【インテル(INTC)決算】Q2売上高25%増の161億ドルでコンセンサス大幅上振れ、非GAAP EPSは予想の2倍に——GAAP純損失110億ドルはエスクロー株評価損が主因、株価は時間外で急伸
2026年7月24日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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インテルのQ2 2026決算は売上高約161億ドル(+25%)、非GAAP EPS0.42ドルといずれもコンセンサスを大幅上振れ。GAAP純損失110.3億ドルはエスクロー株評価損という非現金項目が主因で、本業はDCAI+59%・Foundry赤字縮小と改善が継続。Q3ガイダンスも上振れ、株価は時間外で急伸した。
📋 目次
1|インテルとはどんな会社か
インテル・コーポレーション(Nasdaq:INTC、米カリフォルニア州サンタクララ本社)は、半導体の設計・製造・販売を手掛ける世界最大級の半導体メーカー。事業セグメントは、クライアントPC・エッジ/フィジカルAI向け製品を扱うCCPG(Client Computing and Physical AI Group、旧CCG)、サーバーCPU・AI関連製品を扱うDCAI(Data Center and AI)の2部門からなる「Intel Products」、自社および外部顧客向けに半導体を製造する「Intel Foundry」、モビレイなどを含む「All Other」の大きく3セグメント体制。CEOはリップブー・タン(Lip-Bu Tan)氏、CFOはデイブ・ジンスナー(Dave Zinsner)氏。米政府はCHIPS Act関連の支援を通じてインテル株式の一部を保有しており、本決算で発生したGAAP純損失の主因となったエスクロー株式もこの枠組みに関連するものである。
2|主要財務ハイライト(Q2、コンセンサス比)
2026年7月23日(現地時間、市場引け後)、インテルは2026年度第2四半期(4〜6月期)決算を発表した。売上高・利益率ともに市場予想を大幅に上回る内容となった。
| 指標 | Q2 2026実績 | コンセンサス予想 | Q2 2025実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 約161億ドル($16.1B) | 144.2億ドル | 128.6億ドル |
| 売上高YoY | +25% | - | - |
| 非GAAP EPS | $0.42 | $0.21〜0.22 | $(0.10) |
| GAAP EPS | $(2.16) | - | $(0.67) |
| 非GAAP粗利益率 | 41.8% | 約38.8% | 29.7% |
| GAAP粗利益率 | 40.4% | - | 27.5% |
📌 コンセンサス対比のポイント
- 売上高:コンセンサス比+約11.9%の上振れ(一部集計では+11.6〜11.9%)
- 非GAAP EPS:コンセンサス比約2倍(一部集計では+90〜100%)の大幅上振れ
- 非GAAP営業利益(会社発表):約28億ドル($2.8B)、非GAAP営業利益率17.2%(前年同期▲3.9%から+21.1ポイント改善)
- 非GAAP純利益(会社発表):22.0億ドル(前年同期は4.4億ドルの損失)
CEOのリップブー・タン氏は決算資料の中で、Q2は7四半期連続でガイダンスを上回る結果になったとコメント。AI需要が牽引する形でCPUフランチャイズ、ASIC、先端パッケージング、ファウンドリ網の全方位で成長機会を捉えられているとの見方を示した。今回の非GAAP営業利益率17.2%への急改善は、粗利益率の改善に加えてR&D・MG&A費用が前年同期比8%減となったことも寄与している。
3|セグメント別動向
| セグメント | 売上高 | 売上YoY | 営業損益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| CCPG(クライアントPC+フィジカルAI) | 約88.8億ドル($8.9B) | +13% | 23.4億ドル | 26.4% |
| DCAI(データセンター・AI) | 約62.6億ドル($6.3B) | +59% | 24.7億ドル | 39.5% |
| Intel Products合計 | 151.4億ドル | +28% | 48.2億ドル | - |
