📊 本稿は3/11 NYクローズ確定値(サマータイム・NY6時クローズ)を基に整理しています。
📉【ゴールド5,176ドル続落】WTI急反発+5.9%・ダウ-289pt——イラン貨物船3隻攻撃がCPI安堵を吹き飛ばした【3/11 NYクローズ】
グローバル金融市場 振り返りレポート
CPI予想通り(+2.4%)で安堵——しかし
イランが貨物船3隻を攻撃でWTI急反発$88.37(+5.9%)
IEA史上最大4億バレル放出も「地政学」に敗れた一日。ゴールドはドル高・金利急騰に押されて5,176ドルへ
📖 この記事で分かること
- なぜCPIが予想通りなのにマーケットが下落したのか
- イランの貨物船3隻攻撃が引き起こした連鎖反応
- IEA史上最大4億バレル放出でも原油高が止まらなかった理由
- US10Y 4.233%急騰・DXY 99.27突破がゴールドに与えた打撃
- 日経2日連続高(+1.43% / 55,025)とOracle+10%が示すもの
⚡ 今日のマーケット早わかり(30秒で読む)
🥇 金価格(ゴールド): 始値5,197.27→高値5,223.10→安値5,149.89→終値5,176.20ドル(-16.72 / -0.32%)。 米CPIが予想通り(+2.4%)で発表後は5,223まで一時上昇したが、その後イランの貨物船攻撃報道でWTIが急騰しDXY 99.27(ドル急騰)・US10Y 4.233%(金利急騰)という二重の重しで押し下げられた。
🌏 株式: 日経+1.43%(55,025)・KOSPI+1.40%とアジアは2日連続高。 欧州は一転、DAX-1.59%・FTSE-0.56%と全面安——エネルギー株・製造業への原油高コスト圧力が重し。 米国はダウ-0.61%(47,417)・S&P500-0.08%(6,775)と続落も、Nasdaq100+0.03%(24,965)はOracle+10%急騰に支えられてわずかにプラスで引け。
🛢️ 原油・為替・金利: WTIはイランの貨物船攻撃と戦況激化を受けて$88.37(+5.90%)と急反発——IEAの史上最大4億バレル放出決定でも「地政学が政策を上回った」。 DXYは99.27(+0.45%)と3日連続安から一転してドル急伸。 US10Yは4.233%(+0.098%)と大幅上昇、VIX24.23(-2.81%)と表面上は低下しているが実態は緊張継続。
🥇 【金価格(ゴールド / XAUUSD)視点】今日の金相場を一言で
「CPI安堵で5,223まで上昇したが、ドル急騰・金利急騰という二重の重しに押されて5,176へ——地政学ブルとマクロベアが衝突した一日」。始値5,197.27から高値5,223.10まで+25.83ドルの上昇を演じたが、その後のイラン貨物船攻撃→WTI急騰→インフレ再燃懸念→ドル高・金利高というチェーンリアクションがゴールドに直撃した。終値5,176.20ドルは前日終値5,192.92から-16.72ドルの続落となり、3/10に一時タッチした高値5,238.64からは62.44ドル下に離れた。注目すべきは「5,150ドル(本日安値5,149.89)を割らずに踏みとどまった」という下値の堅さだ。DXYが99台に突入し、US10Yが4.23%という高水準に跳ね上がる中で5,150台を維持したことは、ゴールドの構造的な底堅さを示している。
📊 市場連鎖フロー(3/11)
📊 米2月CPI発表(21:30 JST):前月比+0.3%・前年比+2.4%(予想通り)
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✅ CPI安堵で米株一時上昇・ゴールド5,223まで上昇
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⚠️ 【NY時間中盤】イランがホルムズ海峡付近で貨物船3隻を攻撃
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🛢️ WTI急反発($83台→$88.37 / +5.90%) ← IEA4億バレル放出も無力化
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💵 DXY急騰(98.91→99.27) US10Y急騰(4.154%→4.233%)
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📉 ダウ-0.61%・欧州株全面安(DAX-1.59%) ← インフレ再燃・景気後退懸念
