要因となった。

一方で、サザンオールスターズ関連の印税収入の減少や、大型コンサートツアーに伴うライブ・ビューイング売上の減少が響き、営業収入は微減。セグメント利益は連結子会社における番組制作原価等の営業費用増加も重なり、前年同期比で大幅な減益となった。

📺 出演・CM事業(営業収入23億20百万円、+16.2%/セグメント利益3億46百万円、△13.7%)

3セグメントの中で唯一の増収となったのがこの出演・CM事業。星野源、BABYMETAL、福山雅治、深津絵里らに係る出演料収入の増加が主因とされている。BABYMETALは結成15周年イヤーにあたり「WORLD TOUR 2025-2026」を継続中で、6月には欧州ツアー(オーストリア、ドイツ等)を実施したほか、8月9日には国内フェス「LuckyFes'26」にも出演。6月26日にはデラックス盤『METAL FORTH (DELUXE EDITION)』を世界同時リリースするなど、海外を含めた露出・稼働が活発だった。

一方セグメント利益は、連結子会社・株式会社アミューズコミュニケーションデザインにおける企業広告制作費用等の営業費用増加が増収分の効果を上回り、前年同期比で減益となった。

4|財政状態

当第1四半期連結会計期間末の総資産は606億13百万円(前期末比△18億86百万円)。現金及び預金が34億73百万円減少した一方、有価証券・未収入金等が増加した。負債は221億31百万円(同△15億82百万円)で、未払法人税等・賞与引当金の減少などが主因。純資産は384億81百万円(同△3億3百万円)で、配当金の支払等による利益剰余金の減少が影響した。

この結果、自己資本比率は59.1%(前期末57.7%)に改善。減益局面にあっても財務体質はむしろ強化されている点は、興行ビジネス特有の四半期ボラティリティに対する耐性として評価できる。

5|通期業績予想・進捗率

指標 通期予想 前期比 1Q進捗率
営業収入 550億円 △21.0% 32.1%
営業利益 20億円 △67.3% 16.8%
経常利益 21億円 △66.3% 20.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 12億50百万円 △53.6% 10.4%

通期予想は2026年5月15日公表分から修正なし。進捗率だけを見ると低水準だが、同社は興行の開催時期によって収益が四半期ごとに大きく偏在する業態であり、1Qの進捗率の低さを単純にネガティブ視するのは早計といえる。8月の福山雅治ドーム公演をはじめ、下期にかけての興行スケジュール次第で挽回の余地は残る。

配当については、2027年3月期の年間配当予想を64.00円(第2四半期末32.00円、期末32.00円)としており、前期実績の40.00円から大幅な増配予想となっている点は、業績の落ち込みとは対照的に目を引く。直近に公表されている配当予想からの修正はない。

6|重要トピックス

  • 自己株式の消却(後発事象):2026年7月24日開催の取締役会決議に基づき、同年7月31日付で自己株式93.5万株を消却。中期経営計画で定めた「自己株式保有は発行済株式総数の5%を上限とし、超過分は原則毎年7月末に消却する」方針に沿った定例的な対応で、消却後の発行済株式数は1,768万8,520株。
  • 誹謗中傷・無断投稿への法的措置:決算発表と同日の8月12日、同社法務部が公式X(旧Twitter)で、所属アーティストへの誹謗中傷および有料コンテンツの無断投稿を行うアカウントに対し、東京地方裁判所において法的措置を実施したと報告。「度を超えた誹謗中傷・権利侵害等に対しては、引き続き厳正に対処します」としている。

7|リスク・注視すべきポイント

⚠️ 決算資料から読み取れる留意点

①今回の大幅減益は前年1Qがサザン・星野源の大型ツアー集中による特殊な高水準だった反動という側面が強く、興行ビジネス特有の「前年同期比」の読み方には注意が必要
②通期進捗率(営業利益16.8%)は低水準にとどまっており、下期の福山雅治ドーム公演をはじめとする興行スケジュールで挽回できるかが焦点
③純利益ベースでは特別利益の反動剥落・特別損失の計上が重なっており、経常利益以上に減益幅が拡大している点は留意
④営業収入・利益とも通期予想からの上方・下方修正はなく、会社側は現時点で当初計画からの乖離を想定していない
⑤減益局面でありながら前期比大幅増配(40円→64円予想)を据え置いている点は、財務体質の強さ(自己資本比率59.1%)を背景にした株主還元姿勢の表れと見られる

📚 主な出典

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god

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