【原油+6%】イラン空爆で金5,419ドル急騰|158ドル乱高下の真相【3/2 NY】

2026年3月3日火曜日

金融市場振り返り

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【イラン戦争勃発】原油+6%急騰・ゴールド5,419ドル急騰【3/2 NYクローズ】|ぱぶちゃんの金・ゴールドFXマクロ

2026年3月3日(火)掲載|対象期間:2026年3月2日(日本時間 8:00)〜 3月3日(7:00)

🚀 本稿は3/2 NYクローズ確定値を基に整理しています。

🔥【イラン戦争勃発】原油+6%急騰・ゴールド5,419ドルまで急騰【3/2 NYクローズ】

グローバル金融市場 振り返りレポート

#イラン戦争 #OperationEpicFury #原油急騰 #ゴールド最高値 #ホルムズ海峡 #XAUUSD #ISM製造業PMI #地政学リスク

⚡ 【今日の結論:30秒で読む】

🇺🇸 米国株:週末に米・イスラエルによるイラン空爆(Operation Epic Fury)が勃発、ホルムズ海峡リスクが意識される中、寄り付きは大幅安。しかし「地政学リスクは株を長期的に押し下げない」という歴史則に沿った押し目買いが流入し、S&P500+0.04%・NASDAQ100+0.13%と奇跡的な下げ渋り。ダウ-73.14ドル(-0.15%)。防衛株急騰・エネルギー株急騰がナスダックの反発を相殺。

🌏 日本・アジア:日経225-793.03円(-1.35%)と急落。欧州も軒並み大幅安(DAX-2.42%・CAC-2.17%)。石油輸入依存度の高い国ほど売られる地政学ショック相場。上海総合のみ+0.47%と逆行高(内需・エネルギー独立性が評価)。

🥇 ゴールド:始値5,387.16→高値5,419.32(2月以降の高値圏。ATHは1/29の5,595.46)→安値5,261.23→終値5,322.12ドル(+0.83%)。「有事の金」と「利益確定売り」が激しくぶつかり、158ドル超の大乱高下。終値ベースでは前日比プラスを維持。WTI原油+5.98%・シルバー-4.78%と明暗。

🚀 3行サマリー(忙しい人はここだけ)

  • 2月28日(土)早朝、米・イスラエルが「Operation Epic Fury(米)/ Operation Roaring Lion(イスラ)」と名付けた大規模空爆をイランに実施。イスラム革命最高指導者アリー・ハーメネイー師が死亡。イランは中東全域へのミサイル・ドローン報復を開始し、ホルムズ海峡の通航が部分的に遮断されるリスクが急浮上した
  • WTI原油は一時75ドルまで急騰(+5.98%で71.03ドル引け)。欧州株は原油輸入依存と地政学不安の直撃で2〜2.5%の大幅安。一方、米国株は防衛株・エネルギー株の急伸が全体を下支えし、ほぼフラットでNYクローズ
  • ゴールドは5,419ドル(2月以降の高値圏。ATHは1/29の5,595.46ドル)まで急騰後、大幅に反落して5,261まで下押し。終値5,322.12ドル(+0.83%)で引けたが、上ヒゲの長い不安定なローソク足を形成。ISM製造業PMI(2月)は52.4%と予想上回り、価格指数が70.5%へ急騰——インフレ再燃懸念が重なった

🥇 【XAUUSD視点】今日のゴールドを一言で

「史上最高値圏への接近→大幅急落→下ヒゲ反発」という3幕構成の乱高下。寄り付きで+109ドルの窓を開けて5,387ドルで始まり、高値5,419.32ドル(2月以降の高値圏。ATHは1/29の5,595.46)まで駆け上がった後、イラン反撃リスクの「織り込み過ぎ」修正と原油高によるインフレ再燃(利下げ後退)観測が重なり、一時5,261ドルまで急落。その後は押し目買いが流入し5,322ドルで引け。終値ベースの前日比は+44.22ドル(+0.83%)。日中レンジ158ドル超は今年最大級の振れ幅。「有事の金」買いと「インフレ→利下げ後退」売りが同時に機能した矛盾の一日。詳細はコモディティセクションで整理した。


