【小松製作所決算】1Q税引前利益はコンセンサス比+33%の大幅上振れ、通期は中東・関税影響縮小で上方修正

2026年7月29日水曜日

企業決算

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【小松製作所決算】1Q税引前利益はコンセンサス比+33%の大幅上振れ、通期は中東・関税影響縮小で上方修正

【小松製作所決算】1Q税引前利益はコンセンサス比+33%の大幅上振れ、通期は中東・関税影響縮小で上方修正

2026年7月29日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab

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小松製作所の2027年3月期第1四半期(2026年4-6月)は、売上高1兆431億円(前年同期比+14.7%)、営業利益1,516億円(+8.0%)、税引前四半期純利益1,400億円(+6.7%)、当社株主帰属純利益962億円(+5.4%)の増収増益で着地した。IFISコンセンサス(7/27時点)の1Q税引前利益予想1,050億円に対し実績は1,400億円と、約+33%の大幅な上振れとなった。円安(¥158.5/USD、前年¥145.5/USD)に加え、建機の物量増・販売価格改善が牽引した一方、原価差・固定費差のマイナス影響で売上高営業利益率は前年同期比▲0.9pt低下の14.5%となった。地域別では北米(+29.5%)・中南米(+37.2%)が大幅増収、一方でアジア(インドネシア石炭需要低迷)と日本(人件費・資材高騰と労働力不足)は減収。通期見通しは、中東情勢・米国関税の影響が当初想定より限定的となったことを受け、売上高4兆3,020億円(4月公表比+1,840億円上方修正)、営業利益5,550億円(同+470億円上方修正)に上方修正されたが、この修正後の水準(税引前利益5,080億円)はIFISコンセンサス(5,251億円、7/27時点)にはまだ届いていない。決算発表を受け、7/29午後の株価は前日比+6.71%の7,203円まで上昇している(14:34時点)。

📄 一次資料:小松製作所 IR情報(決算短信・決算説明会資料)

1|小松製作所とはどんな会社か

株式会社小松製作所(東証プライム6301、通称コマツ)は、建設機械・鉱山機械で世界2位級のシェアを持つ日本の総合重機メーカー。建設機械・車両、リテールファイナンス(販売金融)、産業機械他(鍛圧機械・工作機械・防衛関連・光学機械等)の3セグメント体制で事業を展開する。2025年4月から2028年3月期を最終年度とする中期経営計画「Driving value with ambition 価値創造への挑戦」を推進中で、「安全で生産性の高いクリーンな現場を実現するソリューションパートナー」を掲げる。代表取締役社長は今吉琢也氏。

2|主要財務ハイライト(コンセンサス比較)

2026年7月29日午後(14:30)、小松製作所は2027年3月期第1四半期(2026年4-6月)決算を発表した。為替前提は1ドル=158.5円(前年1ドル=145.5円)と、前年同期に比べて円安方向に推移したことが増収増益の一因となっている。

指標 1Q FY2027/3 1Q FY2026/3 増減
売上高
(決算短信ベース:1,043,143百万円)
1兆431億円 9,095億円 +14.7%
営業利益 1,516億円 1,404億円 +8.0%
売上高営業利益率 14.5% 15.4% ▲0.9pt
税引前四半期純利益
(決算短信ベース)
1,400億円 1,313億円 +6.7%
当社株主帰属四半期純利益 962億円 912億円 +5.4%
EPS(基本的) 107.20円 99.08円 +8.2%

📊 IFISコンセンサスとの比較

IFISコンセンサス(2026年7月27日時点、決算発表直前)による1Q税引前利益予想は1,050億円だった。実績の1,400億円はこれを約350億円、率にして約+33%上回る大幅な上振れとなった。
一方、通期のIFISコンセンサス(税引前利益5,251億円)に対し、今回の会社側の上方修正後の通期見通し(税引前利益5,080億円)はなお下回る水準にとどまっている。1Q単体は市場予想を大きく上回ったが、会社側の通期見通しの引き上げ幅は、事前の市場の期待ほど強気ではなかった格好。

3|セグメント別動向

セグメント(1Q) 売上高 増減率 セグメント利益 利益率
建設機械・車両 9,669億円 +14.4% 1,301億円・+6.4% 13.5%(▲1.0pt)
リテールファイナンス 327億円 +7.4% 96億円・+2.8% 29.4%(▲1.4pt)
産業機械他 529億円 +21.7% 90億円・+25.1% 17.0%(+0.4pt)

建設機械・車両:売上高は円安(+230億円)と物量増、販売価格改善(+170億円)が牽引したが、原価差(▲188億円)・固定費差(▲84億円)のマイナス影響で、セグメント利益は前年同期比+6.4%増益にとどまり、利益率は13.5%(▲1.0pt)に低下した。