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🥇 ゴールド終値5,176.20(-0.32%) ← ドル高+金利高の二重圧力
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✨ 【例外】Oracle決算+10%急騰でNasdaq100のみ+0.03%プラス引け
📝 前書き
3月11日(水)を一言で表すなら「CPI安堵はわずか数時間で吹き飛ばされ、イランの貨物船攻撃が市場を再び揺さぶった一日」だ。
日本時間21:30に発表された米2月CPIは前月比+0.3%・前年比+2.4%と市場予想と完全一致。コアCPIも前月比+0.2%・前年比+2.5%と予想通りで、一時的にリスクオン相場が蘇った。ゴールドは5,223ドルまで上昇し、米株先物も上昇を示した。
しかし安堵は長続きしなかった。NY時間の中盤、イランがホルムズ海峡付近で貨物船3隻にミサイル・ドローン攻撃を実施したと報じられると、市場の空気が一変した。WTIは一気に$88台へ急反発し(+5.90%)、「エネルギー供給危機の継続」というシナリオが再び市場を支配した。IEAが歴史上最大規模となる4億バレルの緊急備蓄放出を正式発表したにもかかわらず、貨物船攻撃という「現実の地政学」が政策対応を上回った。
この連鎖でDXYは99.27まで急伸し、US10Yは4.233%という大幅上昇。ゴールドはドル高と金利高という二重の重しに押され5,176ドルへと続落。欧州株は全面安、米国ではダウとS&P500が下落する一方、Oracle決算サプライズ(+10%)に救われたNasdaq100のみがわずかにプラスで引けた。
📌 主要ニュース(4点ピックアップ)
① 米2月CPI:+2.4%予想通り——「嵐の前の静けさ」確認
米労働省(BLS)が3/11(日本時間21:30)に発表した2月消費者物価指数(CPI)は、前月比+0.3%・前年比+2.4%と市場予想と完全一致した。コアCPI(食品・エネルギー除く)も前月比+0.2%・前年比+2.5%と予想通りで、1月からほぼ横ばい。シェルター(住居費)の+0.2%が月次上昇の最大要因で、食品+0.4%・エネルギー+0.6%も上昇した。
市場のコンセンサスは「これはイラン紛争前のデータ——3月CPIこそ本当の試練」という評価で一致している。カーソン・グループのソヌ・バルギース主席マクロストラテジストは「2月CPIはインフレが予想通りだったことを示すが、3月データでは急騰したガソリン価格が本格的に反映される。これは嵐の前の静けさだ」と指摘した。3月18日のFOMCでは据え置きがほぼ確実(CME FedWatch: 97〜100%)で、次の利下げ期待は9月にシフトした。
② イラン、ホルムズ海峡付近で貨物船3隻を攻撃——最大の市場ショック
NY取引時間中盤、複数のメディアがイランによるホルムズ海峡付近での貨物船3隻へのミサイル・ドローン攻撃を報じた。「Operation Epic Fury」(米・イスラエルの対イラン作戦)開始11日目、イランは依然として報復姿勢を維持している。これは単なる軍事情報ではなく、「ホルムズ封鎖が現実として継続している」という証明であり、市場に即座に波及した。
攻撃報道を受けてWTIは一気に$88台へ急反発。ヘグセス国防長官は同日「今日が作戦開始以来最も激しい攻撃の日だ」と宣言し、米軍がホルムズ海峡付近でイランの機雷敷設船16隻を撃沈したことも明らかにした。一方トランプ大統領はTruth Socialで「ホルムズを封鎖するなら死・火・激怒(death, fire and fury)が降り注ぐ」と警告しつつ、「短期間で終わる」という矛盾したメッセージも発信。市場は「どちらが本音か」を読み切れないまま原油高という「現実」に従った。
③ IEA 史上最大4億バレル放出を正式決定——それでも原油高は止まらず
IEAのビロル事務局長は3/11(日本時間深夜)、加盟32カ国が協調して緊急石油備蓄(SPR)から4億バレルを市場に供給することを正式決定・発表した。「前例のない規模の石油市場の混乱に対し、前例のない規模の集団的緊急行動で対応する」とのコメントを添えた。これは2022年のウクライナ侵攻後の1億8,000万バレルの約2.2倍という史上最大の介入だ。
