【マイクロン・テクノロジー決算】売上+346%・粗利85%で過去最高更新——Q4$500億ガイダンスが示すAIメモリ構造転換

2026年6月25日木曜日

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【MU決算】売上+346%・粗利85%で過去最高更新——Q4$500億ガイダンスが示すAIメモリ構造転換

2026年6月25日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab

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マイクロン(MU)のFQ3 2026(3〜5月期)は、売上高・粗利率・EPSの三指標すべてが過去最高を更新し、コンセンサス予想を20%超上回るブローアウト決算となった。AIインフラ投資の拡大によるメモリ需要急増と構造的な供給不足が、同社の収益構造を別次元へと引き上げた。さらに16件の戦略的顧客契約(SCA)締結という事業モデルの転換を伴う発表が重なり、MU株は時間外取引で約+15%急騰した。


① 売上高$414.6億(前年同期比+346%)、Non-GAAP EPS $25.11——ともにコンセンサスを約20%上回る
② 粗利率84.6%(GAAP)は47年の社史上最高。前年同期37.7%から47ポイント改善
③ FQ4ガイダンス:売上高$500億±$10億、粗利率〜86%——アナリスト予想$429億を大幅に上回る

1|主要財務ハイライト

米国東部夏時間2026年6月24日(日本時間6月25日朝方)、マイクロン・テクノロジー(Nasdaq: MU)は2026会計年度第3四半期(FQ3-26、3〜5月期・5月28日締め)の決算を発表した。あらゆる主要指標が会社ガイダンス上限を超え、ウォール街のコンセンサスをも大幅に上回る、半導体メモリ産業の歴史において例を見ない水準の結果だった。

指標 FQ3-26(実績) コンセンサス予想 対予想乖離 FQ3-25(前年同期)
売上高 $414.6億 $352.5億 +17.6% $93.0億(+346%)
Non-GAAP EPS $25.11 $20.60 +21.9% $1.91(+1,215%)
GAAP 粗利率 84.6% 〜81% +3.6pt 37.7%
GAAP 営業利益率 80.4% 23.3%
GAAP 純利益 $282.4億 $18.9億
営業キャッシュフロー $253.9億 $46.1億
調整後フリーCF $183.0億 $19.5億
設備投資(ネット) $70.8億 $26.6億
現金・投資残高 $302億

※ Non-GAAPベースを基本とし、注記のある指標はGAAP。単位は百万ドル未満を四捨五入。

CEOのサンジャイ・メロートラ氏は声明で「FQ3の記録的な業績と、さらに力強いFQ4の見通しは、AIの時代においてメモリが持つ戦略的な価値を反映している」と述べた。四半期配当は$0.15/株(7月21日支払)を宣言。また同社は、FQ3中に長期債務を$44億削減し、3大格付機関すべてからBBB+への格上げを受けた。

2|事業部門別業績

プレスリリースでは従来のDRAM/NAND製品別から、用途別の4事業部門(BU)に組み替えた形で業績が開示されている。全4部門が前年同期比で大幅増収・粗利率改善を達成した。

事業部門 FQ3-26売上 FQ2-26売上 FQ3-25売上 粗利率 営業利益率
クラウドメモリ BU $137.7億 $77.5億 $33.9億 83% 78%
コアデータセンター BU $115.2億 $56.9億 $15.3億 87% 83%
モバイル&クライアント BU $115.2億 $77.1億 $32.6億 87% 86%
車載&組込み BU $46.3億 $27.1億 $11.3億 79% 75%

データセンター2部門(クラウドメモリ+コアデータセンター)の合計売上は$252.9億と、全体の61%を占める。前年同期のデータセンター系売上は$48.4億であり、わずか1年で5倍超に拡大した計算になる。特にコアデータセンターBUは粗利率87%・営業利益率83%と、同社内でも最も収益性が高い部門となっている。モバイル&クライアントBUも前年比3.5倍超の売上を達成し、AIスマートフォン・AIパソコン向け搭載量増加が寄与した。

3|コンセンサス比・過去4四半期推移

マイクロンは直近7四半期連続でEPSコンセンサスを上回っており、過去4四半期の平均サプライズ率は約21.7%に達する。今回のFQ3もその例外ではなく、むしろサプライズ幅は拡大している。

四半期 売上高 前年同期比 Non-GAAP EPS GAAP 粗利率
FQ3-26(今回) $414.6億 +346% $25.11 84.6%
FQ2-26 $238.6億 +196% $12.20 74.4%
FQ1-26 $83.0億 +84%
FQ3-25(前年同期) $93.0億 $1.91 37.7%

※ FQ1-26の詳細数値は一部省略。9ヶ月累計売上は$789.6億(前年同期$260.6億)。

特筆すべきは費用構造の変化だ。売上原価はFQ3-26で$64.0億と、前年同期($57.9億)からわずか10%増にとどまっている。一方で売上高は346%増加しており、固定費吸収効果と価格上昇が同社の利益率を劇的に押し上げた構造がはっきりと見える。

製品別では、DRAM売上が$313億(全体の76%)で主役を担い、前四半期比で販売数量は低一桁%増ながら平均販売単価(ASP)が低60%台上昇したことが収益を牽引した。NAND売上は$99億(全体の24%)。DRAMの圧倒的な利益率の高さがセグメント全体の粗利85%という数字を支えている。