📝 前書き

3月2日(月)の市場を一言で表すなら「中東に戦争の火が灯った週明け」だった。2月28日(土)早朝、米軍とイスラエル軍は「Operation Epic Fury」および「Operation Roaring Lion」と名付けた協調空爆をイランに対して実施。1979年のイスラム革命以来、最高指導者として同国を率いてきたアリー・ハーメネイー師が死亡した。第二次世界大戦後の国際秩序においても類例を見ない政治的衝撃だ。

イランは中東各国に展開する米軍基地とイスラエルへの報復ミサイル・ドローン攻撃で応答し、ドバイ・アブダビ・マナーマ・ドーハなどの湾岸主要都市で爆発が報告された。世界の原油輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡では商業船舶が相次いで通航を見合わせ、3隻が被弾・部分損傷を受けたと報じられた。石油メジャーや大手商社は一時的にホルムズ経由の原油・燃料輸出を停止する措置を取ったとロイターが報道している。

市場の週明け反応は「恐怖→急落→押し目買い」という古典的なパターンをなぞった。プレマーケットでは米株先物が-1〜1.5%を超える下落を示し、WTI原油は75ドルまで急騰、ゴールドは5,419ドルへ飛躍した。しかし歴史的に見て、地政学リスクが株式市場に与えるダメージは一時的であるという「マーケットの記憶」が働き、NYの開場後は機関投資家の押し目買いが徐々に流入。S&P500はほぼフラット(+0.04%)で引けるという底堅さを見せた。一方、欧州市場は「エネルギー輸入依存」という構造的弱点を直撃され、DAX-2.42%・CAC-2.17%と大幅安を免れなかった。

この一日に重なったのが、米ISM製造業PMI(2月)の発表だ。結果は52.4%と予想(51.7〜51.8%)を上回り、製造業拡張が2カ月連続で確認された。ただし注目すべきはサブ指数のインフレ圧力指数(Prices Index)が70.5%と2022年6月以来最高水準まで跳ね上がったこと。戦争による原油高が製造コストのさらなる上昇を引き起こすシナリオが、FRBの利下げ判断をより難しくすると市場は受け止めた。


📌 主要ニュース(3点ピックアップ)

① 米・イスラエル、イランを空爆——ハーメネイー師死亡・ホルムズ海峡封鎖リスク浮上

2月28日(土)午前1時15分(ET)、米軍は「Operation Epic Fury」を開始。イスラエル軍との協調空爆でイランの軍事施設・核関連施設・国家安全保障会議庁舎などを標的とした。同日午前中(イラン時間)に開かれていた国家安全保障会議の席上でハーメネイー師をはじめ軍参謀総長・国防相・IRGC(革命防衛隊)司令官らが一斉に死亡したと報じられた。

イラン側は即座に報復を実施。イスラエル・湾岸各国に展開する米軍基地と湾岸産油国へのミサイル・ドローン攻撃を開始した。サウジアラビアのアラムコ社ラスタヌーラ製油施設に破片が着弾し小規模火災が発生。ドバイ国際空港でも爆発物の被害が確認された。これを受け多くの航空会社が中東路線を一週間程度キャンセルし、シリウム(航空データ社)によると3月2日だけで中東向け1,560便(予定の41%)が欠航した。

💡 ゴールドの観点からの読み解き:ハーメネイー師の死はイラン政権の指揮系統に根本的な不確実性を生む。短期的には「だれが次の最高指導者になるか」という政治的混乱がリスクプレミアムを維持し、ゴールドへの安全資産需要を支える。中長期的にホルムズ海峡が実質的に封鎖される事態となれば、原油価格の一段高→インフレ持続→FRB利下げ困難という経路が強まり、「インフレヘッジとしてのゴールド」需要が構造的に高まる。逆に、イランの政権交代が速やかに進み外交的解決に向かえば、リスクプレミアムの急速な剥落により一時的なゴールド急落も想定されることに注意が必要だ。

