【SKハイニックス決算】売上79.32兆ウォン(約8.92兆円)・純利益93.92兆ウォン(約10.57兆円)も市場コンセンサス未達、AI半導体プレミアム相場で株価急落
2026年7月29日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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SKハイニックスの2026年4-6月期は売上高79.32兆ウォン(約8.92兆円、YoY+257%)、営業利益60.54兆ウォン(約6.81兆円、YoY+557%)、純利益93.92兆ウォン(約10.57兆円、YoY+1,242%)といずれも過去最高を更新する記録的決算。だが市場コンセンサス(売上高84兆ウォン=約9.45兆円、営業利益64兆ウォン=約7.20兆円)にはともに届かず、AI半導体株への過熱した期待値を満たせなかったことで株価は急落。前日までの半導体株全般の急落も重なり、株価は当日一時15%超下落、終値でも前日比▲9.6%となった。
📄 一次資料:SKハイニックス IR情報(決算資料) ※円換算は1ウォン=0.1125円(2026年7月29日時点の実勢レートを参考にした概算値)を使用
📋 目次
1|SKハイニックスとはどんな会社か
SKハイニックス(KRX:000660/ADR:SKHY)は、韓国SKグループ傘下のDRAM・NAND専業メモリ半導体大手。HBM(高帯域幅メモリ)では世界シェア首位級、DRAM・NANDでも世界2位級のポジションを持つ。代表理事社長CEOは郭魯正(クァク・ノジョン)氏。2026年7月10日にはナスダックへADR上場を果たし、外国企業による米国史上最大級のIPOとなった。「Full Stack AI Memory Creator」への飛躍を掲げ、AI時代のメモリ需要を最も早く捉えた企業として、HBM・SVDRAM・eSSDなどAIインフラ向け製品群を成長の核に据えている。
2|主要財務ハイライト(市場コンセンサス比較)
2026年7月29日、SKハイニックスは2026年4-6月期(K-IFRS連結)決算を発表した。DRAM・NANDともに価格上昇とビットグロースが牽引し、売上高・売上総利益・営業利益・EBITDAのいずれも四半期として過去最高を更新。営業利益は5四半期連続の四半期最高益更新となった。
| 指標 | '26 Q2 | '26 Q1 | '25 Q2 | QoQ/YoY |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 79.32兆W (約8.92兆円) |
52.58兆W (約5.92兆円) |
22.23兆W (約2.50兆円) |
+51%/+257% |
| 売上総利益 | 65.99兆W (約7.42兆円) |
41.68兆W (約4.69兆円) |
11.98兆W (約1.35兆円) |
+58%/+451%(粗利率83%、+4%p) |
| 営業利益 | 60.54兆W (約6.81兆円) |
37.61兆W (約4.23兆円) |
9.21兆W (約1兆360億円) |
+61%/+557%(営業利益率76%、+4%p) |
| EBITDA | 64.56兆W (約7.26兆円) |
41.34兆W (約4.65兆円) |
12.65兆W (約1.42兆円) |
+56%/+411%(EBITDAマージン81%) |
| 純利益 | 93.92兆W (約10.57兆円) |
40.35兆W (約4.54兆円) |
7.00兆W (約7,875億円) |
+133%/+1,242%(純利益率118%) |
| 基本EPS | 132,126W (約14,864円) |
21,852W (約2,458円) |
11,756W (約1,323円) |
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📊 市場コンセンサスとの比較
直近の予測精度の高いアナリストを加重するLSEGスマート・エスティメイト、および韓国14証券会社集計(Yonhap Infomax)のコンセンサスは、売上高84兆ウォン(約9.45兆円)・営業利益64兆ウォン(約7.20兆円)だった。実績の売上高79.32兆ウォン(約8.92兆円)はこれを約5.7%、営業利益60.54兆ウォン(約6.81兆円)は約5.5%下回り、いずれもコンセンサス未達。純利益は非営業利益62.17兆ウォン(約6.99兆円)の押し上げで営業利益を大きく上回ったが、これは為替差益や投資資産関連の評価益によるもので、事業本体の収益力を測る際は営業利益・EBITDAの水準を重視すべき点に留意したい。
