【ホルムズ封鎖18日】“禁じ手3連発”で戦争は次の段階へ——カーグ島空爆・ドバイ攻撃・ラリジャニ暗殺

2026年3月18日水曜日

ニュース解説 中東情勢

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【ホルムズ封鎖18日】3週目の5日間で"3つの禁じ手"が解禁された——カーグ島空爆・ドバイ空港攻撃・ラリジャニ暗殺

2026年3月18日|中東情勢・地政学リスク

【ホルムズ封鎖18日】3週目の5日間で"3つの禁じ手"が解禁された——カーグ島空爆・ドバイ空港攻撃・ラリジャニ暗殺

#ホルムズ海峡 #カーグ島 #ラリジャニ #中東情勢 #原油

⏱ 30秒で読む結論

2026年2月28日に始まった米・イスラエルによるイラン攻撃は3週目に入り、戦況は急速に激化している。3月13日の米軍によるカーグ島空爆(イラン原油輸出の9割を担う島)を機に、イランはUAEへの報復攻撃を本格化。16日夜にはイスラエルがイランの実質的指導部代行だったラリジャニ最高安全保障委員会(SNSC)事務局長を暗殺し、停戦交渉の「窓口」が消滅した。米国防総省は「完了まで4〜6週間」との見通しを示しており、紛争の長期化は確実な情勢だ。


① カーグ島(イラン原油輸出の生命線)が米軍に空爆され、イランはUAEのフジャイラ・ドバイへの報復攻撃を3日連続で実施。民間人死者も出た

② 米国防省側近「完了まで4〜6週間、予定より早い」——戦争は最低でも4月下旬まで続く公算が高い

③ ラリジャニ暗殺でイランは外交・安保の実務トップを喪失。停戦交渉の相手が不在になり、出口シナリオはさらに遠のいた

📌 この記事を読む前に——開戦の経緯

2026年2月28日、米国・イスラエルがイランを大規模攻撃(作戦名「壮絶な怒り」)。翌3月1日にイランのハメネイ最高指導者の死亡が報じられ、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖。3月9日、ハメネイ師の次男モジタバ師(56)が後継最高指導者に選出されたが、公の場に姿を見せず肉声も確認されていない。開戦の経緯・ホルムズ封鎖の構造・ゴールドへの影響については当ブログの過去記事をご参照ください。

🌍 3週目の局面——何が変わったか

開戦から18日が経過し、戦況の性格が変わりつつある。第1週(3/1〜7)は「ショックと混乱」、第2週(3/8〜12)は「機雷敷設・海峡封鎖の固定化」だったとすれば、第3週(3/13〜)は「エスカレーションの連鎖」と位置づけられる。

事実 米軍はイランの石油輸出拠点カーグ島を空爆し、イランはUAEの石油・港湾インフラへの反撃を激化。イスラエルはイランの実質的指導部代行を暗殺した。いずれも「越えてはならない一線」と各方面が指摘していた行為が、わずか5日間に連続して起きた。

筆者見解 双方が「禁じ手」を次々と使い始めており、エスカレーションの歯止めが機能していない。米国防省が「4〜6週間で完了」と見通しを示しているが、それはあくまで攻撃側の計画であり、イラン側の反撃が想定内に収まることを前提とした楽観シナリオだ。

▶ このセクションの結論:「3週目は"エスカレーションの連鎖"フェーズ。禁じ手が連続して解除されている」

📅 3/13(金)——カーグ島空爆、トランプ「至宝を破壊した」

米軍によるカーグ島攻撃の全容

📌 カーグ島とは?

