【ロッキード・マーチン(LMT)決算】Q2売上高11%増の201億ドル・EPS7.94ドルでコンセンサス大幅超え、純利益は前年比5倍——バックログ2,300億ドルに拡大、通期ガイダンス上方修正で株価急伸
2026年7月24日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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ロッキード・マーチンのQ2 2026決算は売上高201億ドル(+11%)、GAAP EPS7.94ドルといずれもコンセンサスを大幅上振れ。純利益は前年同期比で約5.4倍に急増したが、主因は前年計上したreach-forward損失(合計16億ドル)の反動で、事業自体もPAC-3・THAAD・F-35の生産ランプで着実に伸びている。バックログは350億ドルのTHAAD多年度契約を含み過去最高の2,304億ドルに拡大。通期ガイダンスも上方修正され、決算後の大型契約発表も相次いだことで株価は急伸した。
📄 一次資料:決算リリース(8-K)/財務テーブル/カンファレンスコール資料
📋 目次
1|ロッキード・マーチンとはどんな会社か
ロッキード・マーチン・コーポレーション(NYSE:LMT、米メリーランド州ベセスダ本社)は、世界最大級の防衛・航空宇宙企業。事業セグメントは、F-35をはじめとする戦闘機・輸送機を扱うAeronautics(航空機部門)、PAC-3・THAAD・ATACMSなどのミサイル・ミサイル防衛システムを扱うMissiles and Fire Control、シコルスキー製ヘリコプターや海洋システムを扱うRotary and Mission Systems、人工衛星・弾道ミサイル関連を扱うSpaceの4部門体制。会長兼CEOはJames D. Taiclet(ジェームズ・タイクレット)氏、CFOはEvan T. Scott(エバン・スコット)氏。「21st Century Security」戦略のもと、統合・パートナーシップ・オペレーション効率化を軸に事業を展開している。
2|主要財務ハイライト(Q2、コンセンサス比)
2026年7月23日(現地時間、市場寄り付き前)、ロッキード・マーチンは2026年度第2四半期(4〜6月期)決算を発表した。売上高・利益ともに市場予想を大幅に上回る内容となった。
| 指標 | Q2 2026実績 | コンセンサス予想 | Q2 2025実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 201億ドル($20.1B) | 193.3〜193.5億ドル | 181.6億ドル |
| 売上高YoY | +11% | - | - |
| GAAP EPS(希薄化) | $7.94 | 約$7.19〜7.23 | $1.46 |
| 純利益 | 18.4億ドル | - | 3.4億ドル |
| 連結営業利益率 | 12.4% | - | 4.1% |
| 実効税率 | 15.7% | - | 18.0% |
📌 コンセンサス対比のポイント
- 売上高:コンセンサス比+約3.3〜3.8%の上振れ
- GAAP EPS:コンセンサス比約+10%の上振れ(サプライズ+9.97%)
- 事業セグメント営業利益(non-GAAP):21.6億ドル、前年同期比+279%、セグメント営業利益率10.8%(前年同期3.1%)
- キャッシュフロー:営業CF32.4億ドル、フリーキャッシュフロー29.2億ドル(前年同期は▲1.5億ドル)
- バックログ:2,304億ドル(過去最高)、Book-to-Bill比3.2倍
CEOのジェームズ・タイクレット氏は、四半期を通じて201億ドル超の売上、29億ドルのフリーキャッシュフロー、650億ドルの新規受注を計上し、バックログが過去最高の2,300億ドルに達したとコメント。「21st Century Security」戦略に基づく統合・パートナーシップ・オペレーション効率化が奏功しているとの見方を示し、通期ガイダンス引き上げに自信を示した。四半期中にはミサイル防衛局とのTHAAD多年度契約締結という枠組み合意の実行段階への移行や、対ドローンシステム「Sanctum」のコンセプトから45日での実弾試験成功など、ミサイル・防衛システム関連の進捗が目立った。
3|セグメント別動向
