【Salesforce決算】Q2売上113.5億ドルでコンセンサス超え、非GAAP EPS 5.90ドルで市場予想を大幅上振れ~株価+13%、AnthropicとClaudeforce提携も同時発表
2026年8月27日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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Salesforceの2027年度第2四半期(2026年7月31日締め)は、売上高113億4,500万ドル(前年比+11%)、非GAAP EPS 5.90ドル(アナリスト予想3.27ドル前後を大幅超過、うち約2.53ドルは戦略的投資の評価益)、cRPO成長率+14%(前四半期の+13%から加速)と、主要指標が軒並みコンセンサスを上回った。フリーキャッシュフローは前年比+81%の11億ドルとコンセンサスを大幅超過。通期売上ガイダンスを461億~464億ドルへ引き上げ。決算発表と同日、AnthropicとのAI戦略提携「Claudeforce」も発表され、市場は好感。決算発表後の時間外取引で株価は+13%超上昇した。
📋 目次
1|Salesforceとはどんな会社か
Salesforce, Inc.(NYSE: CRM)は、世界No.1のAI CRM(顧客関係管理)企業。会長兼CEOはマーク・ベニオフ氏、社長兼CFO・COO(President and Chief Financial and Operating Officer)はロビン・ワシントン氏(なお社長兼COOとしてミゲル・ミラノ氏も別途在籍)。従来型のSales・Service・Marketing・Commerceといった営業支援アプリケーション群に加え、生成AIエージェント「Agentforce」、データ統合基盤「Data 360」、コラボレーションツール「Slack」を核とした「エージェント型企業(Agentic Enterprise)」戦略を推進している。人間・AIエージェント・アプリ・データを一つの信頼できる統合プラットフォーム上で結びつけることを掲げる。
2|主要財務ハイライト(コンセンサス対比)
2026年8月26日(米国時間、市場引け後)、Salesforceは2027年度第2四半期(2026年7月31日締め)決算を発表した。AI関連製品への需要拡大を背景に、主要指標は軒並みコンセンサスを上回る着地となった。
| 指標 | Q2 FY27 | Q1 FY27 | Q2 FY26 | Y/Y |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 113.45億ドル | 111.33億ドル | 102.36億ドル | +11% |
| 非GAAP営業利益率 | 34.1% | 34.8% | 34.3% | -0.2pt |
| GAAP純利益 | 35.26億ドル | 21.07億ドル | 18.87億ドル | +87% |
| GAAP希薄化EPS | 4.29ドル | 2.42ドル | 1.96ドル | +119% |
| 非GAAP希薄化EPS | 5.90ドル | 3.88ドル | 2.91ドル | +103% |
📌 アナリストコンセンサスとの比較
決算発表前のアナリストコンセンサスは、売上高113.2億~113.3億ドル、非GAAP EPS 3.27ドル前後だった。実績は売上高113.45億ドルとコンセンサスをやや上回り、非GAAP EPSは5.90ドルとコンセンサスを大幅に上回った。ただし非GAAP EPS 5.90ドルのうち約2.53ドルは戦略的投資(Anthropic株式等)の評価益によるもの。非GAAP営業利益率には影響しないが、非GAAP EPSからは控除されておらず、上振れ幅の大部分はこの評価益が押し上げた形。営業ベースの実力を測る非GAAP営業利益率は34.1%とコンセンサス想定レンジ内の着地。フリーキャッシュフローは11.0億ドルとStreetAccountのコンセンサス6.43億ドルを大幅に超過した。
3|セグメント別動向
2026年第1四半期から開示区分を刷新し、サブスクリプション&サポート収益を「Agentforce Apps」と「Data 360, Headless Platform, and Other」の2区分に再編。前者はSales・Service・Marketing・Commerce・Slackなど従来型アプリ群にAgentforceを組み込んだ区分、後者はData 360・Informatica・Headless Platformなどデータ基盤層を束ねた区分となる。