ペルシャ湾北部に位置する面積約22平方キロの島。イランの原油輸出量の約9割を担う主要石油ターミナルがある。イラン経済の「生命線」であり、歴代政権が「ここへの攻撃はレッドラインだ」と繰り返し警告してきた場所。

事実 米中央軍司令部は3月14日、「3月13日夜、カーグ島に大規模精密打撃を実施。海軍の機雷保存施設とミサイルバンカーなど90カ所以上の軍事目標を破壊した」と発表した。

事実 トランプ大統領は同日、Truth Socialに「イランの至宝であるカーグ島のあらゆる軍事目標を完全に破壊した」と投稿。同時に「石油インフラの破壊は見送った」とも付言し、あくまで軍事施設のみを標的にしたと強調した。ただし「ホルムズ海峡の妨害が続くなら石油設備攻撃もあり得る」と警告した。

筆者見解 石油インフラへの攻撃を「見送った」のは、原油価格が制御不能になることへの懸念が背景にある。ただしこの「抑制」は、逆にイランに対して「石油設備を攻撃されたくなければホルムズを開けろ」という交渉カードとして機能している。

ヘグセス国防長官発言

事実 ヘグセス米国防長官は13日、新最高指導者のモジタバ師について「負傷しており、恐らく容貌が変わっている」との見方を発表。開戦直後の2月28日の攻撃でモジタバ師が負傷したと主張した。

事実 これに対しイランのアラグチ外相は14日、「新最高指導者には何の問題もない。憲法に従って職務を遂行している」と即座に反論。ただしモジタバ師本人は3月18日現在も公の場に姿を見せておらず、肉声・映像ともに未確認の状態が続いている。

事実 イスラエル軍報道官はこの時期、「2月28日の作戦開始以降、イラン西部・中部で約400回の空爆を実施した。目標はイランの政権を大幅に弱体化させること」と発表した。

▶ このセクションの結論:「カーグ島空爆はイランが"レッドライン"と警告してきた一線。報復の連鎖が始まった」

📅 3/14(土)——UAE・フジャイラ港にドローン攻撃、アラグチ外相が反撃警告

イランがUAE3港を攻撃目標に指定

事実 イランの軍司令部報道官は14日、「米軍がUAE国内の港湾・埠頭からミサイルを発射してカーグ島を攻撃した」と主張し、UAE東部フジャイラなど3港を「正当な攻撃目標になる」と警告。周辺住民に退避を呼びかけた(UAEはこの主張を否定)。

事実 同日、フジャイラの石油積載施設にドローンが着弾。工業地帯で火災が発生し、施設が一時操業停止となった。UAE当局は「ドローンを迎撃した際の破片が引き起こした火災」と発表、1人が負傷した。

📌 フジャイラ港が狙われた理由

フジャイラ港はホルムズ海峡の外側(オマーン湾側)に位置する。UAEはここへのパイプラインを整備しており、ホルムズを迂回して原油を輸出できる唯一の代替ルートだった。イランがここを攻撃したのは、UAEの「ホルムズ回避ルート」も潰す狙いがある。

アラグチ外相インタビュー——4つの重要発言

イランのアラグチ外相は14日放送の米MSNowインタビューで、4つの重要な発言をした。

事実 ①ホルムズは「完全封鎖ではない」:「米国とイスラエルの船舶・タンカーのみ通行を制限しており、他国の船舶は制限していない」と主張。これは「敵対国以外とは取引する」という外交的柔軟性を示した発言とも読める。

事実 ②カーグ島攻撃はUAEから:「米軍がUAEのドバイ近郊など2地点からミサイルを発射した」と主張し、UAEを共犯者として位置づけた。UAEは否定。

事実 ③報復宣言:「イランの施設が標的とされれば、地域にある米国企業が持つ、または米国が株主となっているあらゆるエネルギーインフラを攻撃する」と明言。

事実 ④停戦は近かった:核協議について「われわれは合意に近づいていた。それが現実だ」と発言。「これはわれわれに対する一方的な戦争だ。われわれが始めた戦争ではない」とも述べた。

筆者見解 アラグチ外相の発言は攻守両面が含まれている。③の報復宣言は激しいが、①の「他国船は制限していない」は外交的な出口を確保する発言でもある。イランが完全な孤立を避けようとしている姿勢が読み取れる。