② ISM製造業PMI 52.4%——価格指数70.5%の「インフレ爆弾」

3月2日午前10時(ET)、米ISM(米供給管理協会)が2月の製造業PMIを発表した。ヘッドラインは52.4%(前回52.6%・予想51.7〜51.8%)と予想を上回り、製造業の拡張が2カ月連続で確認された。新規受注指数も55.8%(前回57.1%)と拡張圏を維持。製造業の回復基調は継続していることが確認された。

しかし市場が最も注目したのはPrices Index(価格指数)だ。70.5%と前回(59.0%)から11.5ポイントも急騰し、2022年6月(78.5%)以来最高となった。これは製造業者がサプライヤーへの支払い価格の急上昇を体感していることを示す。イラン戦争勃発によってさらに原油が高騰すれば、今後のPrices Indexは80%超に達する可能性も排除できない。

💡 FRBへの影響:製造業PMI自体は良好だが、価格指数の急騰は「景気は強いのにインフレも強い」というFRBにとって最もやっかいな組み合わせを示唆している。ISMのサービス価格指数と合わせてPCE(個人消費支出価格指数)への波及が試算されており、仮に原油高が継続すれば3月13日発表の1月コアPCEおよび4月以降の数値が一段と上振れるリスクがある。「3月17〜18日FOMCで利下げなし」というコンセンサスは揺らがないが、「2026年後半の利下げ開始」シナリオも後退しつつある。

③ トランプ大統領「継続作戦」宣言——ルビオ国務長官も正当性を強調

トランプ大統領は空爆直後にTruth Socialへの投稿で「イランは米国の中核的な安全保障利益に対する脅威だった」と明言し、政権交代を目的とした作戦の継続を宣言した。3月2日にはルビオ国務長官が議会上下両院の幹部への秘密ブリーフィングに臨み、「イランからの差し迫った脅威が存在した」として先制攻撃の正当性を主張した。民主党のシューマー院内総務は「回答よりも疑問が増えた」と批判し、議会での分断が鮮明になっている。

国際社会ではフランス・英国・ドイツが「外交的解決を求める」との共同声明を発出。EU外交政策代表のカラス委員は「定義的な瞬間だが不確実性は残る」とコメント。中国は「国連憲章への重大な違反」と非難し、ロシアは「無根拠な武力侵略」と強く批判した。国連安全保障理事会は緊急会合を開いたが、拒否権の行使見通しから決議には至っていない。

💡 「AIレイオフ」と同様の複層的影響:今回のイラン戦争はゴールドにとって、先週のBlock大量解雇と同様に複層的な買い材料を持つ。①ホルムズリスクによる原油高→インフレヘッジ需要、②地政学不確実性によるリスクオフ、③ドル高と金利上昇という「逆風」の同時発生——この矛盾した力学の中で、ゴールドが5,200台を維持できるかが目先の焦点となる。

📅 3/2(日本時間)に発表された主要経済指標

発表日時(日本時間) 国・指標名 前回 予想 結果 評価
3/2 24:00 🇺🇸 ISM製造業PMI(2月) 52.6% 51.7〜51.8% 52.4% ↑ 予想上回る。製造業2カ月連続拡張
3/2 24:00 🇺🇸 ISM価格指数(2月) 59.0% 59.5% 70.5% ↑↑ 2022年6月以来最高。インフレ再加速シグナル
3/2 24:00 🇺🇸 ISM新規受注(2月) 57.1% 55.8% → やや鈍化も拡張圏維持
3/2 24:00 🇺🇸 ISM雇用指数(2月) 48.1% 48.8% → 依然として収縮圏だが改善傾向
💡 指標の読み解き:ヘッドラインのPMI52.4%は製造業の底堅さを示すが、今週の市場を動かす主役にはなれなかった。最大の注目点は価格指数(70.5%)の急騰であり、イラン戦争による原油高と組み合わさることでインフレ再加速への懸念がより強まった。ISMのNew Orders(55.8%)とBacklog(56.6%)が共に拡張圏にあることは需要の底堅さを示すが、雇用指数が48.8%と依然として収縮圏にある点は景気減速リスクも内包している。「強い物価・弱い雇用」というスタグフレーション的色彩は、FRBにとって極めて扱いにくい状況だ。

