【アドバンテスト決算】1Q税引前利益はコンセンサス比+56%の大幅上振れ、通期予想も上方修正でIFISコンセンサスを上回る水準に
2026年7月29日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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アドバンテストの1Q(2026年4-6月)は、売上高3,675億円(+39.3%)、税引前四半期利益2,341億円(+92.9%)と四半期ベースで過去最高を更新。IFISコンセンサス(1,497億円)を約+56.3%上回る大幅上振れとなった。推論AI向け需要拡大を受け、会社はCY2026テスタ市場予想を+19%上方修正し、通期見通しも売上高1兆7,140億円・営業利益8,460億円へ引き上げ、いずれもコンセンサスを超える水準に。一方、株価は決算発表前から半導体株安の影響で軟調に推移していた。
📄 一次資料:アドバンテスト IR情報(決算短信・決算説明会資料)
📋 目次
1|アドバンテストとはどんな会社か
株式会社アドバンテスト(東証プライム6857)は、半導体デバイスの検査を行うテスタ(半導体テストシステム)で世界首位級のシェアを持つ半導体製造装置メーカー。事業セグメントはテストシステム事業(SoCテストシステム、メモリテストシステム、テストハンドラやデバイスインタフェース等のメカトロニクス関連製品群)とサービス他部門(サポート・サービス、消耗品販売、ナノテクノロジー関連製品等)の2区分。代表取締役兼経営執行役員社長Group COOは津久井幸一氏。AI関連の高性能半導体(GPU・ASIC・CPU・高性能DRAM等)向けテスタが主力製品として業績を牽引している。
2|主要財務ハイライト(IFISコンセンサス比較)
2026年7月29日、アドバンテストは2027年3月期第1四半期(2026年4-6月)決算を発表した。為替前提は1ドル=159円(前年同期146円)、1ユーロ=185円(前年同期162円)と円安方向に推移し、海外売上比率は99.1%(前年同期98.6%)だった。
| 指標 | 1Q FY2027/3 | 1Q FY2026/3 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,675億円 | 2,638億円 | +39.3% |
| 売上総利益率 | 69.5% | 65.1% | +4.4pt |
| 営業利益 | 1,900億円 | 1,240億円 | +53.3% |
| 営業利益率 | 51.7% | 47.0% | +4.7pt |
| 税引前四半期利益 | 2,341億円 | 1,214億円 | +92.9% |
| 四半期利益(親会社所有者帰属) | 1,748億円 | 902億円 | +93.8% |
| EPS(基本的) | 241.27円 | 123.14円 | +95.9% |
📊 IFISコンセンサスとの比較
IFISコンセンサス(2026年6月29日時点)による1Q経常利益(税引前利益相当)予想は1,497億円だった。実績の2,341億円はこれを約844億円、率にして約+56.3%上回る大幅な上振れとなった。なお、Bloomberg集計の市場予想(1Q売上高約3,400億円・営業利益約1,626億円)と比較しても、実績(売上高3,675億円・営業利益1,900億円)は明確な上振れとなっている。
通期についても、IFISコンセンサス(6月29日時点、売上高1兆4,798億円・営業利益6,838億円・経常利益6,823億円・当期利益5,097億円)およびBloomberg集計の市場予想(売上高約1兆5,128億円・営業利益約7,017億円)に対し、今回の会社側の上方修正後の通期見通し(売上高1兆7,140億円・営業利益8,460億円・税引前利益8,910億円・当期利益6,600億円)はいずれも上回る水準となった(IFIS比で売上高+15.8%・営業利益+23.7%・税引前利益+30.6%・当期利益+29.5%)。1Q実績・通期見通し引き上げ幅ともに、IFIS・Bloomberg等の市場予想を明確に上回る内容だった。
3|セグメント別動向
| セグメント(1Q) | 売上高 | 増減率 | セグメント利益 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| テストシステム事業 | 3,336億円 | +38.7% | 1,907億円 | +50.3% |
| サービス他部門 | 339億円 | +46.0% | 86億円 | +216.4% |
テストシステム事業:SoCテストシステムの売上高は2,596億円(※決算説明会資料ベース)で前四半期比増収。GPU向けの高水準な販売に加え、推論AI関連のASIC向けやCPU・通信半導体向けの需要も拡大した。メモリテストシステムは480億円で、高性能DRAM向けを中心に伸長。その他システム(デバイスインタフェース、テストハンドラ)もテスタ販売増加に伴い増収した。