▶ このセクションの結論:「イランはUAEを巻き込むことで圧力を拡大。アラグチ外相は強硬と外交の両面で動いている」

📅 3/15(日)——米要人が一斉発言「4〜6週間で完了」

日曜日に米国側の要人が一斉にメディアに出演し、戦争の見通しを語った。

事実 ハセット・NEC委員長(CBS):「国防省は任務完了に4〜6週間かかるとみているが、予定より早いペースで進んでいる」と説明。「現在の状況が終わり次第、世界経済には大きなプラスのショックが起きる」とも語った。

事実 ライト・エネルギー長官(ABC/NBC):「この紛争は今後数週間で確実に終わる。原油はその後供給が回復し価格は下がる」と発言。「より大きな目的のため、国民は短期的な痛みを受け入れる必要がある」と訴え、「現時点での最優先はイランが地域・世界で軍事力を行使する能力を完全に破壊することだ」と述べた。

事実 イスラエル軍報道官:「イラン攻撃は少なくともあと3週間継続する」と発表。目標は「日程表ではなく、目標達成に向けて行動している」と強調した。レバノンでの軍事作戦はイランとの戦争が終結した後も続く可能性があるとも述べた。

事実 トランプ大統領は同日、日本・中国・韓国・英国・フランスにホルムズ海峡の安全確保のための艦船派遣を呼びかけた。

筆者見解 「4〜6週間」という具体的な数字が出たことで、市場はある程度の「終わりの見通し」を持てるようになった。ただしこれは米国側の計画であり、イランが反撃を激化させれば即座に覆る。ライト長官の「短期的な痛みは必要」という発言は、原油高が続くことを政権が織り込み済みであることを示している。

▶ このセクションの結論:「米国は"4〜6週間で終わる"という楽観シナリオを公式化。ただし攻撃側の計画に過ぎない」

📅 3/16(月)——ドバイ空港付近攻撃・民間人死亡、ベセント「タンカー再開」

事実 UAE当局は16日、ドバイ国際空港付近でミサイル・ドローン攻撃を受け、民間人1人が死亡、ドバイ空港の発着に支障が出たと発表。フジャイラの原油拠点でも火災が発生した。イランによるUAEへの攻撃は14・15・16日と3日連続となった。

事実 ベセント米財務長官(CNBC)は16日、「ホルムズ海峡でタンカーの航行が再開している」との見方を示した。「米国がイランのタンカーの海峡通過を認めている」とも明かし、イラン自身の原油輸出は一定程度継続していることを示唆した。

事実 同日、湾岸諸国関係者3人がロイターに証言した。「当初はイランを擁護し戦争に反対していたが、イランが自国を直接攻撃した時点で敵になった。イランが湾岸諸国の石油施設を脅かす能力を失うまで軍事作戦を徹底してほしい」と姿勢が一変したことを明かした。

事実 トランプ大統領は16日、訪中(3月31日〜4月2日予定)について「1カ月ほど延期するよう中国側に依頼した」と発表。理由は「イランとの戦争の最中であり、米国内にとどまることが重要だ」と説明した。

筆者見解 ドバイ国際空港への攻撃は、単なる軍事施設への報復を超えた「経済ハブへの直接打撃」だ。ドバイは中東最大の国際ビジネス拠点であり、ここへの攻撃が続けば湾岸諸国の金融・物流への影響は甚大になる。湾岸諸国の対イラン姿勢が「反戦」から「強硬継続支持」に転じたのは、この流れの必然的な結果だろう。

▶ このセクションの結論:「ドバイ空港攻撃で湾岸諸国の世論が反転。対イラン強硬継続を容認する声が多数派に」

📅 3/17(火)——ラリジャニ暗殺、停戦交渉の相手が消えた

ラリジャニ事務局長とは何者か

📌 アリ・ラリジャニとは?