📈 株式市場

※終値は3/2 NYクローズ確定値(日本・アジア株は3/2現地終値)。騰落はすべて前日比。

① 日本・アジア株

指数終値前日比騰落率
日経22558,057.24-793.03-1.35%
TOPIX3,898.42-40.26-1.02%
ハンセン指数(香港)26,059.85-570.66-2.14%
上海総合指数4,182.59+19.71+0.47%
KOSPI(韓国)6,244.13-63.64-1.00%

日経225は-793.03円(-1.35%)と大幅下落し、週末の地政学ショックを素直に織り込む形で売り先行のスタートとなった。先週末(2/27)に58,850円と高値圏をキープしていた分、利益確定売りも重なった。TOPIXも-1.02%と連動して下落したが、日経の下落幅がより大きいのは値嵩の半導体・グロース株(アドバンテスト、ディスコ等)への売りが日経を押し下げる構図だ。

注目すべきはハンセン指数の-2.14%(-570.66pt)だ。前日の+0.95%から一転して大幅安。香港・中国は中東からの原油輸入への依存度が相対的に高く、ホルムズ海峡リスクが直撃した形だ。KOSPIも-1.00%と連動して下落。一方で上海総合指数は+0.47%と「逆行高」を演じた。中国の中東産油国との関係や独自の一次エネルギー確保策(国内石炭・原子力)が評価されたとの見方もあるが、週明けの反応が遅れた可能性もある。

② 欧州・米国株

指数終値前日比騰落率
FTSE 100(英国)10,780.11-130.44-1.20%
DAX 30(ドイツ)24,672.40-611.86-2.42%
CAC 40(フランス)8,394.32-186.43-2.17%
NYダウ48,904.78-73.14-0.15%
NASDAQ 10024,992.60+32.56+0.13%
S&P 5006,881.62+2.74+0.04%

欧州株は今回の地政学ショックで最も深手を負った。DAX-2.42%・CAC-2.17%・FTSE-1.20%という軒並みの大幅安だ。理由は構造的で明快だ。ドイツ・フランスをはじめとする欧州主要国は原油・天然ガスの中東依存度が米国より遥かに高く、ホルムズ海峡の通航リスクが直接的なコスト高に結びつく。加えて欧州は2022年のロシア・ウクライナ戦争でエネルギー危機を経験した「トラウマ」もあり、地政学リスクへの感応度が高い。「原油高→インフレ→欧州中銀(ECB)の利下げ先送り→成長鈍化」という連鎖を市場は即座に織り込んだ。

米国株は対照的な動きを見せた。プレマーケットでは-1〜1.5%の大幅安が予想されたが、NYの開場後は防衛株とエネルギー株が全体の下支えとなった。ロッキード・マーティン+6%・ノースロップ・グラマン+5%・AeroVironment+10%超と防衛銘柄が急騰。エクソンモービル・シェブロン・コノコフィリップスなどのエネルギー株が4〜5%の上昇を記録し、ダウの下落を限定的に抑えた。NASDAQ100が+0.13%とプラスを維持できたのは、テック大手(NvidiaやMicrosoft等)への「戦争の影響を受けにくいキャッシュリッチ企業」としての買いが流入したためだ。

💡 「2月の市場」との連続性:先週の2月最終週はPPIショックとBlockのAIレイオフが市場を揺さぶった。そこに今週は「イラン戦争」という最大級の地政学リスクが加わった。S&P500は2月を月間マイナスで終えており、3月の出だしも地政学ノイズを抱えたスタートとなった。ただし「地政学リスクが株の長期トレンドを変えた事例は稀」というウォール街のコンセンサスが底堅さを支えている。