| サブスク&サポート収益内訳(Q2 FY27) | 売上高 | Y/Y |
|---|---|---|
| Agentforce Apps | 71.93億ドル | +8% |
| Data 360, Headless Platform, and Other | 36.18億ドル | +20% |
AgentforceとData 360を合算したARR(年換算経常収益)は約39億ドルに到達し、前年比210%超の伸び。うちAgentforce ARR単体は15億ドル超(前年比240%超、Q2よりSlackbot・Headless 360を含む定義に変更)。残差から見るとData 360側は約24億ドル(前年比200%超、うちInformatica Cloud ARRが11億ドル)。AIエージェントが処理した作業単位「AWU(Agentic Work Unit)」はQ2に3.2億件を記録し、前四半期比+97%と急拡大。全期間累計では70億件に達した。Data 360は四半期に104兆レコードを取り込み(前年比+355%)、うち82兆レコードはZero Copy経由(同+731%)。決算説明会(投資家向けデッキ)によれば、MCPサーバーへの週間呼び出し件数はQ2で6倍に急増しており、人間によるアプリ利用が横ばいを維持する中でAIエージェント経由の新たな消費が積み上がっている。
4|特殊要因・重要トピックス
- Informaticaの貢献:Q2売上に4.56億ドル、サブスク&サポート収益に4.40億ドルを寄与(買収効果)
- 戦略的投資の評価益:保有株式(Anthropic株式を含む戦略的投資ポートフォリオ)の時価評価により、Q2に26.13億ドルの評価益を純利益に計上。非GAAP営業利益率には影響しないが、非GAAP EPS 5.90ドルからは控除されておらず、うち約2.53ドル分がこの評価益に相当する
- 社債発行による調達:上半期累計で248.42億ドルの新規負債発行による調達を実施し、250億ドルのASR(Accelerated Share Repurchase=加速度的自社株買い)の原資とした。ASRの最終決済は2026年10月を予定
- 自社株買い:上半期累計で273.32億ドルの自社株買いを実行。Q2 FY27の希薄化後株式数は8.20億株、前年同期9.56億株から▲1億3,600万株(約▲14%)
- 株主還元:Q2に配当3.64億ドルを支払い。創業来の累計株主還元額は593億ドルの自社株買い(25億ドルASR含む)と39億ドルの配当
- Contentful・Fin買収:2026年6月に発表した両案件は、2026年度第3四半期中(今後数週間以内)にそれぞれ独立してクローズする見込み。cRPOを除く通期ガイダンス指標には既に織り込み済みだが、成約が条件付きとされている
- 為替影響:Q2は対ドルの上昇を受けて想定していた為替の追い風が縮小し、通期ガイダンスに反映済み
5|Anthropicとの戦略提携「Claudeforce」(同日発表)
🤝 「#1 AIが#1 AI CRMと出会う」
決算発表と同日の2026年8月26日、SalesforceとAnthropicは戦略的パートナーシップの拡大「Claudeforce」を発表した。ClaudeのインテリジェンスとSalesforceの信頼できるエンタープライズハーネス(データ・ワークフロー・ビジネスロジック・アクション・ガバナンス)を結びつけ、業務が行われるあらゆる場所でエージェント体験を安全に利用可能にする内容。ベニオフCEOは「これがすべてのビジネスの運営方法になる」、AnthropicのダリオCEOは「企業は何十年もSalesforceで構築してきた顧客情報とビジネスコンテキストをClaudeに示し、実際に事業の運営・成長に活用できる」とコメントしている。
- ①Claude内のSalesforce:「Salesforce in Claude」プラグインの提供を開始。37種類の事前構築された販売スキル(ミーティング準備・取引健全性レビュー・パイプラインレビュー等)を備え、Claudeから直接、収益に関わるアクションを実行可能に。管理者が一度接続すればチーム全員が初日からアクセス可能
- ②Salesforce内のClaude:ClaudeがAgentforceの推論エンジン「Atlas Reasoning Engine」の推論モデルとなり、Agentforce Vibes・Agentforce Coworkerの既定モデルとしてデフォルト稼働。Agent Builderでも利用可能。Amazon Bedrock経由でSalesforceの信頼境界内での利用にも対応し、規制対象業界の顧客でも安全に導入可能