サービス他部門:テスタの設置台数増加に伴うサポート・サービスの伸長に加え、高性能SoC半導体向けテスト用インタフェースボード等の消耗品販売も増加。セグメント利益は+216.4%と大幅増だが、前年同期には事業の一部譲渡による譲渡益25.04億円が含まれており、その反動も伸び率を押し上げている点には留意したい。
4|特殊要因
- 戦略投資関連の金融収益:金融収益として約447億円を計上。主因は投資ファンド持分への投資に対する期末時点の評価益で、税引前利益の大幅増を牽引した。
- 転換社債の負債計上:2026年4月に発行した1,000億円の転換社債型新株予約権付社債について、IFRSに基づき発行総額のうち889億円を負債として計上。
- 自己株式取得の進捗:2025年10月発表の自己株式取得プログラムについて、2026年6月末までに約361万株・864億円を取得。取得価額上限1,500億円に対し57.6%の進捗。
- 戦略的な有価証券の取得・売却:投資活動では、包括的なソリューション・プロバイダーへの進化を目指した戦略投資として投資ファンドへの出資・株式取得に計1,139億円を支出する一方、広範な戦略的優先事項を踏まえ保有株式の一部を売却(収入221億円)。
5|四半期推移
| 四半期 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY25 Q1 | 2,638億円 | 1,240億円 | 47.0% |
| FY25 Q2 | 2,629億円 | 1,084億円 | 41.3% |
| FY25 Q3 | 2,738億円 | 1,136億円 | 41.5% |
| FY25 Q4 | 3,281億円 | 1,531億円 | 46.7% |
| FY26 Q1 | 3,675億円 | 1,900億円 | 51.7% |
売上高・営業利益率ともに5四半期連続で緩やかな回復・上昇基調をたどり、FY26 Q1で四半期ベースの過去最高を更新した。
6|財務体質・キャッシュフロー
総資産は1兆5,147億円(前期末比+3,428億円)に増加。現金及び現金同等物732億円増、投資有価証券2,898億円増(戦略投資関連の取得および公正価値評価による増加)、棚卸資産419億円増などが主因。親会社所有者帰属持分比率は68.8%(前期末比+0.9pt)に上昇した。
営業活動によるキャッシュ・フローは1,372億円の収入(前年同期469億円の収入)。投資活動によるキャッシュ・フローは1,025億円の支出(前年同期34億円の支出)で、主に戦略投資関連の有価証券取得によるもの。財務活動によるキャッシュ・フローは350億円の収入(前年同期310億円の支出)で、転換社債発行による収入1,000億円が自己株式取得(▲422億円)や配当金支払(▲214億円)を上回った。現金及び現金同等物の四半期末残高は4,131億円(前期末比+732億円)。
7|通期2027年3月期見通し(上方修正の背景)とCY26テスタ市場
| 指標 | 4月公表予想 | 今回修正予想 | 修正額 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆4,200億円 | 1兆7,140億円 | +2,940億円 | +51.9% |
| 営業利益 | 6,275億円 | 8,460億円 | +2,185億円 | +69.5% |
| 税引前利益 | 6,290億円 | 8,910億円 | +2,620億円 | +72.4% |
| 当期利益 | 4,655億円 | 6,600億円 | +1,945億円 | +75.8% |
| EPS(基本的) | 641.61円 | 911.64円 | +270.03円 | +77.0% |
上方修正の背景は、推論用AI半導体(ASIC・CPU・DRAM)向けのテスタ需要が4月時点の想定を上回るペースで拡大していること。これを受け会社はCY2026テスタ市場規模予想を4月時点比で中間値ベース約+19%引き上げ、SoC・メモリ合計で130億~145億米ドル(4月時点:109億~122億ドル)とした。内訳はSoCテスタが105億~115億米ドル(同87億~95億ドル)、メモリテスタが25億~30億米ドル(同22億~27億ドル)。一方、先端パッケージングの容量制約やメモリ半導体の供給動向など、業界の外部環境の変動要因は引き続き存在するとしている。
通期の売上総利益率は66~67%を見込み4月時点予想を上回るが、Q1実績(69.5%)は下回る前提。下期にメモリ関連部材を中心とするコスト上昇の影響を織り込んでいる。営業利益率は49.4%を予想。為替前提はQ2以降1ドル150円・1ユーロ170円(4月時点から変更なし)で、営業利益への感応度は対米ドル1円円安につき+53億円、対ユーロ1円円安につき▲4億円としている。
