【2026年07月27日】米、対イラン攻撃を一時「保留」も週末にフーシ派がサウジアラムコ攻撃——ドル円163円台後半、原油は乱高下しつつ地政学リスク根強く
①米中央軍は24日夜、13日連続で続けてきた対イラン攻撃を停止。バンス副大統領・ケイン統合参謀本部議長が迎撃ミサイル備蓄の枯渇を懸念し、トランプ大統領は大規模攻撃を当面見送る方針とNYTが報道。国防総省は作戦を「保留」と説明
②週末にはフーシ派がサウジアラムコのジザン・ヤンブー拠点を攻撃したと発表するなど中東情勢は依然流動的。一方クウェート石油公社はブラックストーン等と160億ドルのパイプライン契約を締結し、ホルムズ海峡依存を下げる動きも進む
③ドル円は週明け163円台後半で推移し約40年ぶり水準を維持。金は4,100ドル台を回復して反発。原油は攻撃応酬の一服を受け週明けも一段安となったが、地政学リスクプレミアムは根強く神経質な展開。今週はFOMC(7/28-29)・日銀会合(7/30-31)を控える
📰 週末のニュース(7/25土〜27日朝)
| 日付 | 地域 | 見出し |
|---|---|---|
| 7/24 現地夜 | 🇺🇸🇮🇷 | 🔥🔥🔥 米中央軍が13日連続で続けてきた対イラン夜間爆撃を停止。国防総省当局者は25日、CNNに対し作戦は「保留」だと説明 |
| 7/24 現地 | 🇺🇸 | 🔥🔥 CNN報道によれば、24日にホワイトハウスで開かれた会合でバンス副大統領とケイン統合参謀本部議長が戦争激化に懸念を表明。ケイン氏は弾薬備蓄への影響を具体的に警告。ホワイトハウスのチャン報道部長は「イランは交渉による合意を目指すのが賢明だ」と声明 |
| 7/25 | 🇺🇸🇮🇷 | 🔥🔥 NYT報道として、トランプ大統領が検討していた対イラン大規模攻撃を当面見送る方針と判明。迎撃ミサイル(パトリオット等)の在庫減少、中東全域への戦火拡大リスク、湾岸同盟国との関係悪化への懸念が背景 |
| 7/25 | 🇾🇪🇸🇦 | 🔥🔥🔥 フーシ派がサウジ国営石油会社サウジアラムコのジザン・ヤンブー両拠点をミサイル・ドローンで攻撃したと発表。サウジによるイエメン・ホデイダ空爆への報復と説明。ジザンの製油所からは黒煙が上がる映像が拡散。サウジ側は26日時点でコメントなし |
| 7/25 | 🇰🇼🇺🇸 | クウェート石油公社(KPC)が米ブラックストーン・KKR・ブルックフィールドと、原油パイプライン網を対象とした160億ドル規模のリース・リースバック契約(「プロジェクト・ペレグリン」)を締結。クウェート史上最大の対内直接投資。前払い収益78.5億ドルをクウェート石油会社(KOC)の増産投資に充当 |
| 7/26 | 🇺🇸🇮🇷 | トランプ大統領が「(イランの)話を聞く用意はある」と発言。24日は米側から対イラン攻撃の発表なし |
| 7/26 | 🇧🇭🇰🇼🇮🇷 | 日本経済新聞は、バーレーンとクウェートがイランを空爆した可能性があると報道。応酬激化による戦闘拡大の恐れを指摘 |
| 7/27 朝方 | 🇺🇸🇮🇷 | 一部報道では、25日に米中央軍(攻撃主体)がイラン南部のミサイル発射基地と、機雷敷設を試みたイラン船舶(攻撃対象)を攻撃したとも伝えられており、「攻撃保留」の一方で米側による部分的な軍事行動は続いている可能性がある。フーシ派・イラン側からの新たな攻撃ではない点に注意。攻撃「保留」の背景・理由については後述の海峡コーナーで詳述。情勢は依然流動的 |
・クウェートのパイプライン契約は、ホルムズ海峡の機雷敷設・封鎖リスクが常態化する中で、湾岸産油国が輸送インフラの多角化・強靭化に動いていることを示す象徴的な事例。
