波乱の24時間を3段階で読み解く/各国反応・ゴールド・アジア株総まとめ
日経▲1.7% / KOSPI▲5%超 / ゴールド$5,140で底堅さ維持
② 欧州時間入りでG7緊急電話会議(IEA備蓄放出3〜4億バレル協議)報道 → $103〜108に後退
③ NY午後にトランプがCBS「戦争ほぼ完了」→ドラール会見で一時$83.89まで暴落、NY引け$85
④ ゴールドはリスクオン転換でも$5,140で底堅し。3/10アジア株は日経+1.7%・KOSPI+5%超で急反発
・原油は3段階で$119.50→$103→$83.89と崩落。G7備蓄放出協議とトランプCBS発言が2つの引き金
・各国外交は分断:中露は停戦要求・欧州は分裂・日本は国会で守りの答弁のみ(会見後も無声明)
・ゴールドはリスクオン転換に逆らい底堅い。地政学プレミアムがまだ剥落していない証拠
3月9日(月)の原油市場は、1日で最大$35超の値幅を記録した。ただしこれは1つのショックではなく、3つの異なる売り圧力が重なった結果だ。時系列を正確に追う。
(3/9 JST朝)
イランが「ホルムズ海峡を通過する米同盟国のタンカーは注意せよ」と警告。イラン外務省報道官がCNBCにタンカーへの脅迫声明を発表。イラクやクウェートが産出を停止し始め、世界の石油供給の約20%が通る要衝が事実上封鎖状態に。週末の攻撃拡大報道も重なりBrent $119.50の戦時最高値を記録。
(パリ13:30
GMT12:30
JST21:30)
フィナンシャル・タイムズがG7財務相とIEA(国際エネルギー機関)のビロル事務局長が緊急ビデオ会議を開催すると報道。IEA加盟32カ国が保有する戦略備蓄(約12億バレル)から3〜4億バレルの協調放出を検討、うち米国を含む3カ国がすでに支持表明。この報道だけでBrentは$119超→$103〜108圏へ一気に後退。IEAは「市場の安定を支援する準備ができている」と声明。
(ET)
トランプがCBSの電話インタビューで「the war is very complete, pretty much(戦争はほぼ完了している)」と発言。これがX(旧Twitter)で即座に拡散し、終戦期待が爆発。WTIは一時$83.89まで急落(NY午後ピーク比で最大約▼6%)。続くドラール記者会見でも「Very soon」を繰り返したことで下落が定着し、NY引け$85.44。
「当初の4〜5週間という見通しよりもはるかに前倒しで進んでいる」 出典:CBS News, March 9, 2026
「We've already won in many ways, but we haven't won enough.(多くの意味ですでに勝利しているが、まだ十分ではない)」 出典:Al Jazeera, March 9, 2026
③ ホルムズ海峡・エネルギー政策
④ Minab学校爆撃(168人死亡)
「The missile is very generic(ミサイルは汎用品だ)」と述べ米国の責任を否定。「十分な情報がない。トマホークは他者も使う」と発言し週末の「イラン責任」発言を撤回。
⑤ プーチンとの電話会談
同日実施。トランプは「プーチンが協力したいと言った」と述べたが、プーチンはその後、モジュタバー・ハメネイ新最高指導者に「イランへの揺るぎない支持」の祝電を送り、実質的に二重外交を展開。
ピークから引けまでの下落幅は最大▼$35超。G7備蓄放出報道(第2段階)で$103〜108に後退した後、トランプCBS発言(第3段階)が$83.89まで叩き落とした。
原油急落・リスクオン転換に伴うドル反発が重石
ただし地政学プレミアムが根強く、大きく売られず底堅い
ATH:$5,595.46(1/29)
史上最高値(2/26:59,332)比▼11%
史上最高値(2/27:6,347)比▼16%超
KOSPI▼約16%
KOSPIは+5%超の急反発も、2/25に史上初の6,000台(終値6,307)を達成し、2/27に日中最高値6,347をつけた翌日2/28の開戦から10日間で失った16%超はまだ回復できていない。日経も2/26に史上最高値59,332円をつけた翌々日の開戦から積み上がった▼11%の穴は深い。
ドルがアジア時間に若干後退したことが支援材料に
「終戦期待」でも地政学プレミアムが消えない状態
$5,200超の戻りはまだ重い展開
アジア時間の原油はNY引けからさらに軟調推移。$83〜88のレンジが意識されるが、トランプの「戦争はまだ終わっていない」発言も混在するため再急騰リスクは残存。為替はリスクオン転換でドル/円はやや円安方向だが、ホルムズ問題の根本解決なく有事の円買いが完全に剥落したわけではない。
原油が$119→$83と暴落し、株が急反発し、リスクオンが再来した。それでもゴールドはほぼ動かなかった。
通常のリスクオン転換なら金は売られる。しかし今回の下落は▼0.6%程度。このことが示すのは「市場はまだイラン戦争を"終わった話"として処理していない」ということだ。
② いったん調整フェーズ:3/3〜3/5(値固め) → 通過中
③ 慣れフェーズ:3/6〜3/9(「終戦近い?」で一部売り) → 今ここ
④ 次の触媒探しフェーズ:停戦実現 or 長期化確定 → 今後の焦点