リテールファイナンス:資産は16,765億円(前期末比+586億円)に拡大し、新規取組高は3,181億円(前年同期比+565億円)。北米・欧州・オセアニア・アフリカでのファイナンス利用増が寄与し、ROAは2.4%(前年2.2%)に改善した。

産業機械他:コマツ産機(大型プレス)154億円(+32.2%)、ギガフォトン(半導体向けエキシマレーザーのメンテナンス売上)196億円(+22.5%)が牽引し、セグメント利益率は17.0%と3部門中で最も高い水準を維持した。一方、コマツNTC(工作機械)は76億円(▲11.4%)と減収。

4|地域別動向(建設機械・車両)

地域(外部顧客向け) 1Q売上高 増減率
北米 2,892億円 +29.5%
中南米 2,154億円 +37.2%
アフリカ 726億円 +31.6%
欧州 964億円 +11.6%
オセアニア 1,121億円 +16.1%
中国 220億円 +20.7%
CIS 161億円 +22.2%
日本 600億円 ▲12.0%
アジア(日本・中国除く) 700億円 ▲29.6%
中近東 112億円 ▲54.6%

外部顧客向け売上高は合計9,650億円(+14.6%、為替影響を除くと+3.7%)。北米はインフラ・レンタル向け需要が堅調に推移し、鉱山機械の販売増加と円安の影響が重なり+29.5%の増収。中南米は銅需要の堅調とチリなどでの鉱山機械販売増が寄与した。

一方、中近東は中東情勢の影響で一般建機・鉱山機械の販売が減少し▲54.6%の大幅減収。アジアはインドネシアの石炭採掘量制限を背景に鉱山機械需要が低迷し▲29.6%。日本は人件費・資材価格高騰や労働力不足を背景に一般ユーザー向け・レンタル向け需要が引き続き低迷し▲12.0%となった。

5|財務体質・キャッシュフロー

総資産は6兆7,826億円(前期末比+3,586億円)に増加。円安と棚卸資産の増加(1兆7,152億円、前期末比+1,133億円)が主因。株主資本比率は51.8%(前期末比▲2.9pt)に低下したが、これは主に自己株式取得(期末自己株式数は3,883万株、前期末2,924万株から増加)の影響による。

営業活動によるキャッシュ・フローは651億円の収入(前年同期比+353億円)。フリー・キャッシュ・フローは1Q単体で▲16億円の支出となったが、これは季節性によるもので、通期のFCF見通しは+2,600億円(2025年度実績+2,497億円)としている。

6|通期2027年3月期見通し(上方修正の背景)

指標 4月公表予想 今回修正予想 修正額 前年比
売上高 4兆1,180億円 4兆3,020億円 +1,840億円 +4.1%
営業利益 5,080億円 5,550億円 +470億円 ▲2.2%
税引前当期純利益 4,660億円 5,080億円 +420億円 ▲5.4%
当社株主帰属当期純利益 3,180億円 3,490億円 +310億円 ▲7.3%

上方修正の背景は主に2点。①中東情勢の影響が当初想定より限定的(売上への影響▲901億円→▲463億円に縮小、中近東地域の需要減少幅が想定を下回り、アフリカ各国では需要減少が見られなかった)。②米国関税の影響縮小(コスト増加影響+378億円→+258億円、IEEPA関税は廃止、122条追加関税は7/23で失効し301条追加関税が7/24より適用、鉄鋼アルミ関税は6/8以降日・英・EU・韓など25%→15%に引き下げ)。

セグメント別の通期見通しでは、建設機械・車両が売上高3兆9,700億円(+4.3%)・セグメント利益4,810億円(▲2.1%、関税影響拡大と調達価格上昇による原価差が重石)、リテールファイナンスが売上高1,285億円(+1.9%)・セグメント利益365億円(▲0.2%、前年並み)、産業機械他が売上高2,520億円(+5.5%)・セグメント利益415億円(+9.4%、半導体産業向けの増産基調が追い風)。

配当は年間190円で据え置き(中間・期末各95円)、連結配当性向は48.6%を見込む。

7|主要7建機・鉱山機械の需要動向と見通し

主要7建機需要(コマツ推定)の2026年度1Q実績は前年同期比+12%。通期見通しは前年比0%〜+5%に上方修正(4月見通しは0%〜▲5%)。地域別では、北米が非住宅・データセンター向けレンタル需要の堅調を背景に0%〜+5%(1Q実績+11%)、欧州は公共投資が牽引し0%〜+5%(変更なし、1Q実績+4%)、アジアは0%〜▲5%に上方修正(4月見通し▲5%〜▲10%、1Q実績+4%)、日本は前年並み(変更なし、1Q実績▲11%)を見込む。