・7月30〜31日:日銀金融政策決定会合。展望レポートの物価見通しと植田総裁会見が焦点。追加利上げに前向きな示唆が出れば円買い、慎重姿勢なら165円をうかがう展開も想定される。
🗓️ 本日7/27(月)について
FOMC(7/28〜29)・日銀会合(7/30〜31)を今週に控え、様子見ムードが強まりやすい週初。対イラン攻撃「保留」でひとまず地政学リスクはやや後退した一方、週末のフーシ派によるサウジアラムコ攻撃など不安定要素は残っており、中東情勢のヘッドライン次第では週をまたいでも値が飛びやすい地合いが続く点には注意したい。
🌊 バブ・エル・マンデブ海峡とホルムズ海峡の状況
イラン軍報道官アクラミニア氏は26日、国営テレビで戦争がバブ・エル・マンデブ海峡まで拡大していると明言した。フーシ派とサウジの軍事衝突を根拠に、作戦範囲はヨルダンの米軍基地から湾岸諸国まで地域全体を覆っていると述べた。
フーシ派は「人道支援活動調整センター」名で世界の海運会社に、サウジの港への出入りを避けるよう一斉警告を発信。これを受けタンカー「ロドス」号など複数船舶が急遽進路変更し、実際にサウジ所有タンカー「エンセリア」号が攻撃を受け船首で火災が発生した。サウジ主導の連合軍は「断固たる軍事的対応」を実施したと発表し、EUの海軍作戦ASPIDESも商船の護衛にあたっている。
サウジは紅海北部のヤンブー港(東西パイプライン経由)への振替輸送を拡大しており、同港からの輸出量は今年3月以前の日量100万バレル未満から現在は400万バレル超に急増、その大半がバブ・エル・マンデブ経由でアジア向け。専門家は、同海峡が封鎖された場合の代替ルート(スエズ運河・SUMEDパイプライン経由や喜望峰回り)には、超大型タンカーの喫水制限やコスト増などの技術的限界があると指摘している。
一方でホルムズ海峡を巡っては、イランとオマーンの副外相協議がテヘランで26日開催され、海峡の安全航行に関する「共通の原則と運用メカニズム」について進展があったとイラン外務省が発表した。Axios報道によれば、米国防総省がトランプ大統領に14夜連続となる対イラン攻撃を提案したが、大統領はオマーン代表団の受け入れを優先し攻撃を承認しなかった。イラン側はホルムズ海峡の通航状況に「変化はない」と説明している。
米国はなぜ攻撃を止めたのか——2つの報道の整理:24日夜の攻撃停止・保留を巡っては、性質の異なる2つの報道が並存している。①NYTは、同日の会合でバンス副大統領とケイン統合参謀本部議長が、パトリオットなど迎撃ミサイル(防空用)の備蓄減少を懸念事項として提起したと報道。これはあくまで防御側の弾薬に関する内部的な慎重論である。②Axiosは、米軍自体は大規模攻撃への態勢を整えており、トランプ大統領が命じれば即時対応可能な状態にあったと報道。その上で、大統領は24日に提出された攻撃計画を承認せず、オマーン代表団の受け入れ・対話継続を優先したとしている。両者は矛盾するというより、①が24日会合で出た内部懸念、②がその後の実際の政治判断という位置付けで補い合う関係にあり、「弾薬が尽きて攻撃できなかった」というより「攻撃態勢は維持しつつ、外交を優先する政治判断が主因だった」と読むのが妥当と考えられる。
💴 ドル円見通し
想定レンジ:162円台後半〜165円台前半
先週末24日のドル円は高値163.93円をつけたのち163.87円で終値。週明け27日午前9時47分時点では163.60円前後で推移し、対イラン攻撃「保留」を受けた地政学リスクの後退でやや上値の重い展開となっている。それでも約40年ぶりの水準は維持しており、政府・日銀による円買い介入への警戒感は依然として非常に高い。今週はFOMC・日銀会合という二大イベントを控え、思惑が交錯する神経質な展開が想定される。上方向では164.50円、下方向では161.60円前後が目先の節目。
