【PMI決算】Q2純収益111.9億ドルはコンセンサス上振れも株価反応は真逆の報道が混在——RBH減損でGAAP EPSは減益、非GAAPは+15.2%と絶好調
2026年7月23日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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フィリップモリス・インターナショナル(NYSE: PM)の2026年第2四半期決算は、純収益111.9億ドル(前年同期比+10.4%、有機ベース+7.6%)と四半期として初めて110億ドルを超え、Zacksコンセンサス(約105.6億ドル、情報源により106.0〜106.1億ドル程度)を大きく上回った。調整後希薄化EPSは2.20ドル(前年比+15.2%、為替影響を除くと+13.6%)となり、コンセンサス(2.04〜2.05ドル程度、情報源により1.98〜2.11ドルと幅あり)を上回った一方、GAAP希薄化EPSはカナダの非連結子会社RBH(Rothmans, Benson & Hedges)持分投資に係る非現金減損(5.11億ドル、EPS換算33セント)の影響で前年比-7.7%の1.80ドルとなった。スモークフリー事業(IQOS・ZYN・VEEV)は純収益の約42%を占め、国際スモークフリーが有機+11.8%、国際コンバスティブル(紙巻きたばこ)も有機+6.4%と両輪で好調に推移した。通期ガイダンスは有機ベースの実質見通し(純収益成長5〜7%等)を据え置きつつ、為替想定の見直しにより為替込みの調整後EPS見通しを8.26〜8.41ドルへ下方修正(従来8.36〜8.51ドル)した。株価反応については報道が分かれており、プレマーケットで前日比下落したと伝える報道がある一方、取引時間中に3%超上昇したと伝える報道もある。
📋 目次
1|PMIとはどんな会社か
Philip Morris International Inc.(NYSE: PM)は、コネチカット州スタンフォードに本社を置くグローバルたばこ・ニコチン製品企業。2008年にアルトリア・グループから分離独立した。「スモークフリーな世界の実現」を掲げ、加熱式たばこIQOS、ニコチンパウチZYN、電子たばこVEEV、紙巻きたばこMarlboroなどを展開する。
2026年1月1日付で組織モデルを刷新し、従来の地域別4セグメントから「インターナショナル・スモークフリー」「インターナショナル・コンバスティブル」「米国(ウェルネス事業Aspeyaを含む)」の3つの新セグメントに再編した。スモークフリー製品(SFP)は2026年6月末時点で109市場で展開されており、2025年末時点で推定4,300万人超の成人ユーザーに利用されているとPMIは見積もっている。同社のスモークフリー事業は2026年第2四半期の総純収益の約42%を占める。
2|主要財務ハイライト(コンセンサス対比)
米国時間2026年7月22日、PMIは2026年第2四半期(4〜6月期)決算を発表した。純収益・調整後EPSともに市場予想を上回る一方、GAAP EPSは特別項目の影響で減益となった。
| 指標 | Q2'26実績 | コンセンサス | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 純収益 | 111.92億ドル | 約105.6〜106.1億ドル | +10.4%(有機+7.6%) |
| EPS(希薄化後・GAAP) | 1.80ドル | 約1.98ドル | -7.7% |
| EPS(Adjusted・非GAAP) | 2.20ドル | 約2.04〜2.11ドル | +15.2%(為替除き+13.6%) |
| 粗利益率(Adjusted) | 68.5% | — | +0.7pt |
| 営業利益率(Adjusted) | 42.6% | — | +0.7pt |
| 純利益(PMI帰属) | 28.2億ドル | — | -7.3% |
📌 コンセンサス出典の内訳
- Zacksコンセンサス:純収益105.6億ドル/調整後EPS2.04ドル|出典:Zacks(Yahoo Finance掲載)
- LSEG/TipRanks集計:調整後EPS約2.05ドル|出典:TS2.tech、CNN Markets
- その他情報ベンダー集計:純収益約106.0〜106.1億ドル/GAAP EPS約1.98ドル|出典:FinancialContent、TheMarketsDaily、GuruFocus
