【ハリバートン決算】Q2売上57.1億ドル・EPS0.64ドルでコンセンサス上振れも株価5.5%安——中東情勢とQ3慎重ガイダンスが重石に
2026年7月22日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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Halliburton(HAL)の2026年第2四半期決算は、売上高57.14億ドル(前年同期比+3.7%、市場予想約55.0億ドルを上振れ)・GAAP純利益5.34億ドル(同+13.1%)・GAAP EPS0.64ドル。特別項目(Impairments and other credits)95百万ドルの税前クレジットを除いた調整後ベースでは、調整後純利益4.61億ドル・調整後EPS0.55ドル(市場予想0.54ドルを小幅に上回る)。ただし調整後EPSは前年同期(Q2'25)・前四半期(Q1'26)に続き今回も0.55ドルとなり、この3四半期はいずれも同水準にとどまっている。増収基調の一方で、調整後ベースの収益性拡大は限定的だ。営業利益は7.78億ドル(営業利益率14%)、調整後営業利益6.83億ドル(調整後営業利益率12%)。営業活動によるキャッシュフローは8.24億ドル、フリーキャッシュフローは6.68億ドル、四半期で約2億ドルの自社株買いを実施した。増収増益・コンセンサス上振れという好内容にもかかわらず、中東の地政学リスクとQ3の慎重なガイダンスが嫌気され、7月21日のHAL株は前日比5.47%安の33.19ドルで引けた(前日終値35.11ドル)。
📋 目次
1|ハリバートンとはどんな会社か
Halliburton Company(NYSE: HAL)は、1919年創業、米テキサス州ヒューストンに本社を置く世界最大級のオイルフィールドサービス(油田サービス)企業。事業は「Completion and Production(仕上げ・生産)」と「Drilling and Evaluation(掘削・評価)」の2セグメントで構成され、地域別には北米・中南米・欧州/アフリカ/CIS・中東/アジアの4リージョンで事業を展開する。会長兼社長兼CEOはジェフ・ミラー氏。
デジタル・AI領域の子会社Landmarkを核に、坑井(こうせい=油井・ガス井)建設からリザーバー評価、刺激(フラクチャリング)・完成、坑井介入まで一貫したサービスを提供。近年はサウジアラビアのAramco、イラクのBasra Oil Companyなど国営石油会社との大型長期契約や、南米・北海・西アフリカでの深海開発案件の受注を積み上げつつ、SAP S4移行などデジタル基盤への投資を継続している。
2|主要財務ハイライト(コンセンサス対比)
米国時間2026年7月21日朝、ハリバートンは寄り付き前に2026年第2四半期(4〜6月期)決算を発表した。売上高・調整後EPSともにアナリストコンセンサスを上回ったが、調整後EPSの上振れ幅は約1.9%とわずかで、「イン・ライン(想定線上)」に近い内容だった。
| 指標 | Q2'26実績(GAAP) | Q2'26実績(Adjusted) | コンセンサス | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 57.14億ドル($5,714M) | — | 約55.0億ドル | +3.7% |
| EPS(希薄化後) | 0.64ドル | 0.55ドル | 約0.54ドル | GAAP+16.4%/Adj横ばい |
| 営業利益 | 7.78億ドル(利益率13.6%、公式発表は14%) | 6.83億ドル(利益率12%) | — | +7.0%(GAAP) |
| フリーキャッシュフロー | 6.68億ドル | — | — | — |
| 純利益(会社帰属) | 5.34億ドル | 4.61億ドル | — | GAAP+13.1% |
売上高はQ1(54.02億ドル)比+5.8%の伸びとなり、C&P(仕上げ・生産)・D&E(掘削・評価)の両セグメントが増収した。営業利益率は13.6%(公式発表の丸め値では14%、前年同期13.2%)と、GM決算とは対照的にGAAPベースで改善を見せているが、これは前年同期にはなかった95百万ドルの特別クレジットを含む数値である点に注意が必要だ。
調整後EPS(0.55ドル)はQ1(0.55ドル)・前年同期(0.55ドル)と3四半期にわたり同水準にとどまっており、増収基調にもかかわらず調整後の収益性そのものは伸び悩んでいる格好だ。GAAP EPSの伸びは主に特別クレジット95百万ドルによるもので、実質的な収益力の拡大とは切り分けて見る必要がある。
3|セグメント別・地域別の内訳
