3月FOMC結果:据え置き11対1、ドット「ゼロカット7名」に増加|パウエル「インフレは期待以下」でゴールド上値重く

2026年3月19日木曜日

FOMC FRB XAUUSD アメリカ経済指標 ファンダメンタル分析 政策金利

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3月FOMCは予想通りの据え置き。しかしパウエルが「インフレは期待ほど下がっていない」と明言し、市場は急落した。ドットの中央値は変わらず年内1回利下げだが、ゼロカット支持が7名に増加。「何も変わらなかった」会合ではなく、「利下げへの道が一段と険しくなった」会合として位置づけるべきだ。


  • 政策金利:据え置き(3.50〜3.75%)、投票は11対1。反対はミラン理事のみ(25bp利下げ主張)、ウォーラー理事は今回賛成に転換
  • ドット中央値は3.4%で不変(年内1回利下げ)だが、ゼロカット支持が4名→7名に増加。鳩派の低いドットが消え、分布全体が上方にシフト
  • パウエル発言がタカ派寄り。「インフレ進展は期待以下」「今回こそSEPを省略すべき会合だった」と異例の自己言及。ゴールドには引き続き上値圧力
📖 事前プレビュー記事
今回のFOMCに向けた注目点・シナリオ分析はこちら→3月FOMC プレビュー:据え置き確実、ドット修正とパウエル最後から2回目の会見が焦点

📋 決定内容:据え置き 11対1

政策金利
3.50〜3.75%
据え置き(2会合連続)
投票結果
11 対 1
反対:ミラン理事(25bp利下げ主張)
PCEインフレ見通し(2026年)
2.7%
12月:2.4% → 上方修正
コアPCE見通し(2026年)
2.7%
12月:2.5% → 上方修正
GDP成長率見通し(2026年)
2.4%
12月:2.3% → 上方修正
失業率見通し(2026年末)
4.4%
12月:4.4% → 変わらず

事実1月会合ではミラン・ウォーラー両理事が反対票を投じたが、今回はウォーラー理事が賛成に転換。反対はミラン理事1名のみとなった。委員会内の利下げ圧力は1月より後退したと位置づけられる。

📝 声明文の変更点

項目 1月声明(旧) 3月声明(新)
雇用の表現 失業率は安定の兆しを示している 失業率はここ数ヶ月ほぼ横ばい
中東情勢 (記載なし) 中東の動向が米経済に与える影響は不確実
デュアルマンデート 両側のリスクに注意を払う 両側のリスクに注意を払う(維持)

事実雇用の表現が「安定の兆し」から「ほぼ横ばい」へと後退した点は見落とされがちだが重要だ。2月雇用統計(−92K)の軟化を声明文レベルで認めた形であり、雇用への懸念が一段強まったことを示している。一方で中東情勢への新規言及は「見通せないから動けない」というFedの立場を明確にした。

🎯 SEP・ドットプロット

📖 SEP(Summary of Economic Projections)とは
FOMCメンバー(最大19名)が個人として書き出す経済・金利見通しの概要。GDP・失業率・インフレ・政策金利の4項目を年4回(3・6・9・12月会合)公表。ドットプロットはその中の「政策金利見通し」部分を点(ドット)で図示したもの。あくまで個人の見通しであり、委員会としての決定・約束ではない。

事実ドットの中央値は3.4%で12月から変わらず、年内1回の25bp利下げという見通しが維持された。しかし分布の変化が今回の焦点だ。「年内ゼロカット」支持のメンバーが12月の4名から7名へと増加。鳩派側の低いドット(2.0〜2.75%近辺)が消え、全体の分布が上方にタイトになった。中央値は維持されたが、その周辺の「重力」は明確に鷹派方向にシフトしている。

見解12名は依然として年内1回以上の利下げを見込んでいる。しかし次の会合(4月末)またはその後で状況がさらに悪化した場合、中央値がゼロカットに移行するまでの距離は3月時点よりも確実に縮まっている。パウエル自身が「今回こそSEPを省略すべき会合だった」と述べるほど不確実性が高く、ドットの数字を文字通りに受け取ることはリスクがある。

🎤 パウエル会見:主要発言まとめ

事実冒頭発言では総合PCE前年比+2.8%、コアPCE+3.0%(いずれも2月推計)を提示。「財のインフレは関税の影響で押し上げられており、近い将来エネルギー高が総合インフレをさらに押し上げる。ただし影響の範囲と期間はまだ判断できない」とした。