一方、鉱山機械需要は2026年度1Q実績が前年同期比▲12%。通期見通しは前年比▲5%〜▲10%に上方修正された(4月見通しは▲10%〜▲15%)。銅・金価格が堅調に推移する中、中南米・アフリカの鉱山向け需要が下支えとなっている。

8|重要トピックス

  • スマートコンストラクション本格導入:シンガポールのチャンギ空港ターミナル5建設プロジェクトで、施工管理デジタルソリューション「スマートコンストラクション®」の導入を開始。
  • グローバルAI体制の強化:開発・生産・販売・サービスにわたるバリューチェーン全体でのAI活用を加速するため、グローバルCoE(Center of Excellence)を創設。2027年からグローバル連携を本格化する方針。
  • ICT建機化率31.1%:日米欧豪でのICT建機の販売割合を示す指標が31.1%に到達。鉱山機械の無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数は1,060台に達した。
  • コマツ・ウィリアムズエンジニアリングアカデミー:アトラシアン・ウィリアムズF1チームとの連携による次世代エンジニア育成プログラムの第3期を開始。学生フォーミュラとの連携を強化。
  • グリーンボンド発行:新本社ビル建替え関連資金を目的に、公募形式のグリーンボンド(無担保普通社債)200億円を発行。利率1.782%、発行年限3年、社債格付AA(R&I)。
  • ダウ・ジョーンズ・ベストインクラス・ワールド・インデックス選定:中期経営計画で掲げるESG目標のひとつとして、同インデックスへの選定を達成。

9|リスク・注視すべきポイント

⚠️ 決算資料・決算説明会から読み取れる留意点

①中東情勢は依然として不透明。ホルムズ海峡封鎖に伴う代替輸送ルートを活用し製品のデリバリー自体は継続できているものの、平常時レベルの輸送力までは回復しておらず、プロジェクトにも遅延が見られる。会社側は今回、中東情勢による通期の売上影響見積もりを▲901億円から▲463億円へと縮小させたが、依然としてマイナス影響そのものは残存している点に留意
②米国関税制度は7月に122条追加関税が失効し301条追加関税が適用開始となるなど変化が続いており、通期見通しの前提が今後も変わる可能性がある
③為替感応度が高い(1円の円安で年間USD売上+149億円・営業利益+45億円、決算説明会資料P14「売上高・営業利益への為替感応度」より)。通期の前提は2Q以降1ドル=150円、通期平均では1ドル=152.1円(1Qの実勢が想定より円安だったことを反映)としており、下期以降にこの前提から円高方向へ乖離した場合は上方修正した通期見通しにも下押し圧力がかかる点に注意
④株主資本比率が前期末比▲2.9pt低下し51.8%となった。期末自己株式数は3,883万株(前期末2,924万株)へ増加しており、継続的な自己株式取得が財務体質・株主資本比率に与える影響を注視する必要がある
⑤日本(人件費・資材高騰、労働力不足)とアジア(インドネシアの石炭採掘量制限)における構造的な需要低迷が続いている
⑥1Q単体の実績はコンセンサスを大幅に上回ったが、会社側の通期上方修正幅はアナリストの事前想定(IFISコンセンサス)にまだ届いておらず、下期にかけての実行力が問われる

10|株価反応

決算は7月29日午後2時30分、東証の取引時間中に開示された。発表前の午前11時台には前日比+1.39%程度で推移していたが、決算内容を好感して午後にかけて上昇が加速し、14:34時点では前日比+453円(+6.71%)の7,203円まで上昇している。1Q税引前利益がコンセンサスを大幅に上回ったことと、通期見通しの上方修正が好感された形とみられる。

なお、決算発表前時点でのアナリストレーティングは「中立」(強気買い1人・買い2人・中立8人・売り1人・強気売り1人)、平均目標株価は6,389円であり、本日の株価上昇によりすでにこの水準を上回っている。

出典

  • 株式会社小松製作所「2027年3月期 第1四半期決算短信〔米国基準〕(連結)」(2026年7月29日公表)
  • 株式会社小松製作所「2026年度 第1四半期(4-6月)決算説明会」資料(2026年7月29日)
  •  IFISコンセンサス:IFIS株予報「6301 小松製作所 - 業績進ちょくと決算スケジュール」(株式会社アイフィスジャパン、2026年7月27日時点データ)
  •  株価反応・アナリスト評価:株予報Pro、みんかぶ「コマツ(6301):アナリストの予想株価・プロ予想」(2026年7月29日時点)
  •  決算速報:株探ニュース「コマツ、今期税引き前を9%上方修正」(2026年7月29日付)

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god

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