純収益・調整後EPSはいずれも各社集計のコンセンサスを上回り、特に純収益は5〜6%程度の大幅な上振れとなった。一方、GAAP希薄化EPSは後述するRBH減損の影響でコンセンサス(約1.98ドル)を下回る結果となった。
※コンセンサス数値は報道機関・情報ベンダーによって集計対象アナリスト数や集計時点が異なるため幅がある点に留意。
3|スモークフリー事業の内訳(IQOS/ZYN/VEEV)
| セグメント | 純収益(Q2'26) | 前年同期比 | 粗利益率 |
|---|---|---|---|
| 国際スモークフリー | 38.77億ドル | +14.2%(有機+11.8%) | 70.1%(+1.8pt) |
IQOS:HTU調整後IMS(実勢販売数量)はQ2で前年比+5.1%、日本とポーランドの一時的な逆風を除くと+10.2%に達した。H1累計では+8.0%。出荷数量はQ2で+7.6%、80市場で展開しHnB(加熱式たばこ)カテゴリーの世界シェアは約76%を維持。Kantar BrandZの2026年版「最も価値あるグローバルブランド」トップ100に初めてランクインした。
ZYN:国際出荷数量はH1で+6%(ノルディクス地域除くと+32%)、国際モダンオーラルシェアはノルディクス除くベースでQ2に17%超に到達。米国出荷は前年比+2%の2.9億ポーチとなり、四半期末リテール価値シェアは約57%。6月にZYN ULTRA(9mg・11mgモイスト品)と新フレーバーを投入し、第3四半期には1.5mg・8mgのドライ品も追加予定。
VEEV:出荷数量はQ2で+55.1%、H1で+72.0%。欧州のクローズドポッド市場でシェア21.3%となり首位を維持。新モデル「VEEV ONE+」の展開を進めている。
4|インターナショナル・コンバスティブル事業
紙巻きたばこ数量はトルコ・インドネシア・エジプトなどでの伸びが他市場の減少を上回り、前年比+1.1%と会社側の想定を上回るペースで推移した。純収益は64.59億ドル(+9.8%、有機+6.4%)で、価格改定効果+9.2%(H1)が牽引した一方、地域構成の悪化が一部相殺した。粗利益は有機ベースでQ2に+8.0%増加。カテゴリーシェアは25.3%を維持し、Marlboroの国際シェアは過去最高の11.0%となった。
経営陣は今回のコンバスティブル事業の強さについて、通期を通じて同水準の実績が続くとは想定していないとしつつも、事業モデルの底堅さを裏付けるものだと位置づけている。
5|米国セグメント
米国セグメントの純収益は8.56億ドルで前年同期比-0.7%(有機-0.9%)となったが、伸び悩んだ第1四半期(6.22億ドル)比では+38%と大幅な改善を見せた。調整後粗利益も同様にQ1比+46%の5.60億ドルに拡大。年間ベースでの減収は葉巻事業の落ち込みとウェルネス事業の計上タイミングの影響による。
ZYNのオフテイク数量は前年並みからやや増加にとどまり、競争環境の不均衡が続いていることを反映しているという。ZYN出荷は前年の在庫積み増しの反動があったにもかかわらず+2%の2.9億ポーチとなった。粗利益はコロラド州の新生産能力立ち上げに伴う製造コスト増の影響で前年比-8.9%(Adjusted)となった。
6月30日、FDAはZYNフラッグシップレンジの20バリエーションに対しMRTP(低リスクたばこ製品)認証を付与した。ニコチンパウチ製品として初かつ唯一の認証となる。
6|RBH減損など特別項目
2026年5月、カナダの非連結子会社RBH(Rothmans, Benson & Hedges、2019年に非連結化)は、裁判所承認済みの和解・整理計画(Plan)に基づく義務の一環として、業界動向を反映した更新後の5年間事業計画をプラン管理者に提出した。これを受けPMIは、RBH持分投資の推定公正価値が簿価を下回ると判断し、第2四半期に5.11億ドルの非現金減損(EPS換算33セント)を計上した。RBHは引き続き非連結のままで、6月末時点の残存簿価は5,100万ドル。
このほかGAAP・非GAAPの調整項目として、無形資産償却(0.13ドル)、株式証券投資の公正価値調整(-0.06ドル)、エジプト売上税精算調整(-0.01ドル)などがあり、GAAP希薄化EPS1.80ドルに対し調整後EPSは2.20ドルとなる。
7|キャッシュフロー・財務状況
| 項目 | Q2'26 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー(四半期) | 54.92億ドル | 34.12億ドル(+61.0%) |