| セグメント | 売上高 | 売上YoY | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Aeronautics(航空機) | 81.1億ドル | +9% | 7.6億ドル | 9.4%(前年▲1.3%) |
| Missiles and Fire Control | 41.0億ドル | +19% | 5.9億ドル | 14.5%(前年14.0%) |
| Rotary and Mission Systems | 43.5億ドル | +9% | 4.4億ドル | 10.0%(前年▲4.3%) |
| Space | 35.0億ドル | +6% | 3.7億ドル | 10.6%(前年10.9%) |
Aeronautics:F-35生産契約の増量(+4.75億ドル)が牽引した一方、F-16・C-130のサステインメント契約の減少(▲1.2億ドル)が相殺。前年同期に計上した分類プログラムでの9.5億ドルのreach-forward損失が剥落したことで営業利益は大幅改善したが、ポートフォリオ全体での有利な利益調整は前年より1.6億ドル少なかった。
Missiles and Fire Control:4部門中で唯一、前年からの特殊要因の反動に頼らずプラス成長を遂げた部門。PAC-3・THAADなど統合防空ミサイル防衛プログラムの生産ランプ(+5.6億ドル)、精密攻撃ミサイル(PrSM)の生産ランプ(+1.0億ドル)が牽引し、増収増益を達成した。
Rotary and Mission Systems:カナダ海洋ヘリコプター計画(CMHP)・トルコ多用途ヘリコプター計画(TUHP)での前年reach-forward損失(合計6.65億ドル)の反動に加え、シコルスキー製ヘリコプターの増収(+2.55億ドル)、Mission Integrated Command & Control(MIC2)プログラムの水中戦闘システム・River Class Destroyer関連の増量(+1.15億ドル)が寄与。一方でHeavy Lift・Seahawkプログラムでは不利な利益調整(計1.15億ドル)が発生した。
Space:次世代迎撃機(NGI)・弾道ミサイル(FBM)プログラムの増量により増収を確保したが、営業利益はポートフォリオミックスの変動にとどまり、伸びは他部門比で鈍い。会社側は通期見通しでもULA(United Launch Alliance)の持分利益の減少を要因として挙げている。
4|特殊要因(前年比較の背景)
今回の純利益急増(前年同期比約5倍)を評価する上では、前年同期の特殊要因を押さえておく必要がある。Q2 2025は、Aeronauticsの分類プログラムで9.5億ドル、Rotary and Mission SystemsのCMHPで5.7億ドル・TUHPで0.95億ドルの、合計約16億ドルのreach-forward損失(プログラム進捗に伴う採算悪化の一括計上)を計上していたほか、1.69億ドルのその他費用(固定資産の評価損等)も発生していた。
これらの特殊要因が一巡したことが今回の大幅増益の主因ではあるが、事業のファンダメンタルズ自体もPAC-3・THAAD・F-35といった主力プログラムの生産ランプにより実質的に拡大しており、単なる「前年の反動」だけでは説明できない増収基調が続いている点は評価できる。
5|四半期トレンド
Q1 2026は純利益15億ドルと前年同期の17億ドルから減少し、やや軟調な滑り出しだった。F-16プログラムでの不利な利益調整(1.25億ドル)やC-130の納入遅延(0.55億ドル)が響いた形で、当時は通期ガイダンスも据え置きにとどまっていた。今回のQ2で純利益・EPSともに大きく反転増加し、通期ガイダンスも2026年に入って初めて上方修正された。上半期を通じた業績のブレは、防衛関連プログラムに特有の「プログラム損益の一括計上(reach-forward)」や納入タイミングによって四半期ごとの振れが生じやすい業態特性を反映している。
6|キャッシュフロー・財務体質
| 項目 | 2026年6月末 | 2025年12月末 |
|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 37.9億ドル | 41.2億ドル |
| 総資産 | 624.5億ドル | 598.4億ドル |
| 長期債務 | 205.4億ドル | 205.3億ドル |
| 株主資本 | 87.7億ドル | 67.2億ドル |
