【野村HD決算】税引前利益2,115億円で前年比+32%、ROE15.4%は2020年4-6月期以来の高水準~全部門が増収増益、ホールセールが過去最高益
2026年7月29日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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野村ホールディングスの1Q(2026年4-6月、米国会計基準)は収益合計(金融費用控除後)6,867億円(前年比+31%)、税引前利益2,115億円(同+32%)、当期純利益1,456億円(同+39%)と大幅増益。ROEは15.4%と2020年4-6月期以来の高水準で、ウェルス・マネジメント/インベストメント・マネジメント/ホールセール/バンキングの4部門すべてが前四半期比で増収増益を達成した。ホールセール部門は部門設立以来の過去最高収益・最高益を更新している。
📋 目次
1|野村ホールディングスとはどんな会社か
野村ホールディングス株式会社(東証プライム・名証プレミア8604)は、ウェルス・マネジメント、インベストメント・マネジメント、ホールセール、バンキングの4部門を中心とする国内最大手の証券・投資銀行グループ。代表執行役社長グループCEOは奥田健太郎氏。2030年に向けた経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」を掲げ、資産管理型ビジネスへの構造転換、海外ビジネスの利益貢献拡大、バンキング機能の強化を進めている。今年5月には2030年に向けた定量目標を「ROE10~12%超、税前利益7,500億円超」に上方修正した。
2|主要財務ハイライト
2026年7月29日大引け後、野村ホールディングスは2027年3月期第1四半期(2026年4-6月、米国会計基準)決算を発表した。すべての部門が前四半期比で増収増益となり、ROEは15.4%と、収益ボラティリティが相対的に高いホールセール部門がコロナ禍対応の量的緩和を背景に大きく利益貢献した2020年4-6月期以来の高水準となった。具体的なコンセンサス数値の開示は確認できていないが、複数の市場情報サイトでは税引前利益がアナリスト予想を上回る水準だったと決算発表当日に速報ベースで伝えられている。
| 指標 | 1Q FY2027/3 | 1Q FY2026/3 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 収益合計(金融費用控除後) | 6,867億円 | 5,233億円 | +31.2%(前四半期比+19%) |
| 金融費用以外の費用 | 4,752億円 | 3,630億円 | +30.9%(前四半期比+1%) |
| 税引前利益 | 2,115億円 | 1,603億円 | +32.0%(前四半期比+96%) |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | 1,456億円 | 1,046億円 | +39.2%(前四半期比+97%) |
| 希薄化後EPS | 48.34円 | 34.04円 | +42.0% |
| ROE(年率換算) | 15.4% | 12.0% | +3.4pt |
| 実効税率 | 26.2% | 32.9% | ▲6.7pt |
📊 市場予想との比較
野村は業績予想・配当予想の開示を行わない方針を取っており、会社側からの通期数値ガイダンスは示されていない。一方、決算発表当日には税引前利益がアナリスト予想を上回る水準だったとする速報が複数の市場情報サイトで伝えられている(具体的なコンセンサス数値の一次ソースは確認できていない)。海外拠点(米州・欧州・アジア・オセアニア)の税引前利益は752億円と、2009年3月期の開示以降で過去最高を更新した。
3|セグメント別動向
| セグメント(1Q) | 収益 | 前年比 | 税前利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| ウェルス・マネジメント | 1,454億円 | +37.5% | 711億円 | +83.4% |
| インベストメント・マネジメント | 983億円 | +94.4% | 450億円 | +109.0% |
| ホールセール | 3,691億円 | +41.4% | 933億円 | +122.7% |
| バンキング | 152億円 | +18.7% | 36億円 | +0.6% |
ウェルス・マネジメント:資産管理型ビジネスの定着によりストック収入・ストック資産・ストック資産純増がいずれも過去最高(比較可能な期間ベース)を更新。6月末のストック資産残高は31.7兆円、ストック資産純増は5,396億円で17四半期連続の純増となった。ストック収入費用カバー率は76%まで向上し、部門税前利益率は49%と高水準。総募集買付額は8兆5,237億円で、投資信託(前四半期比+22%)・投資一任(同+38%)を中心に高水準の資金流入が継続した。
インベストメント・マネジメント:運用資産残高が過去最高となる156.4兆円に到達し、国内外で運用報酬が過去最高(比較可能な期間ベース)を更新。買収したアメリカン・センチュリー・インベストメンツ(ACI)関連損益の拡大や、ノムラ・アセットマネジメント・インターナショナルが運営する新興国株アクティブファンドへの資金流入も寄与し、収益・税前利益ともに2021年4月の部門設立以来で最高となった。一方、投資信託ビジネス(うちETF)は約9,400億円の流出となるなど資金純流入は1兆3,300億円の流出。
ホールセール:グローバル・マーケッツがエクイティ主導で牽引し、比較可能な2017年3月期以降で過去最高収益を更新(エクイティ収益1,794億円、前四半期比+41%)。フィクスト・インカムはクレジットや為替/エマージングが伸長したほか、海外富裕層ビジネスの拡大が収益源の多様化に貢献した。インベストメント・バンキング収益は504億円で、季節要因によりコーポレートアクションが少ない第1四半期としては比較可能な2017年3月期以降で最高を記録。オペレーティング・レバレッジの発揮により経費率は75%(前四半期86%)まで改善した。
バンキング:4月27日に予定通り預金スイープサービスをローンチ。キャンペーン効果やウェルス・マネジメント部門との連携により契約件数・預金残高が順調に拡大し(6月末預金残高1兆6,642億円、前期末比+3,297億円)、ローン残高の増加を背景に貸出業務からの収益も伸長した。