- ③Slack:ClaudeがSlackの既定AIモデルとなり、Slackbotによる個人生産性向上、Claude Tagを通じたチーム意思決定支援、Slack Codeでのマルチプレイヤーコーディングを推進
- ④相互採用:SalesforceはAnthropic社内でも推奨CRM・推奨コラボレーションプラットフォームとして採用される一方、AnthropicのClaude Code・Claude EnterpriseはSalesforce社内の推奨AIアシスタントとして全開発者・全従業員に提供される。ClaudeはSalesforce Trust Boundaryに完全統合された初のLLMプロバイダーとなる
⚠️ 提供開始は選定されたパイロット顧客向けが先行しており、2026年9月にオープンベータ開始予定。追加の事前構築スキルは2026年後半に順次公開予定で、実際の普及ペースは今後の展開次第。
※なお②で触れたQ2純利益に計上された戦略的投資の評価益(4節参照)は、Salesforceが従来から保有するAnthropic株式ポジションの時価評価によるものであり、今回発表のClaudeforce提携そのものとは別枠の会計処理。
6|四半期トレンド
売上高はQ2 FY26の102.36億ドルからQ1 FY27の111.33億ドルを経てQ2 FY27の113.45億ドルへ拡大基調が継続。サブスク&サポート収益の成長率(コンスタント通貨ベース)はQ1の+12%からQ2は+11%とやや鈍化した一方、cRPO成長率(コンスタント通貨ベース)はQ1の+13%からQ2は+14%へ加速し、ワシントンCFOは「NNAOV(純新規年間受注額)成長率はこの4年間で最も強く、下半期の有機的収益成長の再加速につながる軌道にある」とコメントしている。地域別のコンスタント通貨成長率はAmericas +10%、EMEA +13%、APAC +12%で、Q2の地域別NNAOV成長は北米・日本・英国が牽引した。
7|キャッシュフロー
Q2営業キャッシュフローは13.0億ドル(前年同期7.4億ドルから+71%)、フリーキャッシュフロー(FCF)は11.0億ドル(前年同期6.1億ドルから+81%)と、いずれもコンセンサス(StreetAccount集計でFCF6.43億ドル)を大きく上回った。直近12ヶ月(TTM)ベースのFCFは151.5億ドル。上半期累計では営業CF79.7億ドル、FCF76.5億ドル。設備投資はQ2に1.71億ドル。上半期累計の投資活動では15.04億ドルの買収関連支出(Q1に大部分を計上)があった一方、財務活動では上半期累計で248.42億ドルの社債発行による調達と273.32億ドルの自社株買いが計上されている。
8|業績予想(ガイダンス)
| 項目 | Q3 FY27ガイダンス | 通期FY27ガイダンス(現行) | 通期FY27(従来) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 114.2億~115.0億ドル | 461億~464億ドル | 459億~462億ドル |
| 非GAAP営業利益率 | - | 34.3% | 34.3% |
| GAAP希薄化EPS | 1.81~1.83ドル | 10.21~10.25ドル | 7.93~7.99ドル |
| 非GAAP希薄化EPS | 3.42~3.44ドル | 16.67~16.71ドル | 14.06~14.12ドル |
| cRPO成長率 | 約+14% | - | - |
通期売上ガイダンスは、決算前コンセンサス(461.1億ドル)に対して上限を464億ドルまで引き上げる形となった。200百万ドルの上方修正(コンスタント通貨ベースでは300百万ドル)の内訳は、有機的成長による100百万ドル、ContentfulとFin買収の寄与200百万ドル、為替の逆風100百万ドルの純合計。なお通期ガイダンスにはContentfulとFinの買収寄与が織り込まれているが、cRPOガイダンスのみは両案件の寄与を含まない。Q3 FY27のcRPO成長率ガイダンス(約+14%)も同様にContentfulとFinの寄与を含まない数字となっている。
GAAP営業利益率の通期ガイダンスは20.1%と、従来の20.6%から若干の低下を見込む一方、非GAAP営業利益率は34.3%を据え置き。設備投資は売上高の約1.5%を維持する計画。250億ドルのASRは2026年10月に最終決済を予定しており、Q3~Q4の公開市場での自社株買い動向が今後の希薄化株式数に影響する可能性がある。