営業キャッシュフローは32.4億ドル、フリーキャッシュフローは29.2億ドルと、いずれも前年同期(それぞれ2.0億ドル、▲1.5億ドル)から大幅に改善した。会社側は改善要因として顧客からの入金タイミングと納税額の減少を挙げている。長期債務はほぼ横ばいで推移した一方、株主資本は今回の大幅な純利益計上により利益剰余金が積み上がり、前期末から約20億ドル増加した。
決算資料の財務テーブルによると、バックログの内訳では350億ドル規模のTHAAD多年度契約が寄与したMissiles and Fire Controlが878.8億ドル(前期末466.5億ドルからほぼ倍増)と際立つ一方、Aeronauticsは543.6億ドル(前期末594.4億ドルから減少)とやや縮小しており、部門間でバックログの積み上がり方に差が出ている。
7|通期2026ガイダンス(4月時点比)
| 指標 | 7月更新 | 4月時点 |
|---|---|---|
| 売上高 | 797.5億〜817.5億ドル | 775億〜800億ドル |
| セグメント営業利益 | 85.0億〜87.0億ドル | 84.25億〜86.75億ドル |
| 希薄化EPS | $29.95〜$30.65 | $29.35〜$30.25 |
| 営業キャッシュフロー | 92.0億〜94.0億ドル | 91.5億〜94.5億ドル |
| 設備投資 | 20.0億〜24.0億ドル | 25.0億〜28.0億ドル |
| フリーキャッシュフロー | 70.0億〜72.0億ドル | 65.0億〜68.0億ドル |
通期ガイダンスは中心値ベースで売上高約807.5億ドル、希薄化EPS約30.3ドルとなり、いずれもアナリストコンセンサス(売上高約787.5億ドル、EPS約29.9ドル)を上回る水準で提示された。CEOのタイクレット氏は、前年比約8%の加速した売上成長、28%高いセグメント営業利益、7億ドル超に増額したフリーキャッシュフローを見込むとコメントしており、Q1時点の据え置きから一転して強気の見通しに転じた形。
セグメント別ではAeronautics・Missiles and Fire Control・Rotary and Mission Systemsの3部門で売上高・営業利益ともに上方修正された一方、Spaceのみ営業利益見通しがわずかに下方修正(4月時点13.85億〜14.15億ドル→7月時点13.4億〜13.8億ドル)されている。なお、7月に発表したUltra Maritime買収(34.5億ドル、Rotary and Mission Systemsの水中・対潜水艦戦能力を強化する狙い)は規制承認等が未了のため、このガイダンスには反映されていない。
8|注目イベント・戦略トピックス
- ミサイル防衛局とTHAADインターセプター量産で350億ドルの多年度契約を締結、年初発表の枠組み合意を実行段階に移行
- 対ドローン迎撃システム「Sanctum」を、バトルマネージャー・レーダー・ランチャー・実戦実績のあるミサイルを組み合わせる形でコンセプトから45日で実弾試験に成功
- General Motors Defenseとの国内協業、Rheinmetallとの欧州向けATACMS共同生産で合意し、防衛製造能力の強化を推進
- Ultra Maritime買収を発表(34.5億ドル、Rotary and Mission Systemsの水中・対潜水艦戦能力を拡張、規制承認待ち)
- 決算発表後、米特殊作戦軍と12年・上限105.3億ドルの兵站IDIQ契約、米海軍からF-35予備部品1.6億ドルの受注を相次いで獲得
- 低コスト版の次世代迎撃ミサイル「PAC-3 ACE」を発表、既存のPatriot・IBCSシステムとの連携を想定
- Lockheed Martin Venturesを10億ドル規模に拡大しロンドンに新拠点を開設、英欧のディフェンステック企業に1億ドル超を投じる方針を表明
9|株価反応
決算発表前日(7月22日)のロッキード・マーチン株は514.50ドルで終えていた。決算発表・通期ガイダンス上方修正を好感し、7月23日の株は前日比で急伸。決算発表後には米特殊作戦軍との大型兵站契約や米海軍のF-35部品発注、新型迎撃ミサイル「PAC-3 ACE」の発表なども相次いで報じられ、複数の報道では終値ベースで前日比約+10.5%($568前後、報道により+9〜11%程度の幅あり)まで上昇したと伝えられている。