| Intel Foundry | 約57.7億ドル($5.8B) | +31% | △20.9億ドル | △36.2% |
| All Other | 7.0億ドル | △33% | 2.3億ドル | - |
CCPG:部材価格の上昇という逆風下でも市場が底堅く推移し、会社予想を上回る着地。AI PC売上高は四半期比+26%と伸び、クライアント売上構成比の3分の2を占めるまでに拡大した。エッジ展開もCCPG売上高の約1割規模まで育っている。一方、営業利益は四半期比で減少しており、決算資料では顧客需要への工場網最適化に伴う在庫関連費用の計上が要因として挙げられている。18AベースのCore Series 3はコンシューマー・商業向けで400以上の設計を獲得し、フルスケール展開に到達したという。
DCAI:ハイパースケーラー・エンタープライズ双方で需要が加速し、会社予想を大きく上回る着地。前年同期比59%増は過去最高水準のYoY成長率で、特定用途向けシリコン(Purpose Built Silicon)売上高は四半期比約20%増・前年同期比ではほぼ3倍に達した。18Aベースの新製品「Xeon 6+」(開発コード名Clearwater Forest)を投入したほか、SambaNova・FoxconnとのラックスケールAI/分散推論インフラの取り組みも発表された。
Intel Foundry:18Aの歩留まり改善とサイクルタイム短縮を背景に四半期比で6%増収。18Aの生産量は四半期比50%超増加し、目標を約25%上回ったという。営業赤字は20.9億ドルと前年同期(31.7億ドル)から縮小が続いており、営業利益率も▲71.7%(Q2'25)から▲36.2%(Q2'26)へと着実に改善している。外部ファウンドリ売上高は2.93億ドルで、Panther Lakeの主力SKUの製造コストは年初来で約50%低減、年内にさらに20%の削減を見込むとしている。18A-Pがリスク生産に入ったほか、次世代の14AはPDK 0.5が完了、10月にPDK 0.9投入予定で、2027年後半に社内製品向けリスク生産、2028年に量産ランプを正式決定した。
4|GAAP純損失の背景(エスクロー株評価損)
非GAAPベースでは大幅増益となった一方、GAAPベースでは110.3億ドルの純損失(EPS▲2.16ドル)を計上した。営業利益はGAAPベースでも17.96億ドルと黒字であり、純損失の主因は営業外損益にある。
📌 非GAAP EPS $0.42 との差異内訳(1株当たり、diluted)
- エスクロー株式の時価評価損:$2.45(最大の押し下げ要因)
- 買収関連費用:$0.02/株式報酬費用:$0.13/リストラ等費用:$0.03
- 持分投資評価損益:$0.01/非支配持分調整:$(0.01)/税効果:$(0.05)
インテルは米商務省(DOC)とのCHIPS Act関連合意(Warrant and Common Stock Agreement)に基づき、自社株式の一部をエスクロー(第三者预託)として保有しており、成果連動でこれをDOCに順次引き渡す仕組みになっている。この預託株式は四半期ごとに時価評価され、評価損益が「Interest and other, net」(Q2 2026は125.8億ドルの損失)に計上される。株価が年初来で170%超上昇していることが、このエスクロー株式デリバティブ負債の評価損を膨らませた形で、決算資料も「Q2 2026の変動額は当四半期に引き渡された分と、四半期末時点でなお預託されている分の両方の時価変動を反映したもの」と説明している。純利益の大幅な下振れは事業の悪化を意味するものではなく、株価上昇そのものが招いた非現金・非経常的な会計処理である点は整理しておきたい。
5|四半期トレンド(過去5四半期)
| 指標 | Q2'25 | Q3'25 | Q4'25 | Q1'26 | Q2'26 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高(億ドル) | 129 | 137 | 137 | 136 | 161 |
| 非GAAP粗利益率 | 29.7% | 40.0% | 37.9% | 41.0% | 41.8% |
| 非GAAP営業損益(億ドル) | △5 | 15 | 12 | 17 | 28 |
| GAAP営業損益(億ドル) | △32 | 7 | 6 | △31 | 18 |
