【2026年9月 米雇用統計 結果】NFP+2.9万人で予想を大幅下振れ、失業率4.2%に上昇——7・8月合計▲6.0万人の下方修正で「下方修正バイアス」が再燃
2026年10月2日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
⏱ 30秒で読む結論
9月の米雇用統計はNFPが+29,000人と、市場予想(+95,000人)を大きく下回った。失業率は4.2%(予想4.1%)、平均時給は前月比+0.1%(予想+0.3%)で、主要3項目がすべて予想より弱い結果。7・8月分も合計▲6.0万人の下方修正となり、前回記事で「反転」と書いた下方修正バイアスが再び表れた。
① NFP+2.9万人、前回8月分は+16.2万→+13.3万人に下方修正
② 失業率4.2%に上昇、平均時給は前年比+3.0%に鈍化
③ 利上げ後初の雇用統計で、10月FOMCの追加利上げ観測には逆風
1|発表結果 一覧表
| 指標 | 予想 | 前回(8月・改定後) | 結果(9月) | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| NFP(非農業部門雇用者数) | +95,000人 | +133,000人 | +29,000人 | ❌大幅下振れ |
| 失業率 | 4.1% | 4.1% | 4.2% | ❌悪化 |
| 平均時給(前月比) | +0.3% | +0.3% | +0.1% | ❌下振れ |
| 平均時給(前年比) | +3.2% | +3.1% | +3.0% | ❌下振れ |
| 労働参加率 | — | 61.6% | 61.8% | +0.2pt上昇 |
| 平均週労働時間 | — | 34.4時間 | 34.4時間 | →横ばい |
| 経済的理由のパートタイム | — | 439.0万人 | 450.1万人 | +11.1万人 |
※コンセンサス予想は配信元により幅がある(みんかぶ・FactSet系:+95,000人/Dow Jones系:+84,000人/OANDA証券:+100,000人)。いずれの数値と比べても大幅な下振れとなった。
※BLSによると、NFPの前月比が統計的に有意といえる目安は約±12.2万人。今回の+2.9万人はその範囲内で、BLS本文も「changed little(ほぼ横ばい)」と表現している。
※本記事は2026年10月2日21:30 JST時点のBLS速報値に基づく。今後の改定で数値が修正される可能性がある。
2|改定値——7・8月合計▲6.0万人の下方修正
▲31,000人の下方修正
▲29,000人の下方修正
7月分は先月の発表で▲2.3万人から+2.1万人へプラス転換していたが、今回再び▲1.0万人のマイナスに戻った。前回記事では「下方修正バイアスが反転」と書いたが、その反転は1カ月で終わった形だ。3カ月平均は+5.1万人。前回記事時点の8月(改定前ベース)は+7.1万人だったが、今回の改定後で見ると8月時点も+5.1万人で、9月はそこから横ばい。過去12カ月の月平均は+4.5万人となっている。
3|セクター別雇用増減(9月)
| セクター | 増減 | 補足 |
|---|---|---|
| 民間教育・ヘルスケア | +20,000 | ヘルスケア+16,700(過去12カ月平均+3.3万の約半分) |
| └ ヘルスケア内訳 | — | 外来医療+13,400、病院+12,000、介護施設▲8,700 |
| 建設 | +11,000 | 非住宅専門工事+12,300 |
| レジャー・ホスピタリティ | +10,000 | 飲食サービス+10,800(8月の急伸から急減速) |
| 製造業 | +9,000 | 2025年12月の底から累計+7.2万人 |
| 運輸・倉庫 | +7,600 | — |
| 小売 | +5,800 | — |
| 卸売 | +5,000 | — |
| 金融活動 | ▲7,000 | 2025年5月のピークから累計▲12.9万人(うち保険▲9.0万人) |
| 専門・ビジネスサービス | ▲9,000 | うち派遣(一時雇用)▲10,900 |
| 情報 | ▲10,000 | 出版▲4,000、放送▲3,000 |
| 政府(合計) | ▲17,000 | 地方政府▲13,000(教育以外▲10,600)、州▲3,000、連邦▲1,000 |
4|家計調査データ
| 指標 | 8月 | 9月 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 失業率(U-3) | 4.1% | 4.2% | +0.1pt |
| 失業者数 | 703.1万人 | 710.9万人 | +7.8万人 |
| 労働参加率 | 61.6% | 61.8% | +0.2pt |
| 雇用率(就業人口比率) | 59.1% | 59.2% | +0.1pt |
| 経済的理由のパートタイム | 439.0万人 | 450.1万人 | +11.1万人 |
| 長期失業者(27週以上) | 193.0万人 | 194.4万人 | +1.4万人 |
| 非労働力人口 | 10,563.8万人 | 10,529.2万人 | ▲34.6万人 |
| U-6(広義の失業率) | 7.7% | 7.6% | ▲0.1pt |
5|賃金・労働時間
| 指標 | 8月 | 9月 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 平均時給(前月比) | +0.3% | +0.1% +5セント、37.81ドル |
減速 |
| 平均時給(前年比) | +3.1% | +3.0% | 鈍化 |
| 平均週労働時間 | 34.4時間 | 34.4時間 | 横ばい |
| 製造業残業時間 | 3.0時間 | 3.0時間 | 横ばい |
| 総賃金指数(前月比) | +0.7% | +0.2% | 減速 |