💱 為替

通貨ペア終値前日比方向感
ドル円(USD/JPY)157.47+1.41↑ ドル高(地政学リスク→ドル安全資産需要)
ユーロドル(EUR/USD)1.1690-0.0122↓ 大幅ユーロ安(-1.03%)。欧州エネルギーリスク
ドルインデックス(DXY)98.38+0.73↑ ドル高(+0.75%)。有事のドル買い

ドル円は157.47円と前日比+1.41円(+0.91%)の大幅ドル高・円安。注目すべきは方向性が「先週の円高から転換した」点だ。2月27日(金)のPPIショック局面ではドル円はほぼ横ばい(156.06円)だったが、今回は「有事のドル買い」が鮮明に出た。米国は世界最大の軍事力を持つ「最後の安全資産」として、地政学リスクが高まるほどドル需要が高まる傾向がある。加えて、米国のエネルギー自給率が高い(シェールオイル)ことも相対的なドルの底堅さを支えている。

ユーロドルは1.1690と前日比-0.0122(-1.03%)の大幅ユーロ安。先週の2月を通じた「米ドル一強の終焉」トレンドが一日で部分的に巻き戻された格好だ。欧州は中東産エネルギーへの依存度が高く、ホルムズ封鎖リスクが欧州経済に与えるダメージはドルに比して遥かに大きい。ECBの利下げ期待剥落も合わさり、ユーロは主要通貨の中で最も売られた。

💡 「有事のドル高・円安」というパラドックス:有事には通常「円高」が進むとされる(安全資産需要)。しかし今回は日本も原油輸入依存国であり、貿易赤字拡大懸念からむしろ円売りが優勢となった。ドル・スイスフランへの逃避が優先されており、円の「有事の安全資産」としての機能が低下していることを示す。3月の日銀会合(18〜19日)に向けて、ホルムズリスクを含むインフレ環境が日銀の政策判断にどう影響するかが次の焦点だ。

📊 金利・債券

指標水準前日比方向感
JGB10Y(日本10年債)2.065%-0.051%↓ 大幅低下(-2.41%)。リスクオフ・日本国債に資金流入
US10Y(米10年債)4.048%+0.086%↑ 上昇。「4%の壁」を再び超える。インフレ再燃懸念

US10Yの+0.086pt(4.048%)は、先週2月27日(金)に3.942%まで低下(「4%の壁」割れ)した流れを完全に反転させた動きだ。先週は「PPI超過なのに金利低下」という逆説的な動きが生じたが、今週は「イラン戦争→原油高→インフレ再加速→FRBの利下げがさらに後退」という素直なロジックで金利が上昇した。ISM価格指数の70.5%という急騰も、インフレ継続への懸念を強めた。

JGB10Yは2.065%(-0.051%)と大幅低下。先月の高値圏(2.158%付近)から着実に低下しており、リスクオフ局面での日本国債への資金流入が続いている。3月の日銀会合(18〜19日)を前に、「ホルムズリスクによるインフレ上振れ」と「地政学不安による景気慎重化」という二つの力が日銀の判断を複雑にしている。「利上げペースの一時停止」観測が金利の上昇を抑えている側面もある。

💡 「US10Y vs XAUUSD」の逆相関の崩壊:通常、金利上昇(US10Y↑)はゴールドにとって逆風だ。しかし今日のゴールドは金利が上昇する中でも終値ベースでプラスを維持した。これは「インフレヘッジ」と「地政学リスクオフ」という2つの買い材料がUS10Y上昇の逆風を打ち消したことを示す。ただし本日の高値5,419から5,261まで158ドル急落したことは、「金利上昇ショック」が瞬間的にゴールド売りを引き起こしたことも示している。金利との綱引きが続く局面だ。

