【ディスコ決算】Q1営業利益+42.2%で4-6月期として過去最高益、出荷額も過去最高を更新——2Q業績見通し・配当予想を新規公表

2026年7月23日木曜日

企業決算

t f B! P L
【ディスコ決算】Q1営業利益+42.2%で4-6月期として過去最高益、出荷額も過去最高を更新——2Q業績見通し・配当予想を新規公表

【ディスコ決算】Q1営業利益+42.2%で4-6月期として過去最高益、出荷額も過去最高を更新——2Q業績見通し・配当予想を新規公表

2026年7月23日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab

⏱ 30秒で読む結論

ディスコ(6146、東証プライム)は2026年7月23日、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)決算短信を発表するとともに、同日公表していた前回予想からの上方修正、およびこれまで未開示だった7-9月期(2Q)業績見通しと配当予想(中間配当171円)を新たに公表した。Q1は売上高1,143.08億円(前年同期比+27.1%)、営業利益490.33億円(+42.2%、利益率42.9%)、経常利益484.41億円(+42.5%)、純利益342.21億円(+44.0%、利益率29.9%)と大幅増収増益。会社側は機械装置の検収進捗と消耗品出荷の堅調さを要因に挙げている。市場動向を映す「出荷額」は1,359億円(前年同期比+22.3%)で四半期として過去最高を更新し、生成AI向け需要の継続に加えパワー半導体・OSAT向け需要の広がりも寄与した。前回予想比では売上高+7.7%・営業利益+16.7%と大幅な上振れとなっており、想定より機械製品の検収が進んだことが要因とされる。2Q業績見通しは売上高1,285億円を計画し、配当は中間171円(前期実績129円から大幅増)を新規に予想している。

1|ディスコとはどんな会社か

株式会社ディスコ(東証プライム:6146)は、半導体ウェーハなどを切断・研削・研磨加工する精密加工装置メーカー。主力製品は切断装置「ダイサ」(ブレードダイサ、レーザソー)と研削装置「グラインダ」で、これら精密加工装置に加え、消耗品である精密加工ツール(ブレード等)の販売が収益の柱となっている。単一セグメントで開示しており、生成AI関連の高性能半導体需要を捉えて高い利益率を維持している点が特徴。

2|主要財務ハイライト(Q1、前年同期比・前四半期比)

2026年7月23日、ディスコは2027年3月期第1四半期(2026年4月1日〜6月30日)の連結決算を発表した。機械装置の検収進捗に加え消耗品出荷が堅調だったことから、4-6月期として過去最高の売上高・利益水準となった。

指標 2027年3月期Q1 2026年3月期Q1 前年同期比 2026年3月期4Q 前四半期比
売上高 1,143.08億円 899.14億円 +27.1% 1,330.60億円 △14.1%
営業利益 490.33億円 344.80億円 +42.2% 587.77億円 △16.6%
経常利益 484.41億円 339.99億円 +42.5% 584.84億円 △17.2%
親会社株主帰属四半期純利益 342.21億円 237.67億円 +44.0% 428.81億円 △20.2%

📌 利益率・1株当たり指標・包括利益

  • GP率:71.3%(前年同期68.1%、+3.2p|前四半期70.9%、+0.4p)
  • 営業利益率:42.9%(前年同期38.4%)/経常利益率:42.4%(前年同期37.8%)/純利益率:29.9%(前年同期26.5%)
  • EPS:315.51円(前年同期219.23円)|潜在株式調整後:314.57円(前年同期218.54円)
  • 四半期包括利益:351.96億円(前年同期比+49.6%)

なお前四半期(2026年3月期4Q)比では売上高△14.1%・営業利益△16.6%とマイナスとなっているが、これは同4Qが四半期として過去最高水準であったことによる反動・調整の側面が大きく、機械装置の検収進捗ペースが四半期ごとに変動しやすいという同社特有の会計構造を反映したものとみられる。

売上高はYoY機械装置の検収進捗および消耗品出荷堅調により増収、GP率はYoY為替影響および高付加価値製品等により収益性が向上した一方、販売管理費はYoY人件費や研究開発費の増加により拡大した。なお会社側は、売上高は顧客の検収状況に左右されやすいため、投資意欲を測る指標としては後述の「出荷額」の推移を参照するよう案内している。

3|出荷額動向(先行指標)

市場との連動性が高い「出荷額」は1,359億円(前年同期比+22.3%)となり、四半期として過去最高を更新した。強い需要が続く生成AI向けに加え、OSAT(受託半導体パッケージング・テスト)向けが増加したことで装置出荷が伸長。加えて、顧客の設備稼働率などに連動して消耗品である精密加工ツールの出荷も増加したことが、過去最高更新の背景にある。

2019年度より会計方針の変更により、装置売上は顧客の検収をもって計上する「検収ベース」に移行しており、売上高は装置の検収進捗状況の影響を受けやすい。これに対し出荷額は顧客の設備投資意欲との連動性がより高いとされ、会社側も出荷額の推移を重視するよう案内している。