4|特殊要因・重要トピックス
- 定量目標の上方修正:2026年5月、2030年に向けた定量目標を「ROE10~12%超、税前利益7,500億円超」に上方修正済み。当四半期のROE15.4%・主要4部門税前利益2,130億円は、この目標に対して良好なスタートとなった。
- 安定収益の拡大:ウェルス・マネジメント部門のストック収入、インベストメント・マネジメント部門の事業収益、バンキング部門収益を合計した「安定収益」は1,606億円となり、前年同期比で約1.6倍に拡大。一部門への依存度が低下し、各部門がバランス良く利益を創出する収益構造への変化が進んでいるとされる。
- 自己株式取得の進捗:当四半期の自己株式取得額は185億円。期末自己株式数は1億6,597万株(前期末1億8,723万株)に減少しており、従業員に対する発行株式(3,066億円)を含めた資本勘定変動により取得ペースを上回る株数減となった。なお通期の取得予定額は決算資料上で開示されておらず、進捗率の算出はできない。
- コンプライアンス関連の継続対応:連結子会社の野村證券において過去に認定された国債先物取引に関する法令違反への再発防止策、および元社員事案・フィッシング詐欺による不正アクセス被害への対応強化を継続している。
5|財務体質・自己資本規制比率
資産合計は68兆2,240億円と前期末比5兆5,781億円増加。トレーディング資産の増加が主因で、負債合計も同5兆4,393億円増加の64兆2,303億円となった。当社株主資本合計は3兆8,343億円(前期末比+1,264億円)。連結普通株式等Tier 1比率は12.9%(前期末12.8%)と小幅に上昇し、健全な自己資本水準を維持している。
連結レバレッジ比率は4.64%(前期末5.18%)、連結流動性カバレッジ比率(LCR)は196.9%(前期末214.0%)といずれも規制水準を大幅に上回る。TLAC比率(総エクスポージャーベース)は10.2%(前期末9.9%)。適格流動資産(HQLA)は8.9兆円に拡大した。
6|通期の位置づけ・株主還元
野村は各国資本市場での事業展開に伴う不確実性を理由に、業績予想・配当予想の数値開示を行わない方針を継続している。このため今回も2027年3月期通期の会社側ガイダンスは示されていないが、2030年に向けた定量目標(ROE10~12%超、税前利益7,500億円超)に対する進捗という位置付けで、当四半期の実績が評価されている形だ。決算説明資料では、足元7月の状況として、ウェルス・マネジメント部門は第1四半期とおおむね同水準の収益で推移する一方、ホールセール部門はエクイティを中心に第1四半期の高水準からの反動と夏場の季節要因でややスローダウンしているものの、パイプラインは良好との説明がなされている。
配当については、2027年3月期第1四半期末の配当予想は記載されておらず、第2四半期末・期末を含め通期の配当予想も、業績予想を開示しない方針と同じ理由により未定とされている。前期(2026年3月期)は年間配当51円(第2四半期末27円・期末24円)だった。会社側は、米国の中間選挙や主要国の金融政策動向を背景に下期は市場ボラティリティが高まりやすい局面を想定しているとしつつ、リスクテイクとコスト・コントロールを徹底しながら収益機会を取り込む方針を示している。
7|株価反応
決算は7月29日15:30の大引け後に発表されたため、この日の株価自体には決算内容が反映されていない。野村株はここ数営業日で軟調に推移しており、7月22日から28日にかけての5営業日で1,603円から1,571円へ約2.0%下落。7月23日に付けた1,624.5円までの上昇後は反落が続き、決算発表直前は方向感を欠く展開だった。なお7月16日には、米大手金融機関(ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース)の好決算を受けた連想買いから一時1,631円50銭まで買われ、2008年7月以来およそ18年ぶりの高値を更新する場面もあった。決算発表当日には、税引前利益がアナリスト予想を上回る水準だったとする速報が市場情報各社から相次いで伝えられている。決算内容を受けた翌営業日以降の株価反応については、続報で確認したい。
8|リスク・注視すべきポイント
⚠️ 決算資料から読み取れる留意点
①ホールセール部門の収益はエクイティ・フィクスト・インカムのトレーディング損益や投資銀行業務手数料への依存度が高く、金利・株価・為替のボラティリティ変動によって四半期ごとの振れが大きくなりやすい構造にある
②インベストメント・マネジメント部門は運用報酬率への下方圧力が続くとされ、人材・システム費用の増加が収益増を上回れば部門採算の改善が進みにくくなる可能性がある
③ACIをはじめとする資産運用会社買収に伴いのれん・無形資産を計上しており、取得事業の収益性が想定を下回った場合は減損損失認識のリスクがある
④短期金融市場やレポ等の資金調達に依存しており、信用格付や市場流動性の変化により調達コストが上昇する可能性がある
⑤野村證券における過去のコンプライアンス事案(国債先物取引に関する法令違反、元社員事案、フィッシング詐欺による不正アクセス被害)への対応が営業面・費用面に影響する可能性がある
⑥業績予想・配当予想を開示しない方針のため、通期の着地水準を判断する上では四半期ごとの実績とローリング4四半期平均などの推移を継続的に確認する必要がある
⑦決算は大引け後発表のため、当日の株価には反映されていない。直近の株価が軟調に推移していた中での好決算・アナリスト予想超えが、翌営業日以降どこまで株価に織り込まれるかは不透明
出典
- 野村ホールディングス株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔米国基準〕(連結)」(2026年7月29日公表)
- 野村ホールディングス株式会社「2027年3月期第1四半期 決算説明資料(米国会計基準)」(2026年7月)
- 野村ホールディングス株式会社「奥田グループCEO決算コメントおよびハイライト(2027年3月期第1四半期 連結決算)」ニュースリリース(2026年7月29日)
- 株価・市場環境:Yahoo!ファイナンス、株探ニュース、日本経済新聞等関連報道(2026年7月各日付)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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