4|戦略的顧客契約(SCA)——事業モデル転換の核心

今回の決算で最も市場インパクトが大きかったのは、純粋な数字よりも「戦略的顧客契約(Strategic Customer Agreements=SCA)」の発表だ。これはメモリ産業の歴史的な弱点——景気サイクルに連動した価格の乱高下——を構造的に排除しようとする試みである。

📋 SCAの主要条件(プレスリリース・決算説明会より)

締結件数 16件(うち14件が最低保証売上条項付き)
契約期間 原則5年(車載向けは3年)
契約構造 テイク・オア・ペイ(購入しなくても支払義務が発生)
価格設定 フロア価格(下限)+シーリング価格(上限)を設定
最低保証売上(累計) 14件合計で約$1,000億
現金デポジット等 $220億(うち現金デポジット約$180億)を受領見込み
残存履行義務(RPO) FQ3末時点で$50億超

フロア価格については「過去のどのサイクルのピークマージンをも上回る水準」とCFOが明言している。これは従来型のメモリサイクル——好況期に増産→供給過剰→価格暴落——のパターンが、少なくともこの契約の期間中は機能しないことを意味する。

現金デポジット$180億はFQ4以降に同社のバランスシートに計上される見込みで、これが「他の負債と混同しないよう注意が必要」とCFOは説明した。フリーキャッシュフローには影響しない。

5|技術動向:HBM4と次世代ノード

決算と同時に公開されたプロダクトハイライトは、同社の技術ロードマップが想定以上のペースで進んでいることを示した。

製品・技術 状況
HBM4(1-beta DRAMベース) 主要顧客向けに大量出荷中。複数の最終顧客への資格認定サンプル出荷済み。HBM4売上はすでに$10億超を計上。量産立ち上げ速度はHBM3Eの2倍
HBM4E(1-gamma DRAMベース) 開発中。2027年中に量産開始予定
256GB DDR5 RDIMM(1-gamma+3D積層) 主要サーバーエコシステムパートナーへの資格認定サンプル出荷済み
LP5X SOCAMM2 大量生産中。複数の容量ラインナップに拡張
G9ベース PCIe Gen6 高性能SSD 大量生産フェーズに移行
245TB QLC SSD 出荷開始
1-gamma 16Gb LPDDR5X 大手スマートフォンOEM向けに大量生産ランプ中
1-gamma LPDDR5(車載向け) 車載製品準備完了。ロボタクシー顧客向けに1-gamma DDR5サンプルを初出荷

HBM(高帯域幅メモリ)の市場シェアはSKハイニックスが首位(約43%)、サムスン(約33%)に次いでマイクロンが約24%とされるが、HBM4の量産立ち上げ速度で前世代比2倍というペースが競合を上回る場合、シェア拡大の余地がある。2026年分のHBM生産枠はすでに完売、2027年初頭分も埋まりつつある。

6|FQ4ガイダンスと今後の焦点

指標 FQ4-26 ガイダンス(GAAP) FQ4-26 ガイダンス(Non-GAAP) アナリスト予想
売上高 $500億 ±$10億 $500億 ±$10億 $429億
粗利率 〜86% 〜86%
営業費用 〜$18.6億 〜$16.5億
希薄化後EPS $30.73 ±$1.00 $31.00 ±$1.00 〜$20台後半

※ 希薄化後株式数:約11.5億株前提。

FQ4ガイダンスはアナリスト予想の$429億に対して$500億と、約+17%の大幅上振れを示した。粗利率の〜86%は今四半期の84.6%からさらに改善する見通しであり、AIメモリ需要の勢いが少なくとも2026年8月期まで続くと経営陣が確信していることを示している。

FQ4は同社の53週会計年度における最終四半期で、1週余分に存在するため営業費用がやや増加する。また設備投資(CapEx)はFQ4が約$100億となる見通し(FQ3の$78億から増加)で、FY2027はさらに「四半期ごとに増加」するとしている。 FY2026通期のCapExは$270億超が見込まれており、ニューヨーク州の大型ファブ建設(Bechtelと協業)も進行中だ。CapEx急増は今後の減価償却費増加を通じて粗利率を押し下げる圧力となる。一方で、SCAの現金デポジット$180億が手元に入ることで財務的な余裕は大きく、グリーンフィールド投資による生産能力拡大が2027年以降のシェア争いで優位をもたらす可能性もある。CapExは「リスク」と「競争力強化の種」の両面を持つ点を頭に置いておきたい。

⚠️ 注視すべきリスク

① CapEx急増による減価償却コスト増(FY2027以降の粗利率への影響)
② 需給タイト化の前提が崩れた場合のSCA条件(フロア価格)の実効性
③ サムスン・SKハイニックスによる同期的な増産が価格圧力を生む可能性
④ 地政学リスク・貿易規制が中国向けメモリ販売に与える影響

同社は2026年12月以降、余剰キャッシュの100%を株主還元する方針も表明した。メモリ企業としては異例の財務的安定性を背景に、「景気敏感株」から「AIインフラの必須基盤企業」へとバリュエーションの再評価を求める段階に入っている。

出典

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god

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