4|製品群・用途・地域別動向

製品群(出荷額ベース、FY26 1Q) 構成比 QoQ YoY
精密加工装置合計 64% +15% +15%
 内、ダイサ(ブレードダイサ+レーザソー) 33% +16% +16%
 内、グラインダ 26% +15% +10%
 内、周辺装置 4% +9% +51%
精密加工ツール 20% +6% +32%
その他 16% +5% +43%

ダイサの内訳を見ると、ブレードダイサは構成比17%(QoQ+20%、YoY+18%)、レーザソーは構成比16%(QoQ+13%、YoY+14%)といずれも二桁の増加率となっており、ダイサ全体(構成比33%、QoQ+16%、YoY+16%)の伸びを両製品が均等に牽引した格好。

用途別(出荷額ベース):ダイサはIC向けが構成比70%と最大で、パッケージ・シンギュレーション8%、その他半導体12%、光半導体3%、非半導体8%が続く。グラインダはIC向けが79%を占める。IC向けはメモリが生成AIのHBM(高帯域幅メモリ)向けを中心に、ロジックが生成AI・OSAT向けを中心にいずれも増加した。その他半導体はパワー半導体向けが、AIデータセンター向けなど車載向け以外への用途拡大により増加。一方、光半導体はCMOSイメージセンサ向けが減少し、素材ウェーハは日本・韓国向けを中心にウェーハメーカー向けが増加した。

地域別(検収ベース):アジアが構成比82%(うち台湾34%、中国27%、韓国11%、シンガポール8%)と大半を占め、日本9%、ヨーロッパ4%、アメリカ4%と続く。海外売上高比率は90.8%に達しており、同社の業績はアジア各国・地域の半導体投資動向に大きく左右される構造となっている。なお、精密加工ツールは顧客の高い設備稼働率に連動した需要の旺盛さに加え、為替影響による押し上げもあり、前年同期比で大幅な増加となり過去最高の出荷を記録した。

5|業績予想の上方修正について

2026年4月22日に公表していた2027年3月期第1四半期業績予想と比較すると、今回の実績は連結・個別ともに大幅な上振れとなった。

連結(Q1) 前回予想 今回実績 増減率
売上高 1,061.00億円 1,143.08億円 +7.7%
営業利益 420.00億円 490.33億円 +16.7%
経常利益 423.00億円 484.41億円 +14.5%
純利益 295.00億円 342.21億円 +16.0%

会社側は上方修正の理由について、精密加工装置等の機械製品は売上計上のタイミングを検収時としているところ、想定より機械製品の検収が進捗したことで前回予想より売上高・各利益が増加したと説明している。検収ベースの会計特性上、顧客側の検収タイミング次第で四半期業績が変動しやすい点には留意したい。なお個別(単体)業績も、売上高950.78億円(前回予想864.00億円比+10.0%)、営業利益407.43億円(+18.4%)、経常利益603.14億円(+15.8%)、純利益465.94億円(+16.2%)と、連結同様に大幅な上振れとなった。

6|7-9月期(2Q)業績見通し・配当予想(新規公表)

半導体・電子部品業界では顧客の投資意欲が短期間で激しく変動し需要予測が困難なため、同社は従来(2018年)から業績予想開示を「1四半期先までの開示」としている。今回は、これまで未開示だった7-9月期(中間期)業績予想を新たに開示した。

📋 2027年3月期第2四半期(中間期・4-9月累計)連結業績予想(新規公表)

  • 売上高:2,428億円(前年中間期比+24.8%)
  • 営業利益:1,049億円(+33.0%)
  • 経常利益:1,048億円(+31.9%)
  • 親会社株主に帰属する中間純利益:738億円(+32.0%)
  • 1株当たり中間純利益:680.39円

📋 7-9月期(2Q単体)業績見通し

  • 売上高:1,285億円/営業利益:559億円(利益率43.5%)/経常利益:564億円(利益率43.9%)/純利益:396億円(利益率30.8%)
  • 出荷額:1,410億円(四半期として過去最高を見込む)
  • 想定為替レート(7-9月期):US$159円、Euro182円/為替感応度(年換算):US$約19億円、Euro約1億円

引き続き堅調な出荷が続く想定のもと、前年同期と比べ増収増益を見込む。市場動向を表す出荷額は四半期として過去最高額を見込んでおり、生成AI関連の需要が強く工場の繁盛状況が継続しているとしている。

📋 2027年3月期 配当予想(新規公表)

  • 中間配当:171円(新規予想)/期末配当:現時点で未定
  • 前期実績:中間129円、期末376円、合計505円

配当方針は、期末・中間の年2回、連結半期純利益の25%を配当する業績連動型。安定配当として半期10円(年間20円)を維持する(ただし3期連続で連結純損失の場合を除く)。年度末時点で赤字の場合を除き、配当及び法人税支払い後の現預金残高が予定必要資金額(技術購入予備費・設備拡張資金・有利子負債返済資金等)を超過した場合は、超過金額の3分の1を目処に配当に上乗せする追加配当の仕組みがある。中間配当予想171円は、上期業績予想に連動した配当性向25%で算定されたものであり、実際の業績によって変動する可能性がある。