売上高は過去4四半期にわたり129〜137億ドルのレンジで推移していたが、Q2 2026で161億ドルへと明確にレンジをブレイクした。非GAAP営業利益も5四半期連続で改善基調にあり、粗利益率の改善とR&D・MG&A費用の抑制が両輪となって収益性が上向いている。GAAP営業損益も直近5四半期中3四半期で黒字に転換しており、リストラ費用の一巡も寄与している。
6|キャッシュフロー・財務体質
| 項目 | Q2 2026 |
|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 70.1億ドル |
| 設備投資(グロス) | △26.5億ドル |
| パートナー拠出金(純額) | △122.2億ドル |
| 調整後フリーキャッシュフロー | △84.2億ドル |
営業キャッシュフローは70.1億ドルと堅調だったが、調整後フリーキャッシュフローは84.2億ドルのマイナスとなった。最大の押し下げ要因は「パートナー拠出金(純額)」の122.2億ドルの流出で、これはインテルが半導体工場の建設資金を外部パートナーと分担する共同投資スキーム関連の項目とみられ、単純な設備投資超過とは性質が異なる点に留意したい。
バランスシート面では、現金及び現金同等物と短期投資の合計が2026年6月末時点で297.3億ドルと、2025年12月末(374.2億ドル)から減少した。長期債務は485.5億ドル(前期末441億ドル)へ増加しており、期中に130億ドルの新規タームローン発行と90億ドルの返済があった。総資産は2,024億ドルとほぼ横ばいだが、インテル株主帰属の自己資本は875億ドル(前期末1,143億ドル)へと大きく減少しており、これはQ2の大幅なGAAP純損失(上半期累計では151.3億ドルの純損失)が利益剰余金を押し下げたことが主因である。
7|Q3 2026ガイダンス(コンセンサス比)
| 指標 | 会社ガイダンス | コンセンサス予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | 158〜168億ドル | 約151億ドル |
| 非GAAP EPS | $0.38 | 約$0.27 |
| GAAP EPS | $0.31 | - |
| 非GAAP粗利益率 | 42.0% | - |
Q3 2026のガイダンスは中心値ベースで売上高163億ドル(前年同期比+約16%)、非GAAP EPS $0.38、非GAAP粗利益率42.0%、非GAAP税率11%を見込む。中心値ベースの売上高・EPSともにコンセンサス予想を上回る水準で提示されており、Q2に続き市場予想を超える見通しを打ち出した形。
2026年通期の非GAAP営業費用は約165億ドルに抑える方針を維持する一方、設備投資(CapEx)については需要の強さを受けて上方修正し、2026年通期で200億ドル超(年初想定から大幅増額)とする方針を示した。2027年の設備投資は2026年を大きく上回る水準になる見通しで、大部分は米国内での投資になるという。半導体ウェハー・メモリー・基板の業界的な供給制約は当面続くとの認識も示された。
8|注目イベント・戦略トピックス
- SambaNova・FoxconnとラックスケールAI/分散推論インフラで協業、Xeonベースの実運用対応インフラをデモ
- データセンター向け次世代CPU「Xeon 6+」(Intel 18A採用の初のサーバー製品)を投入
- Core Ultra Series 3/Core Series 3をエッジAI・ロボティクス向けに展開、130社超が採用・検証中。オープンソースのOpenVINO Physical AIを新たに公開
- 次世代ハンドヘルドゲーム機向けにArc G-Seriesプロセッサを発表
- Fortinetとの協業でセキュリティ専用プロセッサ「Fortinet Security Processor 6」の開発を発表、パーパスビルトシリコン事業をネットワーキング・IPUの枠を超えて拡大
- Intel 3/次世代Xeon 6の製造能力拡大へ欧州に50億ユーロを投資すると発表
- Google Cloudとの複数年提携を拡大し、社内AI活用・ワークフロー強化を推進
- Alex Katouzian氏(CCPG統括)、Pushkar Ranade氏(CTO)、Seok-Hee Lee氏(先端パッケージング統括)、Aparna Bawa氏(法務・人事・企業文化統括)を新たに登用
- Design Services(設計受託)事業の売上高が前年同期比で約3倍に拡大
9|株価反応