| 営業キャッシュフロー(上半期) | 50.93億ドル | 30.62億ドル(+66.3%) |
| 現金及び現金同等物(期末) | 59.99億ドル | 25年末:48.72億ドル |
| 純負債/純負債・調整後EBITDA比率 | 431.14億ドル/2.35倍 | 25年末:439.63億ドル/2.53倍 |
6月25日を基準日とする四半期配当1.47ドルが7月20日に支払われた。年率換算では1株当たり5.88ドル、配当利回りは約3.1%、配当性向は約82.7%となっている。通期では純負債・調整後EBITDA比率を年末までに2.0倍近辺まで引き下げる目標を維持しており、2026年中の自社株買いは予定していない。
8|通期ガイダンス(今回修正)
📋 2026年通期見通しの要旨
- 有機純収益成長率:5〜7%(据え置き)
- 有機営業利益成長率:7〜9%(据え置き)
- 調整後EPS成長率(為替除き):7.5〜9.5%(据え置き)
- 調整後EPS(為替込み・実額):8.26〜8.41ドルに下方修正(従来8.36〜8.51ドル)、成長率9.5〜11.5%
- 為替影響:追い風+0.15ドルに縮小(従来想定+0.20ドル)
- 紙巻きたばこ数量:通期-2〜3%の減少見通しに上方修正(従来約-3%)
- 総出荷数量:通期でほぼ横ばい〜微増を想定、6年連続の数量成長を目指す
- 営業キャッシュフロー:約135億ドル(据え置き)
- 実効税率(通期):約21.5%を想定、自社株買いは予定なし
- Q3調整後EPS:2.20〜2.25ドル(為替逆風8セント込み)
実質的な事業見通し(有機ベースの成長率レンジ)自体は据え置かれた一方、為替込みの調整後EPS見通しレンジが下方修正された点が今回の特徴。経営陣は、Q2の好調の一部(為替の一過性の取引益や、Q2に予定していた一部商業投資がQ3にずれ込んだこと)を踏まえ、下半期にはZYNブランドへの投資加速などSG&A費用の増加を見込んでいると説明している。
9|主要トピック・戦略イベント
📋 直近の主な取り組み
- CFO交代:Emmanuel Babeau氏(Group CFO)が退任し、現欧州地域社長のMassimo Andolina氏が8月に後任として就任予定。今回が同氏にとって最後の決算会見となった
- マルタでIQOSを新規展開し、これによりPMIはスモークフリー製品を展開する欧州の全市場をカバー
- 日本ではQ1のパントリーローディング反動と4月の物品税引き上げに伴う消費者調整が想定通り進行、IQOS調整後カテゴリーシェアは60%台後半を維持。10月にも追加の物品税変更を控え、同様のボラティリティを想定
- ZYN ULTRA(低価格帯モイスト品)を6月に投入し、下半期には主要新製品として販売網とマーケティング投資を強化する新ブランドキャンペーン「When it Clicks」を展開予定
- 中東紛争の影響は現時点で軽微とし、主に輸送・エネルギー等の投入コストへの影響にとどまるとの見方を示した
- 2024〜2026年の3年間で目標とする20億ドルのコスト削減について、H1累計で18億ドル超に到達し目標達成に向け順調に進捗
10|株価反応
7月22日の決算発表を受けた株価反応については、報道によって評価が大きく分かれている。一部報道では、プレマーケットで前日終値188.04ドルから約1.8%安の184.74ドル近辺で推移したと伝えられており、Q3ガイダンスの中間値(2.20〜2.25ドル)がアナリスト予想(2.42〜2.43ドル程度)を下回ったことが嫌気されたとの見方が示されている。
一方、別の報道では取引時間中に株価が前日比+3.3%程度上昇し194ドル台に達したと伝えられており、EPSの上振れや通期ガイダンスの一部要素(有機ベースの成長見通し据え置き)が好感されたとの見方も示されている。この株価反応の食い違いは、為替込みの調整後EPS実額見通しが下方修正された一方で、有機ベースの実質見通しは据え置かれるという、今回のガイダンスの複雑な構成を反映している可能性がある。
アナリストの動きとしては、UBSが目標株価を引き上げた一方、BTIGが新規に「買い」でカバレッジを開始し、Bernsteinは「ホールド」を維持するなど、強気・中立の評価が混在している状況がうかがえる。
11|注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・報道から読み取れる留意点
① 通期の調整後EPS見通し(為替込み・実額)は下方修正されたが、有機ベースの実質見通し(純収益成長5〜7%等)は据え置かれており、為替想定の見直しによる部分が大きい点に留意が必要