7|財政状態

項目 2027年3月期Q1末 2026年3月期末 差額
総資産 7,511.59億円 7,434.10億円 +77.49億円
純資産 5,825.23億円 5,881.25億円 △56.02億円
現金及び預金 2,838.92億円 2,845.75億円 △6.83億円
棚卸資産 1,529.53億円 1,413.25億円 +116.28億円
自己資本比率 77.3% 78.9% △1.6p

総資産の増加は、製品在庫(主に出荷済み未検収分)を中心とした棚卸資産の増加が主因。負債面では契約負債(出荷時入金のものを含む)が729.70億円(前期末500.06億円から+229.64億円)と大きく増加しており、検収待ちの出荷済み製品に対応する入金が先行して負債計上されているとみられる。純資産は主に配当金支払いにより減少し、自己資本比率は78.9%から77.3%へ1.6ポイント低下した。

8|設備投資・研究開発(R&D/CAPEX)見通し

📌 FY26(2027年3月期)見通し(今回、一部修正)

  • 設備投資:約330億円(変更なし)|合理化投資、羽田R&Dセンター建替、新工場建築を含む
  • 減価償却:約160億円(従来約150億円から上方修正)
  • 研究開発:約380億円(従来約360億円から上方修正)|積極的な研究開発活動を継続

CAPEXの内訳イメージとしては、羽田R&Dセンター新棟に約140億円(支出時期FY25〜FY27)、広島事業所新工場に約330億円(支出時期FY25〜FY27)を予定しており、これらに機械・設備の合理化投資を加えた金額として、年間300億円超の設備投資水準が今後も継続する見通し。前回(4月)発表時点から内訳イメージに大きな変更はない。

9|注視すべきポイント

⚠️ 決算資料から読み取れる留意点

① 今回の大幅増益・出荷額最高更新は生成AI関連の高性能半導体需要(HBM・先端ロジック)の継続が主因であり、AI投資サイクルの持続性そのものが同社業績の最大の変動要因となる
② 売上計上が「検収ベース」であるため顧客の検収タイミングにより四半期業績が振れやすく、今回のような大幅な上方修正(前回予想比、営業利益+16.7%)が今後も起こり得る点は留意が必要
③ 契約負債が229.64億円増加しており、出荷済み・未検収の製品(将来の売上計上待ち)が積み上がっている可能性がある。今後の検収進捗ペースが2Q以降の業績を左右する
④ 想定為替レート(2Q:USD159円/EUR182円)からの実勢レートの乖離は業績に一定の影響を与える(USDの年換算感応度は約19億円)。実勢レートとの比較を継続的に確認したい
⑤ 同社は「1四半期先までの開示」を業績予想の基本方針としており、通期計画自体は開示されない。中長期の投資判断には、出荷額推移や用途別・地域別構成比など補足情報を継続的にフォローする必要がある

総じて今回の決算は、生成AI関連需要を追い風に売上高・利益・出荷額のいずれも過去最高水準を更新する内容だった。同時発表された大幅な上方修正と、これまで未開示だった2Q業績見通し・中間配当171円の新規公表は、会社側が現状の需要環境に相応の見通しの立てやすさを持ち始めたことを示唆する。次回2Q決算では、今回開示された見通しに対する進捗ペースと、生成AI関連需要の持続性が焦点となりそうだ。

出典

  • 株式会社ディスコ「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年7月23日)
  • 株式会社ディスコ「2026年度 第1四半期 決算説明資料」(2026年7月23日)
  • 株式会社ディスコ「2027年3月期第1四半期業績予想値と実績値との差異ならびに第2四半期業績予想および配当予想に関するお知らせ」(2026年7月23日)

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god

免責事項:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。

© 2026 ぱぶちゃんのファンダメンタルlab

ほうもんしゃ

Translate

PVアクセスランキング にほんブログ村
このブログについて
当ブログ「ぱぶちゃんのファンダメンタルlab」では、
世界の株式・為替・商品・金利市場の振り返りや、
マクロ経済の動向や重要経済指標を中立・事実ベースで徹底解析しています。
投資判断を目的としたものではなく、
情報整理と理解を目的とした内容を提供しています。

ニュースや経済指標は数が多く分かりづらいため、
当ブログでは日々のマーケット情報を整理し、 冷静に読み解くことを目的としています。

このブログを検索

人気の投稿

ブログ アーカイブ

カテゴリー

自己紹介

自分の写真
ぱぶちゃん|投資歴6年
ゴールド・マクロ・FXを事実ベースで解説するブログを運営中。
相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。
ナンピンは得意です。
X @pablo29god

QooQ