なお粗利率83%・EBITDAマージン81%という水準自体は、メモリ価格の上昇局面でSKハイニックスが高い価格転嫁力を維持できていることを示す数値でもある。コンセンサス未達で株価は売られたが、収益構造そのものが崩れているわけではない点は区別して見る必要がある。
3|製品・事業別動向(DRAM/NAND/HBM4)
売上構成比はDRAM約73%・NAND約27%。ビットグロースはDRAMがQoQ高一桁%増、NANDがQoQ中十%台増。ASPはDRAMがQoQ約30%上昇、NANDがQoQ50%台半ば上昇と、ビットグロースに加えて価格上昇が増収の主因となった。
- HBM:Q2にHBM4の量産出荷を開始。顧客要求スペックの速度・業界トップ級の電力効率・コスト競争力を備え、下期にフルランプアップを計画。1cnmベースのHBM4Eサンプルも上期に主要顧客へ供給済み。性能・安定供給力・コストの総合競争力でHBMのリーダーシップ維持を掲げる。
- DRAM:1cnmベースのSOCAMM2製品の供給を本格開始。顧客の開発スケジュールに合わせた製品ラインアップの最適化を進め、顧客基盤拡大に向けたサンプル出荷を準備中。
- NAND:ノード移行を加速し、高容量・高性能製品中心にポートフォリオを強化。321L製品がQ1にNAND生産構成比で最大シェアとなり、2026年末までに国内生産能力の50%を321Lにする目標を掲げる。
4|特殊要因・重要トピックス
- ナスダックADR上場:2026年7月10日、外国企業による米国史上最大級のIPOとしてADR上場を実施。上場後は財務基盤の強化により、成長投資・財務健全性・株主還元の同時追求が可能になったとしている。
- LTA(長期契約):主要顧客との間で約10件のLTA交渉を完了、他の主要プレイヤーとも協議を継続中。顧客・製品特性に応じて価格変動リスクに対応した価格体系を設計し、契約履行を支える保証金等の金融メカニズムも導入することで、中長期の需要可視性を強化している。
- 純利益を押し上げた非営業要因:非営業利益62.17兆ウォン(約6.99兆円)の内訳は、為替上昇に伴う為替差益1.15兆ウォン(約1,294億円)、投資資産関連の評価益63.27兆ウォン(約7.12兆円)を含むその他非営業利益60.89兆ウォン(約6.85兆円)など。税引前利益は122.71兆ウォン(約13.81兆円)、法人税費用は28.79兆ウォン(約3.24兆円)。
- 株主還元:上場に伴う財務体質強化を踏まえ、規模・継続性の両面を高める追加的な株主還元策を検討中としている。
5|財務体質・キャッシュフロー
総資産は348.86兆ウォン(約39.25兆円、前四半期比+126.03兆ウォン=約+14.18兆円)と急増。現金及び現金同等物は87.96兆ウォン(約9.90兆円、前四半期比+33.63兆ウォン=約+3.78兆円)に増加した一方、有利子負債は18.59兆ウォン(約2.09兆円)まで減少。D/Eレシオは7%(前四半期12%)、ネットD/Eレシオは-26%(前四半期-21%)と、実質無借金に近い健全な財務基盤を維持している。総株主資本は262.69兆ウォン(約29.55兆円)で、純利益計上により留保利益が+93.52兆ウォン(約+10.52兆円)増加したことが主因。
営業活動によるキャッシュ・フローは65.71兆ウォン(約7.39兆円)の収入(前四半期26.43兆ウォン=約2.97兆円)。投資活動によるキャッシュ・フローは28.75兆ウォン(約3.23兆円)の支出(うちPP&E取得10.67兆ウォン=約1.20兆円)。財務活動によるキャッシュ・フローは4.67兆ウォン(約5,254億円)の支出(配当支払1.59兆ウォン=約1,789億円を含む)。この結果、現金は差引33.63兆ウォン(約3.78兆円)増加した。
6|通期見通し・Company Plan
2026年通期のCapExは40兆ウォン台後半(約5.1兆円台前半〜5.5兆円程度)を計画。M15Xの量産を前倒しし、龍仁(Yongin)Fab1の拡張を2027年初にかけて加速する方針。中長期ではP&T7・M17・新設国内半導体クラスターへ、顧客需要や投資効率を踏まえた段階的投資を検討する。