しかしその直後、イランの貨物船攻撃報道が市場に飛び込んだことで、WTIは「IEA発表による安堵の下落」を完全に打ち消し逆に急騰した。「4億バレルの放出は物理的に正しい政策対応だが、貨物船が攻撃されている現実には勝てない」(Marex エネルギーアナリスト)という評価が市場を支配した。WTIは最終的に$88.37(+5.90%)でクローズした。
④ Oracle決算+10%急騰——Nasdaq100を単独でプラスに押し上げた「AI旋風」
Oracle(ORCL)が発表したQ3(2026年2月期)決算は市場予想を大幅に上回った。EPSは$1.79で予想より+10セント、売上高は$171.9億(前年比+21.7%)で予想を$2.8億上回った。注目はクラウド部門の急成長で、クラウド収益$89億(前年比+44%)、FY2027(2027年5月期)の売上高目標を$900億と設定した。
この決算を受けてOracleは+10%急騰し、他のAI・クラウド関連株への波及効果が生じた。キオクシアHD、SoftBank Group(+7.1%)、藤倉コンポジット(+6.6%)など日本のテック株にも好影響が及び、日経225の+1.43%上昇を後押しした。S&P500とダウが下落する中、Nasdaq100がわずかに+0.03%でプラスを維持できたのは、ほぼOracleの一社によるものだ。
📅 3/11(日本時間)に発表された主要経済指標
📈 株式市場
※終値は3/11 NYクローズ確定値(日本・アジア株は3/11現地終値)。騰落はすべて前日比。
① 日本・アジア株
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経225 | 55,025.37 | +776.98 | +1.43% |
| TOPIX | 3,698.85 | +34.57 | +0.94% |
| ハンセン指数(香港) | 25,898.76 | -61.14 | -0.24% |
| 上海総合指数 | 4,133.43 | +10.30 | +0.25% |
| KOSPI(韓国) | 5,609.95 | +77.36 | +1.40% |
日経225は2日連続の上昇で55,025.37(+776.98 / +1.43%)と再び55,000台を回復した。Oracle決算に触発された半導体・AI関連株が主導し、キオクシアHD(+9.3%)・SoftBank Group(+7.1%)・藤倉コンポジット(+6.6%)が大幅高。任天堂も新ポケモンゲームの北米完売報道で+8.9%と急騰した。また、Japan Display(JDI)が米日共同のディスプレイ工場建設計画報道を受けて+29.3%という驚異的な上昇を演じた。
TOPIXも+0.94%と連動。KOSPIは+1.40%(+77.36)とアジア全体で底堅い動きが続いた。ハンセンは-0.24%と小幅安、上海は+0.25%と中国市場は全人代閉幕(3/12)を前に様子見ムードが漂った。
② 欧州・米国株
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| FTSE 100(英国) | 10,353.77 | -58.47 | -0.56% |
| DAX 30(ドイツ) | 23,587.78 | -380.85 | -1.59% |
| CAC 40(フランス) | 8,041.61 | -15.55 | -0.19% |
| NYダウ | 47,417.27 | -289.24 | -0.61% |
| NASDAQ 100 | 24,965.01 | +8.54 | +0.03% |
| S&P 500 | 6,775.80 | -5.68 | -0.08% |
欧州株は前日の全面高から一転、全面安となった。DAX30が-1.59%(-380.85)と特に大きく下げ、製造業・エネルギー消費型産業が集中するドイツへの原油高コスト圧力が意識された。EUは「Brent原油が$100付近で推移すれば域内インフレが3%を超える可能性がある」と警告を発し、欧州市場の下押し圧力となった。FTSE-0.56%・CAC-0.19%と欧州3市場が全面安。
米国株はダウ-0.61%(-289.24)・S&P500-0.08%と2日連続の続落。ダウの主な下落寄与はSherwin-Williams(-2.38%)、P&G(-1.79%)、Visa(-1.74%)。一方Chevron(+2.91%)、UnitedHealth(+1.03%)がプラス寄与。Nasdaq100は+0.03%とわずかにプラスを維持——Oracle+10%という例外的な決算サプライズがなければ同様に下落していたとみられる。
