【ANA HD決算】売上高6,727億円で過去最高も燃油高で営業利益43.5%減益~国際線旅客が牽引、通期予想は据え置き

2026年7月29日水曜日

企業決算

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【ANA HD決算】売上高6,727億円で過去最高も燃油高で営業利益43.5%減益~国際線旅客が牽引、通期予想は据え置き

【ANA HD決算】売上高6,727億円で過去最高も燃油高で営業利益43.5%減益~国際線旅客が牽引、通期予想は据え置き

2026年7月29日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab

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ANAホールディングスの1Q(2026年4-6月、日本基準)は売上高6,727億円(前年比+22.6%)と過去最高水準に増収した一方、燃油費増加等により営業利益は207億円(同△43.5%)、純利益194億円(同△15.4%)の減益。国際線旅客が数量・単価ともに好調だった半面、貨物やPeachは伸び悩んだ。通期業績予想(営業利益1,500億円)は据え置き、同日にエンブラエルE190-E2型機8機(総額約1,050億円)の発注も決議した。

📄 一次資料:ANAホールディングス IR情報(決算短信・適時開示)

1|ANAホールディングスとはどんな会社か

ANAホールディングス株式会社(東証プライム9202)は、ANAブランドを中核とする国内最大手の航空グループ。航空事業のほか、航空関連事業、旅行事業、商社事業などを展開する。代表取締役社長は芝田浩二氏。2026年1月30日発表の「2026~2028年度ANAグループ中期経営戦略」の初年度として、国際線を中心とした需要獲得と収益基盤の強化を進めている。LCC事業としてPeach Aviationを、貨物専業として日本貨物航空(NCA)を傘下に持つ。

2|主要財務ハイライト

2026年7月29日、ANAホールディングスは2027年3月期第1四半期(2026年4-6月、日本基準)決算を発表した。航空事業を中心とした増収により売上高は6,727億円と過去最高水準に達したが、燃油費等の増加により営業利益・経常利益・純利益はいずれも前年同期比で減益となった。なお2026年4月30日公表の通期業績予想からの修正は行われていない。

指標 1Q FY2027/3 1Q FY2026/3 増減
売上高 6,727億円 5,487億円 +22.6%
営業利益 207億円 367億円 △43.5%
経常利益 225億円 359億円 △37.3%
親会社株主に帰属する四半期純利益 194億円 229億円 △15.4%
1株当たり四半期純利益 39.99円 48.84円

📊 市場予想との比較

ANAは四半期ごとの業績予想は開示しておらず、1Q単体でのコンセンサス数値は確認できていない。参考として、2026年4月30日の通期予想公表時点では、会社側の純利益予想960億円は事前の市場予想平均(QUICKコンセンサス1,180億円)を下回っていた。その後の通期経常利益コンセンサス(IFIS株予報調べ)は直近数週間で1,312億円~1,508億円の間で変動しており、会社予想(1,370億円)を挟んで強気・弱気の見方が交錯している状況が続く。

3|セグメント別動向

セグメント(1Q) 売上高 前年比 営業利益 前年比
航空事業 6,208億円 +24.9% 181億円 △48.7%
航空関連事業 926億円 +7.4% 49億円 +54.3%
旅行事業 139億円 △9.3% 1億円 黒字転換(前年△2億円)
商社事業 374億円 +7.9% 10億円 △19.8%
その他 123億円 +7.3% 6億円 +24.3%

航空事業:国際線旅客・貨物が好調に推移したほか、前年に連結子会社化した日本貨物航空(NCA)の収入が新たに加わったことで増収。一方、燃油費等の増加により営業利益は前年同期比で減益となった。

航空関連事業:国際エクスプレス貨物の取扱高増加、外国航空会社からの機内食関連業務受託の増加等により増収増益。

旅行事業:海外旅行(ハワイ方面等)の取扱高が前年同期を下回ったが、コストマネジメントを徹底したことで営業黒字に転換した。

4|事業別の詳細

項目(1Q) ANA国際線旅客 ANA国内線旅客 Peach
旅客収入 2,476億円(+20.0%) 1,636億円(+1.1%) 357億円(+22.0%)
旅客数 236万人(+14.3%) 1,064万人(+3.9%) 242万人(+9.3%)
座席利用率 85.1%(+5.7pt) 75.6%(+4.0pt) 83.3%(+3.1pt)

国際線旅客:旺盛な訪日需要や日本発レジャー需要を積極的に取り込み、旅客数・収入ともに前年同期を上回った。高需要期には成田=バンコク線、成田=バンクーバー線等を期間増便。個室型新ビジネスクラスシート「THE Room FX」が国際的な内装コンテスト「Crystal Cabin Award」で最優秀賞を受賞した。

国内線旅客:「国内線航空券タイムセール」等でレジャー需要を取り込み、旅客数・収入ともに増加。5月19日搭乗分から運賃体系を「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3種に刷新した。

貨物:国際線貨物収入は583億円(+37.9%)と大きく伸長。半導体関連の旺盛な需要に加え、前年同期に米国関税政策の影響を受けた北米向け需要が回復したことが寄与した。前年7月に連結子会社化した日本貨物航空(NCA)の貨物収入504億円が新たに加わった。国内線貨物収入は54億円(+2.7%)。