| Q3販売ビットグロース計画(QoQ) | 内容 |
|---|---|
| DRAM | 約10%増、SV(サーバー向け)製品中心の対応 |
| NAND | 低一桁%増(Solidigm含む)、321L製品・SSDの販売拡大 |
2026年通期の市場見通しでは、DRAM需要ビットグロースはYoY+20%台半ば、NAND需要ビットグロースはYoY+10%台後半と予想。AIのエージェント化が進むことでHBM/SV DRAM/eSSDへの需要が構造的に拡大し、大手ビッグテック顧客のインフラ投資・メモリ調達拡大が牽引役になるとの見立て。PC・スマートフォン向けは足元でメモリ調達難による一時的な販売調整が生じているが、供給逼迫の緩和とともに成長モメンタムは回復していくと見込む。
7|株価反応
決算は7月29日(水)の韓国市場取引時間中に発表されたとみられ、同日SKハイニックス株(000660.KS)は一時15%超下落、終値でも前日比▲9.6%と大幅安となった。前日28日(火)にはすでに半導体株全般が急落しており、KOSPIは▲10.84%、SKハイニックスは▲14.7%、サムスン電子も▲14.4%安と、市場全体が中国CXMTの上海IPOやNvidia・OpenAI間の循環的資金取引への懸念、中国メーカーによるDUVリソグラフィ技術進展報道などで大きく揺れていた。米国ADR(SKHY)も7/28に▲8.76%、決算後の時間外取引でもさらに下落した。
売上高・営業利益ともに市場コンセンサスを5%前後下回ったことが直接の売り材料となったが、粗利率83%・営業利益率76%自体は極めて高い水準を維持しており、eToroのアナリストはこの粗利率の高さについて価格決定力がなお健在であることを示していると指摘している。「絶好調でも期待に届かなければ売られる」という、AI半導体プレミアム相場特有の反応が表面化した決算だったと言える。
8|リスク・注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・関連報道から読み取れる留意点
①コンセンサス未達を受けた株価のさらなる調整余地。AIメモリ相場は「完璧な実行」を織り込む水準まで期待値が上振れしており、四半期ごとのビート幅縮小が続けば評価倍率の見直し圧力がかかりやすい
②中国CXMTの上海IPOやDUVリソグラフィ技術の進展など、中国メモリメーカーの追い上げ・価格競争リスク
③Nvidia・OpenAI間の循環的資金取引への懸念が象徴するように、ハイパースケーラーのAIインフラ投資ペースが減速・先送りされた場合、HBM/SV DRAM等の需要見通しにも影響が及ぶ可能性
④サムスン電子のHBM4認証進捗やMicronの増産動向など、競合動向によるシェア・価格への影響
⑤ナスダックADR上場に伴う米国上場株と韓国本国株の価格差(プレミアム)や、裁定取引の需給変化
⑥決算が取引時間中に発表され当日の株価に即座に織り込まれた形となっており、翌営業日以降の値動きの落ち着き方にも注視が必要
出典
- SKハイニックス「FY2026 Q2 Earnings」決算説明資料・Statement of Financial Position/Income Statement(2026年7月29日公表)
- 市場コンセンサス・株価反応:CNBC「SK Hynix shares fall; earnings jump fails to satisfy AI expectations」、Korea Times「SK hynix expected to post record $43.7 bil. in Q2 operating profit」、Invezz「SK Hynix, Samsung stocks extend their crash today」、TradingKey関連記事(いずれも2026年7月各日付)
- 円換算レート:1ウォン=0.1125円(2026年7月29日時点の実勢レートを参考にした概算値)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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