💱 為替
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ドル円(USD/JPY)終値:158.95前日比:+0.90(+0.57%)↑ 円安進行。DXY急騰(99.27)に連動してドル全面高。片山財務相の「強い緊迫感をもって注視」という口頭介入発言が出たが円安は止まらず。158円台後半まで進行
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ユーロドル(EUR/USD)終値:1.1567前日比:-0.0042(-0.36%)↓ ユーロ続落。前日の1.1609から下落。DAX急落・欧州インフレ3%超警告がユーロの重しに。ドル高圧力が優勢
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ドルインデックス(DXY)終値:99.27前日比:+0.45(+0.45%)↑ ドル急反発。前日98.91から99.27へ——3日連続安から一転して急騰。WTI急騰→インフレ懸念→FRB利下げ困難→ドル買いという連鎖。99台突入はゴールドへの強い逆風
DXYの99.27への急騰は、3/10の98.91から+0.36という大幅な変化だ。「99〜100ライン」を再び試す局面となり、ドル高基調への転換が意識され始めた。この急激なドル反騰の背景には「CPI予想通り→FRB据え置き確定→利下げ観測後退」という金融政策面の要因と、「WTI急騰→エネルギーインフレ再燃→FRBのスタグフレーション対応困難」という矛盾した要因が複合している。いずれにせよドル高・金利高という二重の重しはゴールドにとって最も警戒すべき状況だ。
ドル円は158.95と前日の158.05から+0.90円の円安。植田日銀総裁が国会答弁で「中東情勢が日本経済に重大な影響を与える可能性がある」と発言し、3/19日銀会合での利上げ見送りがほぼ確実視されたことも円安を後押しした。片山財務相の「強い緊迫感」発言は口頭介入として機能したが効果は限定的だった。
📊 金利・債券
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JGB10Y(日本10年債)水準:2.175%前日比:-0.005%(-0.23%)↓ わずかに低下。植田日銀総裁の「中東情勢を注視」発言で3/19利上げ見送り観測が強化。2.175%は依然として高水準だが横ばい圏
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US10Y(米10年債)水準:4.233%前日比:+0.098%(+2.37%)↑ 大幅上昇。WTI急騰→インフレ再燃懸念→FRB利下げ困難→債券売り(利回り上昇)という連鎖。4.154%→4.233%と1日で約10bpの急騰はゴールドにとって最大級の逆風
US10Yの4.233%(+0.098%)という上昇幅は注目に値する。3/10の4.154%から+0.079%という動きは1日のパーセント変化でも+2.37%と大きく、「米国債の大規模な売り」が発生したことを示している。背景はAmazon、Salesforce、Honeywellによる総額$60〜70億規模の単日コーポレートボンド発行(史上最大級)が金利上昇圧力となった可能性もある。加えてWTI急騰→エネルギーインフレ固定化という懸念が国債買い(利回り低下方向)を妨げた。
JGB10Yは2.175%(-0.005%)とわずかに低下。植田日銀総裁の慎重発言が3/19利上げ見送りを示唆したことで国債買い(利回り低下)につながった。ただし2.175%台という水準はリーマンショック以来の高水準圏にあり、日本の金融環境の正常化プロセスが続いていることを示している。
🪙 コモディティ|金価格(ゴールド)・原油 詳細分析
| 品目 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| WTI原油先物 | $88.37/バレル | +$4.92 | +5.90% |
| ゴールドスポット(XAU/USD) | $5,176.20/oz | -$16.72 | -0.32% |
| シルバースポット(XAG/USD) | $85.738/oz | -$2.546 | -2.88% |
🛢️ WTI原油(+5.90% / $88.37)——IEA4億バレルも無力化、貨物船攻撃で急反発