② Q3ガイダンスの中間値がアナリストコンセンサスを下回っており、市場の期待値とのギャップが今後どう修正されるかが焦点
③ 日本のIQOSは10月に追加の物品税変更を控えており、Q1・Q2と同様のパントリーローディング/反動パターンが下半期にも再発するリスクがある
④ 米国ZYNは高強度品・フレーバー面での競合ギャップにより相対的にシェア伸長が鈍化しており、ZYN ULTRA等の新製品群がどの程度定着するかが下半期の重要な焦点
⑤ RBH減損は非現金・非事業影響の項目だが、カナダ事業を巡る先行き不透明感を示すシグナルとして注視が必要
⑥ 紙巻きたばこ数量が想定より底堅く推移している背景(一過性のタイミング要因か、より構造的な市場動向か)の見極めが今後の焦点となる
総じて今回の決算は、純収益・調整後EPSともに市場予想を上回る堅調な内容であり、スモークフリー事業(IQOS・ZYN・VEEV)とコンバスティブル事業がともに有機ベースで力強く成長したことが確認された。一方でRBH減損によるGAAP減益や、為替込みの調整後EPS実額見通しの下方修正、Q3ガイダンスがコンセンサスを下回ったことなど、市場の受け止めを複雑にする要素も混在しており、決算発表当日の株価反応についても報道間で評価が割れる結果となった。下半期は米国ZYNの投資加速や日本の物品税変更を控えた需要動向が引き続き注目される。
出典
- Philip Morris International「2026 Second-Quarter & First Six-Months Results Press Release」(2026年7月22日)
- Philip Morris International「2026 Second-Quarter Results Presentation」(2026年7月22日)
- Philip Morris International「2026 Second-Quarter Conference Call Transcript」(2026年7月22日)
- Philip Morris International「Glossary of Key Terms and Reconciliations of Non-GAAP Financial Measures」(2026年7月22日)
- Zacks Investment Research「Philip Morris (PM) Tops Q2 Earnings and Revenue Estimates」(2026年7月22日、Yahoo Finance掲載)
- Zacks Investment Research「Compared to Estimates, Philip Morris (PM) Q2 Earnings」(2026年7月22日、Yahoo Finance掲載)
- TS2.tech「Philip Morris (NYSE:PM) shares fall after Q2 results suggest challenging outlook for Q3」(2026年7月22日)
- TradingKey「Philip Morris International Inc Stock (PM) Moved Up by 3.31% on Jul 22」(2026年7月22日)
- Benzinga「Why Is Philip Morris Stock Gaining Wednesday?」(2026年7月22日)
- GuruFocus「Has Philip Morris International Inc (PM) Overvalued Its Stock Despite Q2 Earnings Beat?」(2026年7月22日)
- TheMarketsDaily「Philip Morris International (NYSE:PM) Issues Q3 2026 Earnings Guidance」(2026年7月22日)
- Quiver Quantitative「PHILIP MORRIS INTERNATIONAL ($PM) Releases Q2 2026 Earnings」(2026年7月22日)
- CNN Markets「PM Stock Quote Price and Forecast」(2026年7月22日)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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