インテル株は決算発表前の通常取引で100.23ドルと前日比2.33%安で終えていたが、決算発表後の時間外取引では上昇。CNBCは発表直後の上げ幅を約4%と伝えた一方、その後のフォローアップ報道では上げ幅が拡大し、複数の報道では時間外で10%前後の上昇が伝えられている。
なお、インテル株は年初来で170%超の上昇となっており、決算発表前から市場のポジティブな織り込みが進んでいたとの指摘もある。ある市場予測サービスでは決算前時点で「上振れ確率99.95%」まで織り込まれていたとの報道もあり、実際の上振れ幅の大きさに比べると株価反応がQ1決算時(発表後1日で+23.6%)ほど極端ではなかった背景として、フォワードPERの高さ(報道では約94倍)に伴うバリュエーション面の重さが指摘されている。
10|リスク・注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・関連報道から読み取れる留意点
① GAAP純損失110.3億ドルの主因はエスクロー株式の時価評価損(非現金項目)であり、今後も自社株価の変動次第で四半期ごとに大きくブレる可能性がある点は継続的な確認が必要
② PC市場については、メモリー価格の上昇と供給制約の影響で下半期は季節性を下回る推移、2026年通期では前年比で「二桁台前半の減少」を見込むと会社側が言及しており、DCAI・Foundryの好調とは対照的にCCPGの需要環境には逆風が残る
③ ウェハー・メモリー・基板の業界的な供給制約は「当面続く」との認識が示されており、Q3の供給拡大ペースはQ3後半〜Q4に偏る見通しで、特にサーバー向けの供給タイト感が続く
④ Intel Foundryは赤字幅の縮小が続いているものの、Q2時点でなお20.9億ドルの営業赤字であり、黒字化までの距離感・外部顧客獲得のペースは引き続き注視が必要
⑤ 2026年通期CapExを200億ドル超へ上方修正し、2027年はさらに増額する方針であり、旺盛な需要を裏付ける一方で、パートナー拠出金スキームを含む資金調達構造や長期債務の増加ペースにも目を配りたい
⑥ 株価は年初来170%超の上昇と大幅な期待の織り込みが進んでおり、報道ベースでフォワードPER約94倍という水準は、今後も四半期ごとの大幅な上振れが続くことを前提とした株価形成になっている可能性がある
総じて今回の決算は、売上高・非GAAP利益ともにコンセンサスを大幅に上回り、DCAI・Foundryを中心にAI需要を追い風とした構造改善が着実に進んでいることを示す内容だった。GAAP純損失は見出し上のインパクトが大きいものの、要因を分解すればエスクロー株式の評価損という非経常項目が中心であり、事業のファンダメンタルズ自体は7四半期連続のガイダンス超過という形で改善が続いている。次回Q3決算では、Foundryの黒字化に向けたペースと、PC市場の下半期減速がどの程度非GAAP収益性に影響するかが焦点になりそうだ。
出典
- Intel Corporation「Intel Reports Second-Quarter 2026 Financial Results」(Exhibit 99.1、2026年7月23日)
- Intel Corporation「Q2 2026 Earnings Presentation」(2026年7月23日)
- Intel Corporation「CEO/CFO Earnings Call Comments」(2026年7月23日)
- CNBC「Intel (INTC) earnings report Q2 2026」(2026年7月23日)
- Yahoo Finance/Quartz「Intel Q2 2026 earnings: revenue up 25%, fastest growth since 2011」(2026年7月23日)
- 24/7 Wall St.「Live: Can Intel Continue Its Meteoric 327% Run With Q2 Earnings Tonight?」(2026年7月23日)
- TradingKey「Intel (INTC) Q2 2026 Earnings: What the Results Mean for the Stock」(2026年7月23日)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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