WTIは$88.37(+4.92 / +5.90%)と急反発した。前日$86.52から+$1.85(+2.1%)の上昇で、3/10に「G7・IEA対応で$86台に続落」した流れを完全に打ち消した形だ。直接のトリガーはイランによる貨物船3隻への攻撃と、ヘグセス国防長官の「今日が最も激しい攻撃の日」宣言という軍事エスカレーション確認。IEAが史上最大4億バレルの緊急放出を正式決定した直後にもかかわらず、市場は「物理的な攻撃という現実」を優先した。
3/9のWTIピーク$119.94からの推移を振り返ると、「$119.94→$83.45(3/10)→$88.37(3/11)」という急落後の部分的な反発となっている。このV字の「半戻し」ラインは$94〜95付近であり、停戦交渉の進展がない限り$80〜$90のレンジでの高ボラティリティが当面続くと考えられる。
🥇 金価格(ゴールド / XAU/USD)深掘り
| 水準(ドル) | 意味 |
|---|---|
| 5,595.46 | ATH(史上最高値):1/29高値 |
| 5,419.32 | 3/2高値(直近危機ピーク) |
| 5,238.64 | 3/10高値(5,200の壁を一時突破した最高点) |
| 5,223.10 | 3/11高値(CPI安堵で上昇するも反落) |
| 5,193〜5,200 | 頑固な上値抵抗帯 |
| 5,192.92 | 3/10終値(前日終値) |
| 5,176.20 | 3/11終値(-16.72 / -0.32%) |
| 5,197.27 | 3/11始値 |
| 5,149.89 | 3/11安値(本日の下値サポートとして機能) |
| 5,124.76 | 3/10安値 |
| 5,100.00 | 直近サポートライン |
| 5,015.23 | 3/9安値(5,000ドル防衛線の試験) |
| 5,000.00 | 大台・心理的サポート(最重要防衛ライン) |
本日のゴールド(XAUUSD)は始値5,197.27から一時高値5,223.10まで上昇したが、米CPIの安堵効果が消えると徐々に下落し、イランの貨物船攻撃報道後にDXYとUS10Yが急騰するとともに終値5,176.20まで押し下げられた。
注目点は2つある。第1に「高値の切り下がり」だ。3/10高値5,238.64→3/11高値5,223.10と高値が15ドル切り下がっており、短期的には上値重さが意識される。第2に「安値は5,149.89で踏みとどまった」点だ。DXYが99台に入り、US10Yが4.23%台に急騰するという非常に厳しい環境でも5,150台を維持した。これは「5,100〜5,150ゾーンには強い買い需要がある」ことを示す。
■ 上値:5,200(終値ベースでの突破が依然として最重要課題)→5,223(本日高値)→5,238(3/10高値)→5,419(3/2危機ピーク)
■ 下値:5,149(本日安値・ここを割ると要警戒)→5,124(3/10安値)→5,100(直近サポート)→5,000(絶対防衛ライン)
「で、ゴールドどうなんだ?」——DXY 99.27・US10Y 4.233%という「ダブルパンチ」が続く限り、ゴールドの上値は重い。しかしWTI$88という原油高が継続する環境はスタグフレーション圧力を維持し、中長期的なゴールド買い根拠も消えていない。「地政学はブル、ドル高・金利高はベア」という綱引きが続く中、当面は5,100〜5,250のレンジ内での攻防が想定される。来週3/18〜19のFOMCとドット・プロット更新が次の方向性を決める最大のトリガーだ。
🥈 シルバー(XAG/USD:$85.738 / -2.88%)
シルバーは85.738ドル(-2.546 / -2.88%)と大幅下落した。高値89.4355・安値84.4565(本日OHLC)と4.98ドルの値幅があり、ゴールド(高値5,223〜安値5,149、値幅73ドル)以上のボラティリティを示した。GSR(ゴールド/シルバー比率)は60.4倍前後に上昇し、「シルバーがゴールドよりも下がりやすい」リスクオフ局面の典型的な動きだ。前日比-2.88%という下落率はゴールドの-0.32%を大幅に上回り、リスク資産としての性格が出た形となった。
🧠 市場心理・VIX
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VIX(恐怖指数)水準:24.23前日比:-0.70(-2.81%)↓ 表面上は低下。3/9の29.49→3/11の24.23と3日で-5.26(-17.8%)という大幅低下。しかしVIX24台は依然「警戒水域」であり、正常化(15〜20)には程遠い。原油急騰とFRB板挟みという構造的不確実性が根強い