イランの国防・外交政策を統括する最高安全保障委員会(SNSC)事務局長。故ハメネイ師の最側近で、核協議など対外交渉の実務トップを長年務めてきた。2月28日の攻撃でハメネイ師が死亡して以降は、公の場に姿を見せないモジタバ師に代わり事実上の指導部代行として存在感を高めていた。3月11日にもテヘランの集会に姿を見せ、欧米への対決姿勢を鮮明にしたばかりだった。

事実 イスラエルのカッツ国防相は3月17日、「SNSCのラリジャニ事務局長と、イラン国内の治安・弾圧の中枢であるバシジのゴラムレザ・ソレイマニ司令官が、16日夜から17日未明の作戦で排除されたとの最新報告を参謀総長から受けた」と発表した。

事実 イランの国営メディアは17日、SNSC自らが声明を発表し、「ラリジャニ氏が息子とともに死亡した」ことを確認した。当時の状況の詳細は示されていない。イランが独自にこの死亡を確認したのは注目に値する。

事実 カッツ国防相は声明で「軍はイランで激しい攻撃を続ける」と軍事作戦の継続を表明。「ネタニヤフ首相と私はIDF(イスラエル国防軍)に対し、テロの指導者や抑圧的な体制を追跡し、タコの頭を何度も切り落とし、再生を阻止するよう指示した」と述べた。

筆者見解 ラリジャニ暗殺の最大の意味は「停戦交渉の相手が消えた」ことだ。モジタバ師は公の場にいない。ラリジャニ氏は事実上の窓口だった。その2人目が消えたことで、仮にイランが停戦を望んでも、誰が署名し誰が決定するのかが不明確になった。指揮系統の混乱は停戦をより困難にする。

▶ このセクションの結論:「ラリジャニ暗殺でイランの外交・安保の実務トップが消えた。停戦交渉の相手が不在になった」

⚠️ 今後の注目点(3/18時点)

以下の4点が今後1〜2週間のキーファクターだ。

注目点 強気シナリオ 弱気シナリオ
モジタバ師の動向 姿を現し停戦交渉を示唆 引き続き不在→指揮系統混乱
カーグ島石油インフラ 米軍が攻撃を自制 石油施設も攻撃→原油急騰
中国の仲介 イランと直接協議→停戦促進 訪中延期で米中関係悪化→交渉停滞
湾岸産油国インフラ 迎撃成功・被害限定的 サウジ・UAEの主要油田が被弾→原油供給に致命的打撃

筆者見解 最も警戒すべきは「カーグ島の石油インフラへの攻撃」と「サウジ・UAE主要油田への直撃」の2つだ。前者はトランプが「見送った」と言いつつ示唆した最終カード。後者はイランが「報復する」と宣言した対象そのものだ。どちらかが現実になると、WTI・ブレントの価格は現在の90〜96ドル台から一気に130〜150ドル台に跳び上がるリスクがある。

📋 主な参照情報源(2026年3月)

  • 米中央軍司令部(CENTCOM):3月14日 カーグ島攻撃公式発表
  • AFP通信:ラリジャニ事務局長殺害(3月17日)
  • Bloomberg Japan:対イラン戦争4〜6週間・訪中延期(3月15〜16日)
  • CNN.co.jp:アラグチ外相インタビュー・イスラエル軍報道官発言(3月14〜15日)
  • 時事通信:各要人発言・湾岸諸国動向(3月14〜18日)
  • ロイター:湾岸諸国対イラン姿勢変化(3月16日)・原油輸出6割減(3月16〜17日)
  • 毎日新聞:UAE石油積載施設攻撃(3月14日)
  • NHKニュース:ラリジャニ氏殺害・イランの出方(3月17日)

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✍️ 著者:ぱぶちゃん(パブロ監督)
投資歴6年。XAUUSD(金スポット)専門のマクロトレーダー。中東情勢・FRB政策・サプライチェーン動向を独自視点で分析。元海貨業者。本記事の情報・見通しは執筆時点のものであり、今後変わる可能性があります。X(旧Twitter):@pablo29god

⚠️ 免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。「事実」「筆者見解」はラベルで区別していますが、いずれも将来を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。相場は常にリスクを伴い、元本保証はありません。

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