🥇 金(ゴールド)見通し
金は4,000ドル前後での攻防が続く。週明け27日午前9時47分時点のNY金先物は4,105.40ドル(前日比+34.60、+0.85%)と反発し、心理的節目である4,100ドル台を回復した。金は安全資産というより実質金利の鏡であり、地政学リスクの高まりそのものよりも、原油高→インフレ再燃観測→FRBの引き締め姿勢→実質金利上昇という伝達経路が現在の上値を抑える主因になっている。中央銀行の継続的な金買いは下値を支える要因であり、方向感の出にくい神経質な展開が続きそうだ。
🛢️ WTI原油見通し
先週末24日のWTI原油(NYMEX9月物)はパキスタン仲介による米イラン協議再開への期待から2.88ドル(▲3.1%)安の89.31ドルへ反落した。米中央軍が24日夜に対イラン攻撃を「保留」としたことも重荷となり、週明け27日午前9時47分時点では84.62ドル(前日比▲4.69、▲5.25%)まで一段安となっている。フーシ派によるサウジアラムコ攻撃など地政学リスクは根強く残るものの、直近では攻撃応酬の一服を受けた戦争プレミアムの巻き戻しが優勢な展開。ホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡、双方の航行状況が引き続き最大の注目材料であり、今後の情勢次第では急な巻き返しにも警戒したい。
📊 本日7/27(月)の経済指標予定
| 時刻(JST) | 国 | 指標 |
|---|---|---|
| 08:50 | 🇯🇵 | 企業向けサービス価格指数(6月) |
| 14:00 | 🇯🇵 | 景気動向指数(確報値、5月) |
| 17:00 | 🇩🇪 | Ifo景況感指数(7月) |
| 17:00 | 🇪🇺 | マネーサプライM3(6月) |
| 21:30 | 🇺🇸 | 耐久財受注(速報値、6月) |
- CNN「米副大統領ら、イランとの戦争激化に懸念示す 攻撃は『保留』と国防総省関係者」(2026年7月26日)
- 日本経済新聞「トランプ氏がイラン大規模攻撃見送り、防空ミサイル枯渇懸念 米報道」(2026年7月26日、NYT引用)
- AFP「フーシ派がサウジ石油施設に攻撃、中東に新たな前線」(2026年7月26日)
- 共同通信「フーシ派、サウジ石油会社拠点を攻撃と主張」(2026年7月25日)
- Bloomberg「Kuwait Signs $16 Billion Pipeline Deal With Blackstone, Brookfield, KKR」(2026年7月25日)
- NHKニュース「米は迎撃ミサイル枯渇懸念しイラン攻撃強化を保留か」報道(2026年7月26日)
- 日本経済新聞「イラン軍事衝突 最新ニュースと解説」(2026年7月26日更新)
- Arab News「イラン軍、『米国が攻撃を再開すれば戦争は「さらに拡大する」』と表明」(2026年7月26日)
- Arab News「バブ・エル・マンデブ海峡の封鎖――世界的な海運へのリスク」(2026年7月26日)
- 日本経済新聞「原油・金・穀物価格 商品市場の最新ニュース」(2026年7月24日・27日)
- 外為どっとコム「来週のドル円相場はどうなる?7/27週のイベント予定」(2026年7月26日)
- nikkei225jp.com(世界の株価リアルタイムチャート)市況データ(2026年7月27日09:47時点)
- みんかぶFX 経済指標カレンダー(2026年7月27日)