VIX 24.23という数字は表面上の「恐怖後退」を示すが、実態はより複雑だ。3/9のパニック(29.49)から急速に正常化しているように見えるが、市場の実質的なリスク感は「方向感の見えにくさ」という形で潜在化している。CPIが予想通りでも原油が急騰し、IEAが介入しても地政学に負け、トランプが「終わった」と言っても戦況は激化——こうした「材料の矛盾」の中では、VIXの低下は必ずしも「安心」を意味しない。
🎯 今日の戦略メモ
※本セクションは市場参加者の視点を中立的に整理するものです。特定の投資行動を推奨するものではありません。
■ ブル派の根拠(ゴールド・ロング継続派)
- 3/9安値5,015→3/11安値5,149.89と「安値が着実に切り上がっている」。最も重要な防衛線である5,000ドルから遠ざかりつつあり、下値の堅さが証明されている
- WTI$88という原油高継続はスタグフレーション圧力を維持し、「FRBは利下げも利上げもできない板挟み→ドル中長期的な弱体化」という構造的なゴールド買い根拠は変わっていない
- IEA4億バレル放出・G7介入という「政策の弾薬」をほぼ使い切ったにもかかわらず、原油が$88台にある事実は「エネルギーショックの深刻さ」の再確認であり、スタグフレーション長期化シナリオを補強する
- 3/13(金)に予定される米小売売上高・PCEが弱ければ「景気後退リスク→FRB利下げ圧力→ゴールド急騰」という展開もありうる
■ ベア派の根拠(ショート・様子見派)
- DXY 99.27とドル急反発。3日連続安からの急転換であり、100の節目を突破すれば「ドル強気転換→ゴールド下圧力強化」という売りシグナルとなりうる
- US10Y 4.233%という高金利は「ゴールドの機会費用の高さ」を維持し、上値追いを困難にする。5%台が再び意識されるような局面になれば、ゴールドへの売り圧力が一段と強まる
- 「高値の切り下がり」(3/10高値5,238→3/11高値5,223)が2日続いており、短期的なモメンタムはベアに傾きつつある。5,150割れで次のサポート5,100〜5,124への試練が来る
- CPI通過後の最大イベント(3/18〜19 FOMC)でパウエル議長がタカ派的なトーンを示せば「利下げ遠のく→ドル・金利高継続→ゴールド下落」シナリオが加速する
■ 注目トリガー(価格水準・今後のイベント)
- 📈 上抜けシグナル:5,200ドル終値ベース突破→5,238(3/10高値)超えで5,419(3/2危機ピーク)へ
- 📉 下抜けシグナル:5,149(本日安値)→5,124(3/10安値)→5,100(サポート)→5,000(絶対防衛ライン)
- 📅 3/12(木):米PPI・米週次失業保険申請件数——NFP-9.2万人後の労働市場の続報として注目
- 📅 3/13(金):米小売売上高・PCE(FRBの最重要指標)・ミシガン大消費者信頼感・全人代閉幕
- 📅 3/18〜19:FOMC(ドット・プロット更新・パウエル会見)+日銀金融政策決定会合(利上げ判断)——今後最大の分岐点
- 🌐 最重要地政学:イランの貨物船攻撃継続or停戦交渉開始(WTI方向感を決める)・ホルムズ機雷の実態確認
- 💵 為替トリガー:DXY 100超えor片山財務相の実弾介入(日本当局の介入判断ライン)
⚠️ 本セクションの内容は市場参加者のシナリオ整理を目的としたものであり、投資助言ではありません。実際の投資判断はご自身の責任でお願いします。
📌 今日のマーケット一言
「IEAが史上最大の弾を撃った——
それでも地政学は止まらなかった」
CPI安堵でゴールドは5,223まで上昇した。
しかし貨物船攻撃がすべてを変えた。
DXY 99台・US10Y 4.23%——ゴールドは5,150を守り切った。
🚀 全体まとめ
3月11日(水)は「CPI安堵→イラン貨物船攻撃→原油急騰→IEA無力化という衝撃の連鎖が一日で完結した日」として記憶される。日本時間21:30に発表された米2月CPIは前年比+2.4%と予想通りで、市場は一時安堵した。ゴールドは5,223まで上昇し、米株も小幅プラスに転じた。
しかしNY時間中盤、イランがホルムズ海峡付近で貨物船3隻を攻撃したとの報道が流れると市場の空気が一変した。WTIは+5.90%の$88.37に急反発。IEAが史上最大4億バレルの緊急備蓄放出を正式決定したにもかかわらず、貨物船という「現実の標的」が政策介入を完全に上回った。DXYは99.27まで急騰し、US10Yは4.233%という大幅上昇——「ドル高・金利高」というゴールドへの二重の逆風が吹き荒れ、ゴールドは5,176.20ドルへと押し下げられた。