賃金は前月比・前年比とも予想を下回った。前回記事で「賃金インフレ圧力は完全には後退していない」と書いた流れからは、ひとまず落ち着く方向の数字といえる。雇用者数×労働時間×時給で求める総賃金指数も前月比+0.2%に減速した。
6|8月分の「上振れ」はどこへ消えたか——前回記事の検証
8月分の+16.2万人は、今回の改定で+13.3万人になった。業種別に改定前後を比べると、削られたのは民間部門だ。
| セクター(8月分) | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| レジャー・ホスピタリティ | +62,000 | +37,000 |
| └ うち飲食サービス | +59,000 | +33,800 |
| 専門・ビジネスサービス | +10,000 | ▲5,000 |
| 政府 | +35,000 | +44,000 |
| 民間教育・ヘルスケア | +29,000 | +38,000 |
⚠️ 前回記事の見立てをどう修正するか
前回記事では、予想が外れた理由のひとつに「飲食サービスの急伸を先行指標が捉えにくかった」ことを挙げた。しかしその飲食サービスは改定で約4割削られ、9月は+1.1万人まで減速している。8月の上振れの一部は統計上の振れだった可能性が高く、弱めだった当時の先行指標(ADP・ISM非製造業雇用指数)の方が実態に近かったともいえる。
今回は逆のパターンになった。9月のADPは+9.0万人(予想+7.4万人)、ISM製造業の雇用指数は52.7に上昇、新規失業保険申請は19.7万件と低水準で、先行指標は底堅さを示していた。それでもNFPは+2.9万人にとどまった。ADPは民間のみを集計するため、政府部門の▲1.7万人は事前に拾えない。ただ、民間だけで見てもNFPは+4.6万人で、ADPの半分程度にとどまっている。
7|Fedへの影響とドル円
FRBは9月16日のFOMCで25bpの利上げを全会一致で決定し、政策金利を3.75〜4.00%に引き上げた。2023年以来の利上げで、ドットプロットの中央値は年内にもう1回の利上げを示している。今回は利上げ後最初の雇用統計で、雇用者数・失業率・賃金がそろって弱かったため、10月FOMCでの追加利上げ観測には逆風となる内容だ。ただし、ウォーシュ議長は単月のデータではなく「トレンドを見る」と強調しており、10月14日発表の9月CPI次第で織り込みは再び動く可能性がある。
📊 CME FedWatch|10月27〜28日FOMCの織り込み
| 時点(日本時間) | 据え置き (3.75〜4.00%) |
25bp利上げ (4.00〜4.25%) |
|---|---|---|
| 1週間前(9月25日) | 35.8% | 64.2% |
| 前日(10月1日) | 75.6% | 24.4% |
| 発表時点(10月2日 21:30) | 71.8% | 28.2% |
| 発表の約10分後(10月2日 21:40) | 85.1% | 14.9% |
発表時点(日本時間21:30:55)では利上げ確率が28.2%と前日(24.4%)をやや上回っていたが、その約10分後(21:40:49)には14.9%へ低下し、据え置きが85.1%に高まった。雇用者数・失業率・賃金がそろって弱かったことで、10月の追加利上げ観測が後退した形だ。
出所:CME FedWatchツール。発表時点は2026年10月2日07:30:55 CT(日本時間21:30:55)、約10分後は同07:40:49 CT(日本時間21:40:49)の画面。織り込みは時間とともに変動する。
📅 今後のスケジュール
- 9月CPI:2026年10月14日(水)21:30(日本時間)
- 次回FOMC:2026年10月27日(火)〜28日(水)、日本時間10月29日(木)3:00に政策金利発表
- 次回雇用統計(10月分):2026年11月6日(金)22:30(日本時間)※米国の冬時間移行により、いつもより1時間遅い発表
📚 主な出典
- U.S. Bureau of Labor Statistics「The Employment Situation — September 2026」USDL-26-1549(2026年10月2日発表)。本記事はSummary Table A・B、Table A-1(失業率・参加率)、A-8(パートタイム)、A-12(失業期間)、A-15(U-6)、B-1(産業別雇用者数)、B-2(労働時間)、B-3(賃金)を参照
- ぱぶちゃんのファンダメンタルlab「【2026年8月 米雇用統計 結果】NFP+16.2万人で市場予想を大幅上振れ——6・7月合計+5.5万人の上方修正で「下方修正バイアス」が反転」(2026年9月4日)
- OANDA証券「【米雇用統計】9月分の注目点:利上げ後初の雇用統計、10月の追加利上げ観測を左右するか」(2026年10月2日)※先行指標の数値
- CNBC「Private sector jobs rose by 90,000 in September, better than expected, ADP reports」(2026年9月30日)
- J.P. Morgan「Federal Reserve raises rates, officials signal one more hike in 2026」
- Morningstar「September Jobs Report Seen Showing Hiring Plateau After August Surge」(FactSet予想)
- みんかぶFX 経済指標カレンダー
織り込み確率はCMEのFedWatchツール(2026年10月2日07:30:55 CT/07:40:49 CTの画面。日本時間21:30/21:40)による。
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
X(旧Twitter):@pablo29god
© 2026 ぱぶちゃんのファンダメンタルlab