なお、配当については2027年3月期予想欄が「-」(未定)となっており、現時点で年間配当額は開示されていない。
8|重要トピックス
- 顧客満足度調査で高評価:TechInsights社の半導体製造装置メーカー顧客満足度調査で「Global Semiconductor Supplier Award」を7年連続で第1位に選出、「Top 10 Customer Service(ラージサプライヤー部門)」も38年連続で受賞。
- サステナビリティ評価の継続:DJBIC Asia Pacificに4年連続選定、EcoVadisサステナビリティ評価でシルバーメダル、CDPサプライヤー・エンゲージメント評価で最高評価、SOMPOサステナビリティ・インデックスに10年連続選定。
- 生産能力増強の前倒し:足元の需要拡大を受け、従来計画を前倒ししながらサプライチェーン全体の対応力・製造パートナーとの連携・部材調達・品質・納入リードタイムを含めた供給能力強化を加速。
- R&D投資・パートナーシップの拡大:ソフトウェア開発、オートメーション、AIを活用したテスト技術への投資を継続強化。シリコンフォトニクスや先端パッケージング領域への取り組みも拡大し、テスト装置メーカーから包括的なソリューション・プロバイダーへの進化を志向。
9|株価反応
決算発表を前に、アドバンテストの株価は軟調な値動きが続いていた。7月28日には前日比-10%安となり、決算発表当日の7月29日午前(13時07分時点)でも24,455円・前日比-4.14%まで下落。背景には、サムスンやTSMCの決算発表を受けた米国・日本市場での半導体株急落や、アルファベットの設備投資見通し引き上げを嫌気した米国大手ハイテク株安の余波があるとみられる。今回の決算内容自体は税引前利益・通期見通しともに市場予想を明確に上回るものだったが、本稿執筆時点では決算発表後の終値ベースでの株価反応は確認できていない。
なお、みんかぶ集計によるアナリスト評価(2026年7月29日時点)は「買い」(強気買い11人・買い7人・中立3人)で、平均目標株価は35,519円(直近1週間で35,140円から上昇)となっている。
10|リスク・注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・決算説明会から読み取れる留意点
①先端パッケージングの容量制約やメモリ半導体の供給動向など、半導体業界における外部環境の変動要因は引き続き存在しており、これらがCY26テスタ市場見通しの前提を揺るがす可能性がある
②為替感応度が高い(1円の円安で営業利益、対米ドル+53億円、対ユーロ▲4億円)。通期前提はQ2以降1ドル150円・1ユーロ170円としており、実勢が円高方向に乖離した場合は上方修正した通期見通しに下押し圧力がかかる。逆にQ1実績(159円)並みの円安が続けば上振れ余地も残る
③通期の売上総利益率はQ1実績(69.5%)を下回る66~67%を前提としており、下期にメモリ関連部材コストの上昇を織り込んでいる点に留意
④サービス他部門のセグメント利益は前年同期比+216.4%と大幅増だが、前年同期には事業の一部譲渡益(25.04億円)が含まれており、単純な事業成長率としては割り引いて見る必要がある
⑤金融収益約447億円のうち大部分を占める戦略投資の評価益は市場環境によって変動し得るため、税引前利益の伸び率をそのまま本業の実力として捉えることには注意が必要
⑥株価はこれまで好業績への期待を先行して織り込んできた経緯があり、直近では半導体セクター全体のセンチメント悪化(サムスン・TSMC・アルファベット関連)も重なって軟調に推移していた。好決算・上方修正であっても株価にどこまで織り込まれているかにより反応が振れやすい点に注意
出典
- 株式会社アドバンテスト「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年7月29日公表)
- 株式会社アドバンテスト「Q1 FY26 (Three months ended June 30th, 2026) Financial Briefing」決算説明会資料・Note(2026年7月29日)
- IFISコンセンサス:IFIS株予報「6857 アドバンテスト - 業績進ちょくと決算スケジュール」(株式会社アイフィスジャパン、2026年6月29日時点データ)
- Bloomberg集計の市場予想(報道記事経由、決算発表前時点)
- アナリスト評価・目標株価:みんかぶ「アドバンテスト(6857):アナリストの予想株価・プロ予想」(2026年7月29日時点)
- 株価反応・市場環境:株探ニュース、トウシル、日本経済新聞ほか関連報道(2026年7月各日付)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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