次の大きな方向は「本物の停戦合意(ゴールド売り)」か「戦闘長期化の再確認(ゴールド買い)」かの二択。トランプが「Very soon」と言い続ける限り、方向感が出にくい中途半端な状態が続く可能性が高い。
【シナリオA:近日中に停戦・休戦】 原油$75以下・株全面回復・ゴールド$5,000割れリスク。G7備蓄放出実施なら追加で$10〜20の押し下げ効果も。
【シナリオB:「Very soon」が実現せず継続】 原油再び$100超・ゴールド$5,200〜5,400再試験。トランプの矛盾発言が続く中、このシナリオを否定できる材料は今のところない。
現時点でのゴールドは$5,140付近を「フロア」として機能させており、下にも上にも振れにくい状態。乗り遅れ不安より「正確なエントリーポイントの見極め」が重要な局面。
| 資産 | 3/9アジア早朝ピーク | 欧州時間G7報道後 | 3/9 NY引け | 3/10アジア |
|---|---|---|---|---|
| Brent原油 | $119.50(戦時最高値) | $103〜108 | $106.61付近(WTI $85.44) | 軟調継続 |
| WTI原油 | $100超 | $100付近 | $85.44(一時$83.89) | $83〜88圏 |
| XAU/USD(金) | 高値圏 | — | $5,140(▼0.6%) | $5,140〜5,160(底堅い) |
| 日経225 | ▼5.2% | — | 米株急反発 | ▲+1.66%(52,728) |
| KOSPI | ▼5.96%(CB2回発動) | — | 米株急反発 | ▲+5%超 |
| ドルインデックス | 強(リスクオフ) | — | 99.11(+0.26%) | やや後退 |
| 米10年債利回り | — | — | 4.15%(+1.8bps) | — |
・Fox Business「G7 finance ministers to discuss emergency oil reserve release amid price surge」March 9, 2026
・Argus Media「G7 to assess Mideast Gulf crisis as oil tops $100/bl」March 9, 2026
・Energy Connects「Oil pares record gains as G7 mulls release of emergency oil reserves」March 9, 2026
・beincrypto.com「Can 400 Million Barrels Stop Oil's Runaway Price Surge?」March 9, 2026
・European Business Magazine「G7 Considers Emergency Oil Reserve Release」March 9, 2026
・CNBC「G7 energy ministers to meet Tuesday morning to discuss release of oil reserves」March 9, 2026
【トランプ発言】
・CBS News(Weijia Jiang)電話インタビュー記録, March 9, 2026
・NPR「Trump holds press conference as U.S.-Israel-led Iran war enters second week」March 9, 2026
・Al Jazeera「Trump says US-Israeli war on Iran will be over 'very soon'」March 9, 2026
・Times of Israel「Trump on Iran war: 'We've already won in many ways, but we haven't won enough'」March 9, 2026
・KYMA「President Trump holds press conference to discuss war in Iran」March 9, 2026
【各国反応】
・Euronews ライブブログ「Live - Trump says Iran war will be 'short-term excursion'」March 9, 2026
・CNN「China warns 'flames of war' spreading」March 7, 2026
・NBC News「Europe's mixed response to Iran war draws Trump's fury」March 9, 2026
・Council on Foreign Relations「Europe's Disjointed Response」March 6, 2026
・東京新聞「高市首相、イラン攻撃めぐる米軍への後方支援を否定」March 9, 2026
・Yahoo!ニュース(ABEMA TIMES)「日米首脳会談でトランプ大統領にイラン攻撃の中止を求めるべきでは」March 9, 2026
【株式市場背景】
・Yahoo!Finance 日経平均 年初来高値59,332.43(2026年2月26日)
・Bloomberg「KOSPIが6000突破」February 25, 2026