🪙 コモディティ

品目終値前日比騰落率
WTI原油先物$71.03/バレル+$4.01+5.98%
ゴールドスポット(XAU/USD)$5,322.12/oz+$44.22+0.83%
シルバースポット(XAG/USD)$89.3585/oz-$4.4846-4.78%

🔥 WTI原油(+5.98% / $71.03)

WTI原油の+5.98%(+$4.01)は今年最大の1日上昇幅の一つだ。前日の67.02ドルから71.03ドルへ急騰し、一時は75ドルを超えた場面もあった。背景は明確でホルムズ海峡の通航リスクだ。石油メジャーと大手トレーディングハウスは一時的に同ルート経由の原油輸送を停止。3隻の商業船舶が被弾・損傷を受けたとの報告も価格を押し上げた。ブレント原油は52週高値の78ドル台に達した局面もあった。

ただしアナリストの間では「これはテールリスクシナリオ」という冷静な見方も多い。ウェルズ・ファーゴはS&P500の年末目標7,500ドルを維持しつつ「ホルムズ海峡の長期遮断は基本シナリオではない」と述べた。ゴールドマン・サックスのドミニク・ウィルソン氏は「エネルギーショックの規模と持続性がなければ株の影響は限定的」との見解を示している。

🥇 ゴールド(XAU/USD)深掘り

水準(ドル)意味
5,4193/2高値(2月以降の高値。ATHは1/29の5,595.46)
5,3873/2始値(前日比+109ドルの窓開け)
5,3223/2終値
5,2782/27高値(旧レジスタンス)
5,2613/2安値(東京〜欧州の戻り売り)
5,200心理的サポート(先週突破した旧レジスタンス)

本日のゴールドは5,419ドルへの急騰と大幅急落を同日に経験するという、きわめて異例の乱高下となった。日中レンジは始値5,387.16 / 高値5,419.32 / 安値5,261.23 / 終値5,322.12と、158ドルを超える巨大な振れ幅だ。

【日中の動き:3幕構成の攻防】 ①東京・欧州時間:イラン戦争の報道を受け、前日終値(5,277.9ドル)から+109ドルの窓を開けて5,387ドルでスタート。「有事の金」買いが一気に流入し、5,419.32ドル(2月以降の高値。ATHは1/29の5,595.46ドル)まで急騰した後、②NY前場:ISM製造業価格指数70.5%という「インフレ再加速」シグナルとUS10Yの急上昇(4%の壁超え)が重なり、「利下げ後退=ゴールドの逆風」との連想売りが急速に広がった。一時5,261ドルまで158ドルの急落。③NY後場:押し目買いが流入し5,322ドルまで値を戻して終値。

【ローソク足の読み方:長い上ヒゲ=「上値の重さ」を示す警戒サイン】 本日の日足は「上ヒゲが長く実体が陰線」という典型的な「流れ星(シューティングスター)」に近い形状だ。始値5,387→高値5,419から終値5,322まで閉じており、「ATH(5,595.46)には届かなかったが2月以降の高値を更新、しかし上を維持できなかった」という需給を示している。テクニカル的には短期のモメンタム鈍化シグナルとして読む必要がある。ただし終値が安値5,261から大きく離れており、下値での押し目買い需要の強さも同時に確認できる。

💡 当面の注目水準:5,595(ATH・1/29高値)→最大の上値抵抗/5,419(3/2高値)→直近レジスタンス候補/5,278(2/27高値)→即時サポート候補/5,261(3/2安値)→このラインを割り込むようなら5,200試しが視野に/5,200(先週突破した旧レジスタンス→新サポート候補)

で、ゴールドどうなんだ?——5,419まで急騰したが「持ちきれなかった」一日。ATH(5,595.46)まではまだ176ドルの距離がある。上ヒゲの長さが示すように、5,400台での売り圧力は強い。ただし5,261の安値を実体で割らなければ、「調整は浅い」という見方も成立する。次の展開は:①イラン情勢がさらに悪化(ホルムズ封鎖)→5,419超えからATH奪還のシナリオ、②外交的緊張緩和→リスクプレミアム剥落で5,200割れのリスクシナリオ。どちらのシナリオも地政学ニュースが鍵を握る。