9|主要イベント
2026年9月1日には「Q2 FY27 Product Adoption & Momentum」ウェビナーを開催予定。2026年9月16日にはDreamforceに合わせてサンフランシスコのSt. Regisで投資家向けInvestor Dayを開催予定で、いずれもSalesforce Investor Relationsのウェブサイトでライブ配信・リプレイが提供される。
決算説明会の投資家向けデッキでは、MCP(Model Context Protocol)サーバーへの週間呼び出し件数がQ2に6倍増加したことが強調された。人間によるアプリ利用は横ばいを維持したままAI経由の呼び出しが急増しており、会社側は「顧客はSalesforceの利用をシフトしているのではなく、拡大している」と説明している。
10|株価反応
決算発表前日(8月25日)のCRM株終値は205.69ドルで、8月につけた直近高値213.17ドルをやや下回る水準で推移していた。オプション市場では決算後の株価変動幅を±8%程度と織り込んでおり、これは過去4四半期平均の決算後変動率(±3.33%)を大きく上回る警戒感の表れだった。年初来では約▲22%と出遅れていた一方、8月25日時点で7月下旬の安値比では直近1ヶ月で既に+26%の戻りを見せており(出典により十数%台の集計もある)、期待値が切り上がった状態での決算発表となった。実際の決算は売上・EPS・FCF・cRPOのいずれもコンセンサスを上回る内容となり、決算発表後の時間外取引で株価は+13%超上昇した。
11|リスク・注視すべきポイント
⚠️ 決算資料から読み取れる留意点
①非GAAP EPS 5.90ドルのうち2.53ドルは保有株式の評価益によるものであり、営業ベースの実力は非GAAP営業利益率(34.1%、前年同期34.3%からわずかに低下)やcRPO・AWU成長など本業指標で見極める必要がある
②ContentfulとFinの買収は正式クローズが前提条件であり、通期ガイダンス(cRPOを除く)に既に織り込まれているため、成約遅延時は下方修正リスクとなる
③250億ドルのASR実行に伴う社債発行により総債務が急増しており(FY26期末の144億ドルから拡大)、FY27フリーキャッシュフロー成長率ガイダンスも従来の年9~10%程度から4~5%程度へ引き下げ済み。利払い負担の増加に留意
④Claudeforce提携は選定パイロット顧客向けの先行提供段階で、2026年9月のオープンベータ開始後の実際の普及ペースや収益貢献は未知数
⑤過去4四半期は決算のたびに平均17.3%のサプライズを記録しており、今回も市場予想を上回ったが、市場の期待値自体が切り上がっている点には注意が必要
📚 主な出典
- Salesforce, Inc.「Salesforce Delivers Record Second Quarter Fiscal 2027 Results」(2026年8月26日発表、HTML版)
- Salesforce, Inc.「Q2 FY27 Quarterly Investor Deck」(2026年8月26日発表)
- Salesforce, Inc.「Salesforce と Anthropic が Claudeforce を発表:#1 AI が #1 AI CRM と出会う」(2026年8月26日発表)
- CNBC「Salesforce (CRM) Q2 earnings report 2027」(2026年8月26日)
- 24/7 Wall St.「Live: Will Salesforce Continue Its 25% Rally After Tonight's Q2 Earnings?」(2026年8月26日)
- Yahoo Finance(Zacks)「Salesforce Set to Report Q2 Earnings: Buy, Sell or Hold the Stock?」
- Martech Notes「Salesforce Q2 FY27 earnings arrive today as Agentforce growth faces a sharper test」(2026年8月26日)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
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