同業のRTXも同時に上昇しており、防衛セクター全体への支出拡大期待が株価反応の背景にあるとの見方も報じられている。一方でWells Fargoは目標株価を650ドルから575ドルへ、TD Cowenも600ドルから560ドルへとそれぞれ引き下げており、アフターマーケット(保守・部品)事業の減速懸念など慎重な見方も一部に残る。市場全体のコンセンサス目標株価は600ドル台前半とされ、決算の内容自体への強気評価と、株価上昇後のバリュエーション面での慎重論とが交錯する形になっている。
10|リスク・注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・関連報道から読み取れる留意点
① 今回の大幅増益は前年同期のreach-forward損失(合計16億ドル)の反動が主因の一つであり、四半期ごとの損益に一括計上の影響が出やすい業態特性は今後も残る
② Ultra Maritime買収は規制承認等の条件充足が前提であり、統合リスク・資金調達条件・既存の負債や資本配分への影響は現時点で未確定
③ Spaceセグメントのみ通期営業利益見通しが小幅下方修正されており、ULA持分利益の減少など個別要因への目配りが必要
④ 決算後に株価が急伸した一方でWells Fargo・TD Cowenが目標株価を引き下げており、アフターマーケット事業の減速懸念などバリュエーション面での慎重論も存在する
⑤ 米国防予算や継続予算決議(CR)、政府調達方針の変化など、政府向け契約への依存に伴う構造的な不確実性は引き続き残る
⑥ F-35をはじめとする複雑な先端プログラムは、開発・生産・維持のいずれの局面でもコスト・スケジュールリスクを内包する
総じて今回の決算は、売上高・EPSともにコンセンサスを大幅に上回り、PAC-3・THAAD・F-35を中心とした生産ランプによる実質的な事業拡大と、前年特殊要因の反動という2つの側面が重なった内容だった。350億ドルのTHAAD契約を含む過去最高のバックログと通期ガイダンスの上方修正は、防衛需要の底堅さを裏付ける材料といえる。次回Q3決算では、Ultra Maritime買収の進捗状況と、Space・Aeronauticsセグメントの利益率動向がどの程度改善するかが焦点になりそうだ。
出典
- Lockheed Martin Corporation「Lockheed Martin Reports Second Quarter 2026 Financial Results」(Form 8-K Exhibit 99.1、2026年7月23日)
- Lockheed Martin Corporation「2Q 2026 Earnings Release Financial Tables」(2026年7月23日)
- Lockheed Martin Corporation「Second Quarter 2026 Conference Call Charts」(2026年7月23日)
- Zacks / Yahoo Finance「Lockheed Martin (LMT) Surpasses Q2 Earnings and Revenue Estimates」(2026年7月23日)
- Yahoo Finance/Quartz「Lockheed Martin Q2 2026 earnings beat, full-year outlook raised」(2026年7月23日)
- StockStory「Lockheed Martin (NYSE:LMT) Reports Upbeat Q2 CY2026, Stock Soars」(2026年7月23日)
- AlphaStreet「Lockheed Martin Q2 2026 Earnings Preview」(2026年7月19日)
- The Motley Fool「Why Lockheed Martin Stock Launched Higher」(2026年7月23日)
- TradingKey「Lockheed Martin Corp Stock (LMT) Moved Up by 10.96% on Jul 23」(2026年7月23日)
- StocksToTrade「Lockheed Martin Stock Climbs As New Defense Deals Pile Up」(2026年7月23日)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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