🥈 シルバー(XAG/USD:$89.3585 / -4.78%)

シルバーは-4.78%(-4.4846ドル)と急落し、ゴールドとの明暗が際立った。先週2月27日の+6.19%という驚異的な急騰からわずか1営業日での大反落だ。理由は複合的だ。①シルバーは工業需要(電気自動車・太陽光パネル等)の要素が強く、戦争による景気減速懸念が工業需要を抑制するとの見方が売りを呼んだ。②先週の大幅上昇(+6.19%)の利益確定売りが週明けに集中した。③ゴールドが5,400台で不安定な動きを見せたことで、相対的に安全なゴールドへの資金シフトが進み、シルバーが相対的に売られた。ゴールド/シルバー比率(GSR)は先週の約56から再び60台へと拡大している。


🧠 市場心理・VIX

指標水準前日比解釈
VIX(恐怖指数)21.44+1.58(+7.96%)↑ 上昇加速。地政学ショックで「20の壁」を明確に超える

VIXは21.44と前日比+7.96%に上昇し、心理的節目の「20」を明確に突破した。先週末の19.86から一気に21台へと駆け上がり、2月を通じてくすぶっていた不安心理が一気に顕在化した格好だ。ただし、プレマーケットでは+10%を超えていたVIXが引けにかけてやや落ち着いたことは、NYの投資家が「地政学リスクは長期の株安要因にはなりにくい」という経験則を発動させたことを示す。

リスクオン材料(3月に向けて):防衛株・エネルギー株への業種ローテーション / 米国の相対的エネルギー自給率の高さ(シェールオイル優位) / 外交的解決シナリオ実現ならリスクプレミアム剥落 / 3月6日(金)の雇用統計待ち

残存するリスク:ホルムズ海峡の実質封鎖への発展 / イラン後継指導者体制の混乱と「報復の連鎖」継続 / ISM価格指数70.5%によるインフレ再加速 / 3月13日コアPCE・3月17〜18日FOMC前の「待機相場」 / VIX21台継続での市場センチメント悪化


🚀 全体まとめ

3月2日(月)は「戦争が始まった」という事実が市場の全アセットを動かした一日だった。米・イスラエルによるイラン空爆(Operation Epic Fury)は地政学リスクを一段高い次元に引き上げ、「中東の有事はいずれ収まる」という従来の市場の前提を揺さぶった。

株式市場は「欧州の壊滅的な売り」と「米国の奇跡的な下げ渋り」が対照的な一日となった。DAX-2.42%・CAC-2.17%という欧州の大幅安は、エネルギー輸入依存という構造的弱点の直撃を受けたものだ。一方で米国株(S&P500+0.04%)が底堅かったのは、防衛株・エネルギー株の急騰と「地政学リスクは株市場を長期に押し下げた事例が少ない」という投資家の経験則が働いたためだ。

ゴールドは5,419.32ドル(2月以降の高値圏、ATHは1/29の5,595.46ドル)まで急騰したものの、「インフレ→利下げ後退→金利上昇→ゴールド売り」という逆風と「有事の安全資産需要」という追い風がぶつかり、158ドルという今年最大級の日中レンジを形成した。終値5,322.12ドル(+0.83%)でプラスを維持したことは一定の底堅さを示すが、上ヒゲの長いローソク足は「5,400台での売り圧力の強さ」を警告している。

3月の注目点は変わらず3つ。①3月6日(金)雇用統計(非農業部門雇用者数・平均時給)——戦争とインフレという両面から労働市場への影響を測る最初の指標となる。②3月13日(金)1月コアPCE——今回のISM価格指数70.5%とPPIを合わせた試算では3.1%前後が予想される「高インフレ確認イベント」。③3月17〜18日(火水)FOMC——利下げなしはコンセンサスだが、パウエル議長が「戦時下のインフレ」にどう言及するかが最大の注目点となる。