Peach:訪日需要・レジャー需要が好調に推移し増収。国内線では関西=新千歳線・関西=那覇線を増便したほか、関西国際空港で自動手荷物預け機や最新型保安検査機(スマートレーン)を導入した。

5|特殊要因・重要トピックス

  • エンブラエルE190-E2型機8機を発注:決算発表と同日の7月29日取締役会で、国内線事業向けにエンブラエル E190-E2型機8機(カタログ価格総額約1,050億円、1米ドル=155円換算)の発注を決議。受領時期は2029年度~2032年度。中長期的な環境変化に合わせた需給適合と新たな提携戦略に必要な機材確保が目的で、通期業績予想への影響はないとしている。
  • NCA連結の寄与:2025年8月1日付で完全子会社化した日本貨物航空(NCA)の業績が本四半期から通期で貨物事業の増収要因として寄与。連結貨物収入の押し上げに直結した。
  • 貨物3社統合の継続:貨物事業会社(ANA Cargo・NCA・NCA Japan)の3社を2027年4月1日付で統合予定。貨物スペースの共同管理を開始したほか、海外販売体制や貨物上屋オペレーションの集約を順次進めている。
  • ESG関連:世界の代表的な社会的責任投資指標「Dow Jones Best-in-Class World Index」の構成銘柄に9年連続で選定された。

6|財務体質・キャッシュフロー

資産合計は3兆9,232億円と前期末比318億円減少。有価証券の減少が主因。負債合計は2兆5,149億円(前期末比+624億円)で、借入金や航空券予約発券数拡大に伴う契約負債の増加が要因。有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)は1兆1,931億円(同+214億円)。純資産は配当金支払いや繰延ヘッジ損益の減少等により1兆4,082億円(同△943億円)となり、自己資本比率は35.6%(前期37.7%)に低下した。

キャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが892億円の収入、投資活動によるキャッシュフローが有価証券償還収入等により1,750億円の収入となり、フリー・キャッシュ・フローは2,643億円の収入を確保。財務活動によるキャッシュフローは長期借入による調達があった一方、配当金支払いや借入金返済等により635億円の支出。結果として現金及び現金同等物は期首から2,028億円増加し、9,391億円となった。

7|通期の位置づけ・株主還元

通期予想(2027年3月期・据え置き) 金額 前期比 1Q進捗率
売上高 2兆7,700億円 +9.1% 約24.3%
営業利益 1,500億円 △31.0% 約13.9%
経常利益 1,370億円 △37.6% 約16.4%
純利益 960億円 △43.2% 約20.2%

中東情勢緊迫化に伴う燃油費高騰を主因とした通期減益予想は据え置かれた。1Q時点の営業利益進捗率は約13.9%と、通期予想(1,500億円)に対しては保守的な滑り出しに見えるが、会社側は国際線を中心とした旅客需要の回復を織り込んでおり、下期にかけての挽回を見込む構成となっている。

配当については、2027年3月期の年間配当予想は60円(第2四半期末30円・期末30円)。前期実績65円からの減配予想となる。第1回社債型種類株式の配当は年間175円(第2四半期末87.5円・期末87.5円)を予定している。

8|株価反応

決算短信は7月29日15:30の大引けとほぼ同時刻に発表されており、この日の終値(3,221円、前日比+81円・+2.58%)には決算内容がまだ十分に織り込まれていないとみられる。株価は7月24日に原油高を嫌気した空運株安で一時2,951円まで下落したが、その後は反発基調で推移し、決算発表前の7月28日には3,140円まで戻していた。夜間PTSについても出来高が乏しく、決算を受けた市場の反応を読み取れる材料は確認できなかった。決算内容を受けた株価の実際の反応については、翌営業日以降の値動きで確認したい。

9|リスク・注視すべきポイント

⚠️ 決算資料から読み取れる留意点

①航空機燃料税・空港使用料など経営努力では管理不可能な公的負担コストに加え、中東情勢緊迫化による燃油費高騰が通期減益予想の主因となっており、地政学リスクの帰趨次第で業績が大きく変動しうる
②通期予想の経常利益コンセンサスは足元でも会社予想を挟んで強気・弱気の見方が交錯しており、市場評価が定まっていない
③貨物事業は為替影響やアジア発供給増加による単価下押し圧力が続いており、NCA統合など事業再編の進捗と収益寄与を継続的に確認する必要がある
④新造機(エンブラエルE190-E2型機8機)の納入は2029~2032年度と先であり、納入スケジュール遅延やカタログ価格からの為替変動リスクがある
⑤1Q営業利益の通期進捗率は約13.9%と、下期偏重の業績計画になっている可能性があり、上期の実績のみで通期を判断するのは早計
⑥決算発表が大引けとほぼ同時刻だったため、当日の株価には決算内容が反映されておらず、翌営業日以降の株価反応を要確認

出典

  • ANAホールディングス株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年7月29日公表)
  • 同社「固定資産(航空機)の取得に関するお知らせ」(2026年7月29日公表)
  •  市場予想・株価:日本経済新聞、株探ニュース、Yahoo!ファイナンス、IFIS株予報、みんかぶ等関連報道(2026年7月各日付)

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god

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