日経225は+1.43%(55,025)と2日連続高を記録し、Oracleの決算サプライズ(+10%)がAI・テック株に波及した。しかし欧州はDAX-1.59%と大幅安、米国もダウ-0.61%と続落した。
🥇 【最終判断:「5,150を守り切ったゴールド——DXY 99台・US10Y 4.23%という最悪環境での『耐久力』が問われた一日」】
3/11の構造的な変化点は「DXY 99.27突入・US10Y 4.233%急騰」だ。前日まで3日連続でドル安が続いていた流れが一気に反転し、ゴールドには「地政学ブル」と「ドル高・金利高ベア」という相反する力が同時にかかった。その中でゴールドが5,149.89という安値(=5,150サポート)を守り切ったことは評価できる。しかし上値は5,223.10と5,238(3/10高値)に届かず、高値の切り下がりが続いている。今後の分岐点は「DXYが100を超えるかどうか」と「3/18〜19 FOMCのドット・プロット(利下げ回数の見通し変更)」だ。FOMCでパウエル議長がエネルギー高によるインフレ懸念を示し利下げ見通しを引き下げれば「ドル高・金利高継続→ゴールド5,100試験」、逆に「スタグフレーション→景気下支えのため利下げ方向」を示せば「ゴールド5,200突破」という二極のシナリオが鮮明になる。
📊 マーケットデータ一覧(3/11 NYクローズ確定値)
| 資産 | 終値 | 前日比(値) | 前日比(率) |
|---|---|---|---|
| 日経225 | 55,025.37 | +776.98 | +1.43% |
| TOPIX | 3,698.85 | +34.57 | +0.94% |
| ハンセン指数 | 25,898.76 | -61.14 | -0.24% |
| 上海総合指数 | 4,133.43 | +10.30 | +0.25% |
| KOSPI(韓国) | 5,609.95 | +77.36 | +1.40% |
| FTSE 100 | 10,353.77 | -58.47 | -0.56% |
| DAX 30 | 23,587.78 | -380.85 | -1.59% |
| CAC 40 | 8,041.61 | -15.55 | -0.19% |
| NYダウ | 47,417.27 | -289.24 | -0.61% |
| NASDAQ 100 | 24,965.01 | +8.54 | +0.03% |
| S&P 500 | 6,775.80 | -5.68 | -0.08% |
| ドル円(USD/JPY) | 158.95 | +0.90 | +0.57% |
| ユーロドル(EUR/USD) | 1.1567 | -0.0042 | -0.36% |
| DXY(ドルインデックス) | 99.27 | +0.45 | +0.45% |
| JGB10Y | 2.175% | -0.005 | -0.23% |
| US10Y | 4.233% | +0.098 | +2.37% |
| WTI原油 | $88.37 | +4.92 | +5.90% |
| ゴールド(始値5,197.27 / 高値5,223.10 / 安値5,149.89) | $5,176.20 | -16.72 | -0.32% |
| シルバー(始値88.455 / 高値89.4355 / 安値84.4565) | $85.738 | -2.546 | -2.88% |
| VIX | 24.23 | -0.70 | -2.81% |
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📰 情報ソース
- 市場ニュース:ロイター / ブルームバーグ / CNBC / NBC News / The Street / 24/7 Wall St. / Trading Economics
- 経済指標:米労働省(BLS)/ IEA公式発表 / CME FedWatch
- 終値データ:3/11 NYクローズ確定値 / スプレッドシート実測値(XAU/USDスポット価格基準・サマータイム対応)
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