💬 インフレ進展について
「インフレは進展するとの見通しだが、期待していたほど多くはない。それでも一定の進展はある」
💬 SEP・ドットの信頼性について(異例の発言)
「もしSEPを省略できる会合があるとしたら、今回がまさにその会合だ。私たちは本当に分からない(we just don't know)」
💬 原油高・スタグフレーションについて
「スタグフレーションという言葉は、もっと深刻な状況のために取っておきたい。現在はその状況にない」
「原油ショックは一般商品価格の一回限りの値上がりだというのが従来の見方だ。しかし速やかに終息するという確信があるわけではない」
💬 金融政策の方向性について
「金融政策はプリセットコースにない。会合ごとにデータを見ながら判断する」
💬 任期・去就について
「DOJ捜査が透明性をもって完全に決着するまでは理事会を去るつもりはない。またウォーシュ氏が正式に確認されるまでは残る」

見解会見全体を通じてパウエルのトーンはインフレ警戒寄りだったと評価されており、「インフレは期待ほど下がっていない」という発言が株価の日中安値を更新させた。一方でスタグフレーションを否定し、利上げを明示的に排除しなかったものの「誰のベースケースでもない」という立場は維持した。

📉 市場反応

ダウ平均
▲1.6%
一時▲600ドル超
S&P500
▲0.9%
パウエル発言で下落加速
ラッセル2000
▲1.6%
小型株も全面安
米10年金利
4.23%
+2bp
米2年金利
3.71%
+4bp
USD
上昇
ドル円160円台を示唆

🥇 で、ゴールドどうなんだ

📖 前提:なぜホルムズ危機でゴールドが下がるのか
産油地帯の戦争では「原油高→インフレ→Fed利下げ不可→ゴールド下落」という新方程式が働く。詳細は→「有事の金買い」はもう通用しない?戦争でゴールドが下がるメカニズム

今回のFOMCはゴールドにとって「新方程式の継続確認」という結果に終わった。具体的に整理する。

①ドット中央値は不変だが、「ゼロカット支持7名」は重い
見解表面上は「年内1回利下げ」が維持された。しかし7名がゼロカットを支持するという分布は、次のネガティブサプライズ(インフレ再加速・原油高継続)があれば中央値がゼロカットへ移行するリスクを内包している。この「利下げの崖っぷち感」がゴールドの上値を抑制する構造として位置づけられる。

②パウエルの「インフレ期待以下」発言がタカ派シグナル
リスク「インフレは期待ほど下がっていない」という会見中の発言は、Fedが利下げに急ぐ理由がないことを改めて示した。実質金利の低下期待が後退し、ドル高が進む局面ではゴールドは戻り売りが入りやすい地合いが続く。

③スタグフレーション否定は両刃の剣
見解パウエルが「スタグフレーションの状況ではない」と断言したことで、景気悪化を理由にした緊急利下げ期待は後退した。これはゴールドの反発トリガーが一つ消えたことを意味する。ゴールドが上昇に転じるには、停戦によるタンカー一斉放出→原油急落→インフレ後退→Fed利下げ期待復活という経路が引き続き唯一の現実的シナリオとして残る。

📝 今後の戦略メモ

🔑 FOMC通過後の方向感
ベア継続
「原油高→インフレ→Fed利下げ後退」の構図は今回のFOMCで再確認された。ゴールドの戻り局面は売りが入りやすい地合いが続く。次の焦点は4月末FOMC(4/28〜29)と月末PCEデフレーター
ブル条件
停戦合意→タンカー一斉放出→原油急落というシナリオのみが現実的な上昇トリガー。パウエルが景気悪化を強く懸念する発言を出す可能性は今回の会見で一段低下したと評価する
次の焦点
4月末FOMC(4/28〜29)までの間に公表されるPCE・CPIでインフレが再加速した場合、ゼロカット支持が多数派に転じるリスクが高まる。その場合のゴールドの下値目安としてネックライン($5,050〜5,070)の攻防が継続して重要
パウエル後
5月15日のパウエル任期満了後、後任ウォーシュ体制への移行がゴールドに与える影響は現時点では不確実。ウォーシュはタカ派とされるが「インフレ抑制後は利下げ可能」とも述べており、移行期の発言リスクは上下双方に存在する

事実出所:FRB公式声明・パウエル議長会見冒頭発言(federalreserve.gov)、InvestingLive、CNBC、PBS NewsHour、CNN Business、Axios(いずれも2026年3月18日)

パブロ監督(ぱぶちゃん)
元海貨業者。XAUUSD専業トレーダー歴6年。マクロ経済・地政学の視点からゴールド市場を分析。
ブログ:ぱぶちゃんの金・ゴールドFXマクロ X:@pablo29god

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ぱぶちゃん|投資歴6年
ゴールド・マクロ・FXを事実ベースで解説するブログを運営中。
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