🥇 【最終判断:「相場を変えた週末」——次の分岐点は外交か軍事か】

2月27日のPPIショックが「インフレの亡霊」を呼び覚ましたとすれば、3月2日のイラン戦争は「地政学の亡霊」を同時召喚した日だ。ゴールドは今や「インフレヘッジ」「リスクオフ」「ドル信認の揺らぎ」という3つのテーマすべてで買い材料を持つ構造に入っている。

最大のリスクは「急速な外交的解決」だ。イランの後継指導者が対話路線に転じる、または米・イランが停戦に合意する場合、リスクプレミアムの急速な剥落により5,200ドルを割り込む急落シナリオが現実味を帯びる。逆にホルムズ海峡が実質的に閉鎖される事態となれば、WTI100ドル超・ゴールド6,000ドル超という強気シナリオも視野に入る。3月は「地政学ニュースへの感応度が過去最高水準」という状況での値動きが続く。


📊 マーケットデータ一覧(3/2 NYクローズ確定値)

資産終値前日比(値)前日比(率)
日経22558,057.24-793.03-1.35%
TOPIX3,898.42-40.26-1.02%
ハンセン指数26,059.85-570.66-2.14%
上海総合指数4,182.59+19.71+0.47%
KOSPI6,244.13-63.64-1.00%
FTSE 10010,780.11-130.44-1.20%
DAX 3024,672.40-611.86-2.42%
CAC 408,394.32-186.43-2.17%
NYダウ48,904.78-73.14-0.15%
NASDAQ 10024,992.60+32.56+0.13%
S&P 5006,881.62+2.74+0.04%
ドル円(USD/JPY)157.47+1.41+0.91%
ユーロドル(EUR/USD)1.1690-0.0122-1.03%
DXY(ドルインデックス)98.38+0.73+0.75%
JGB10Y2.065%-0.051-2.41%
US10Y4.048%+0.086+2.17%
WTI原油$71.03+4.01+5.98%
ゴールド(始値5,387.16 / 高値5,419.32 / 安値5,261.23)$5,322.12+44.22+0.83%
シルバー$89.3585-4.4846-4.78%
VIX21.44+1.58+7.96%

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📰 情報ソース

  • 経済指標・金利:Investing.com / みんかぶFX / CME FedWatch Tool / 米ISM(Institute for Supply Management)公式発表
  • 市場ニュース・中銀動向:ロイター / ブルームバーグ / 日本経済新聞 / CNBC / 各国中央銀行公式サイト
  • 地政学情報:Reuters / Al Jazeera / CNN / House of Commons Library / Wikipedia(2026 Israeli–US strikes on Iran)
  • 実勢価格:主要取引所データ(CME, ICE, JPX等)
  • 終値データ:3/2 NYクローズ確定値

🥇 執筆者:ぱぶちゃん

✍️ 執筆者 / 運営者
📈 投資歴6年 / 💹 XAUUSD(金/ドル) / 🌐 マクロ経済 / 📰 一次情報重視

世界の金融市場・経済指標を中心に、一次情報と複数の主要メディアを照合し、事実に基づき中立的な立場で整理・解説しています。投資歴6年、近年はXAUUSDを中心にFXで取引中。都合により証拠金・ポジションは公開できません。難しい専門用語より「で、ゴールドどうなんだ」という視点を大切にしてるぞ。

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このブログについて
当ブログ「ぱぶちゃんの金・ゴールドFXマクロ」では、
世界の株式・為替・商品・金利市場の振り返りや、
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投資判断を目的としたものではなく、
情報整理と理解を目的とした内容を提供しています。

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当ブログでは日々のマーケット情報を整理し、 冷静に読み解くことを目的としています。

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ぱぶちゃん|投資歴6年
ゴールド・マクロ・FXを事実ベースで解説するブログを運営中。
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