3月FOMCは予想通りの据え置き。しかしパウエルが「インフレは期待ほど下がっていない」と明言し、市場は急落した。ドットの中央値は変わらず年内1回利下げだが、ゼロカット支持が7名に増加。「何も変わらなかった」会合ではなく、「利下げへの道が一段と険しくなった」会合として位置づけるべきだ。
- ① 政策金利:据え置き(3.50〜3.75%)、投票は11対1。反対はミラン理事のみ(25bp利下げ主張)、ウォーラー理事は今回賛成に転換
- ② ドット中央値は3.4%で不変(年内1回利下げ)だが、ゼロカット支持が4名→7名に増加。鳩派の低いドットが消え、分布全体が上方にシフト
- ③ パウエル発言がタカ派寄り。「インフレ進展は期待以下」「今回こそSEPを省略すべき会合だった」と異例の自己言及。ゴールドには引き続き上値圧力
📋 決定内容:据え置き 11対1
事実1月会合ではミラン・ウォーラー両理事が反対票を投じたが、今回はウォーラー理事が賛成に転換。反対はミラン理事1名のみとなった。委員会内の利下げ圧力は1月より後退したと位置づけられる。
📝 声明文の変更点
| 項目 | 1月声明(旧) | 3月声明(新) |
|---|---|---|
| 雇用の表現 | 失業率は安定の兆しを示している | 失業率はここ数ヶ月ほぼ横ばい |
| 中東情勢 | (記載なし) | 中東の動向が米経済に与える影響は不確実 |
| デュアルマンデート | 両側のリスクに注意を払う | 両側のリスクに注意を払う(維持) |
事実雇用の表現が「安定の兆し」から「ほぼ横ばい」へと後退した点は見落とされがちだが重要だ。2月雇用統計(−92K)の軟化を声明文レベルで認めた形であり、雇用への懸念が一段強まったことを示している。一方で中東情勢への新規言及は「見通せないから動けない」というFedの立場を明確にした。
🎯 SEP・ドットプロット
事実ドットの中央値は3.4%で12月から変わらず、年内1回の25bp利下げという見通しが維持された。しかし分布の変化が今回の焦点だ。「年内ゼロカット」支持のメンバーが12月の4名から7名へと増加。鳩派側の低いドット(2.0〜2.75%近辺)が消え、全体の分布が上方にタイトになった。中央値は維持されたが、その周辺の「重力」は明確に鷹派方向にシフトしている。
見解12名は依然として年内1回以上の利下げを見込んでいる。しかし次の会合(4月末)またはその後で状況がさらに悪化した場合、中央値がゼロカットに移行するまでの距離は3月時点よりも確実に縮まっている。パウエル自身が「今回こそSEPを省略すべき会合だった」と述べるほど不確実性が高く、ドットの数字を文字通りに受け取ることはリスクがある。
🎤 パウエル会見:主要発言まとめ
事実冒頭発言では総合PCE前年比+2.8%、コアPCE+3.0%(いずれも2月推計)を提示。「財のインフレは関税の影響で押し上げられており、近い将来エネルギー高が総合インフレをさらに押し上げる。ただし影響の範囲と期間はまだ判断できない」とした。
「原油ショックは一般商品価格の一回限りの値上がりだというのが従来の見方だ。しかし速やかに終息するという確信があるわけではない」
見解会見全体を通じてパウエルのトーンはインフレ警戒寄りだったと評価されており、「インフレは期待ほど下がっていない」という発言が株価の日中安値を更新させた。一方でスタグフレーションを否定し、利上げを明示的に排除しなかったものの「誰のベースケースでもない」という立場は維持した。
📉 市場反応
🥇 で、ゴールドどうなんだ
今回のFOMCはゴールドにとって「新方程式の継続確認」という結果に終わった。具体的に整理する。
①ドット中央値は不変だが、「ゼロカット支持7名」は重い
見解表面上は「年内1回利下げ」が維持された。しかし7名がゼロカットを支持するという分布は、次のネガティブサプライズ(インフレ再加速・原油高継続)があれば中央値がゼロカットへ移行するリスクを内包している。この「利下げの崖っぷち感」がゴールドの上値を抑制する構造として位置づけられる。
②パウエルの「インフレ期待以下」発言がタカ派シグナル
リスク「インフレは期待ほど下がっていない」という会見中の発言は、Fedが利下げに急ぐ理由がないことを改めて示した。実質金利の低下期待が後退し、ドル高が進む局面ではゴールドは戻り売りが入りやすい地合いが続く。
③スタグフレーション否定は両刃の剣
見解パウエルが「スタグフレーションの状況ではない」と断言したことで、景気悪化を理由にした緊急利下げ期待は後退した。これはゴールドの反発トリガーが一つ消えたことを意味する。ゴールドが上昇に転じるには、停戦によるタンカー一斉放出→原油急落→インフレ後退→Fed利下げ期待復活という経路が引き続き唯一の現実的シナリオとして残る。
📝 今後の戦略メモ
事実出所:FRB公式声明・パウエル議長会見冒頭発言(federalreserve.gov)、InvestingLive、CNBC、PBS NewsHour、CNN Business、Axios(いずれも2026年3月18日)
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