セグメント別では、C&P(仕上げ・生産)が西半球での刺激(フラクチャリング)活動増加とアジアでの坑井介入サービス改善を背景に増収増益。D&Eは北米・欧州/アフリカでの掘削関連サービス・ワイヤーライン活動の増加が寄与したが、ソフトウェア販売の季節的な減少で営業利益は減益となった。
| セグメント | Q2'26売上高 | 営業利益 | QoQ(売上/利益) | YoY(売上/利益) |
|---|---|---|---|---|
| Completion and Production | 32.02億ドル | 4.74億ドル | +6%/+8% | +1.0%/▲7.6% |
| Drilling and Evaluation | 25.12億ドル | 3.38億ドル | +5%/▲4% | +7.4%/+8.3% |
地域別では、北米が米国陸上での刺激活動・坑井建設活動の増加を背景に増収した一方、化学品事業の一部売却に伴う特殊化学品活動の減少が相殺要因となった。中南米はアルゼンチン・メキシコでの刺激活動増加が牽引し、前年比でも高い伸びを見せた。欧州/アフリカ/CISは北海・ナミビア・エジプトでの活動改善、地中海・コートジボワールでの完成ツール販売増加が寄与し四半期比で大幅増収。一方、中東/アジアはクウェート・イラク・カタールでの地政学的混乱による活動減少が響き、前年同期比では約▲11%の減収となった。
| 地域 | Q2'26売上高 | QoQ | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 北米 | 22.76億ドル | +7% | +0.8% |
| 中南米 | 11.23億ドル | +3% | +15.0% |
| 欧州/アフリカ/CIS | 10.17億ドル | +19% | +24.0% |
| 中東/アジア | 12.98億ドル | ▲2% | ▲10.7% |
国際部門(中南米・欧州/アフリカ/CIS・中東/アジアの合計)は34.4億ドルとなり、過去10年余りで最高水準の第2四半期売上を記録した。欧州・アフリカ・中南米での強さが中東の落ち込みを補った格好だ。
4|特別項目の中身(Impairments and other credits)
Q2'26は前年同期とは対照的に、95百万ドルの税前クレジット(利益押し上げ)を計上した。GM決算が特別損失で純利益を押し下げていたのとは逆方向の動きとなっている。
| 特別項目 | Q2'26 | Q2'25 |
|---|---|---|
| 投資持分変動益・公正価値再評価益 | ▲64百万ドル(益) | — |
| 化学品事業一部売却損 | +17百万ドル(損) | — |
| その他(政府還付等) | ▲48百万ドル(益) | — |
| 合計(純額) | ▲95百万ドル(純益) | 0 |
内訳は、ある持分法投資における持分比率変動に伴う54百万ドルの利益、同投資の公正価値再評価に伴う10百万ドルの利益、政府からの還付回収を主因とする48百万ドルのその他クレジットの合計から、2026年4月にクローズした化学品事業の一部売却に伴う17百万ドルの損失を差し引いたもの。なお前年同期(H1'25)は352百万ドルの一過性費用(人員削減費用・売却目的資産の減損・不動産減損等)を計上しており、H1'26の調整後純利益(9.22億ドル)はH1'25(9.89億ドル)を下回っている。
5|四半期推移
| 四半期 | 売上高 | 営業利益率(GAAP) | 調整後営業利益率 | EPS(GAAP/Adj) |
|---|---|---|---|---|
| Q2'25 | 55.10億ドル | 13.2% | 13.2% | 0.55/0.55 |
| Q1'26 | 54.02億ドル | 12.6% | 12.6% | 0.55/0.55 |
| Q2'26(今回) | 57.14億ドル | 13.6% | 12.0% | 0.64/0.55 |
売上高はQ2'25以降4四半期連続で増加基調にあり、Q2'26は直近5四半期で最高水準となった。一方、調整後営業利益率は特別クレジットの影響を除くとQ1(12.6%)からほぼ横ばいの12.0%にとどまっており、増収の勢いに比して収益性の伸びは限定的である。
6|キャッシュフロー・株主還元
| 項目 | Q2'26 | H1'26累計 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 8.24億ドル | 10.97億ドル |
| フリーキャッシュフロー | 6.68億ドル | 7.91億ドル |
| 設備投資(CapEx) | 2.35億ドル | 4.27億ドル |
| 自社株買い | 約2.0億ドル | 3.08億ドル |
| 現金及び現金同等物(期末) | 20.48億ドル | — |
四半期配当は1株0.17ドルで、取締役会が決議済み。H1累計の配当支払額は2.85億ドル、自社株買いは3.08億ドルとなり、株主還元合計はH1で約5.9億ドルに達した。
フリーキャッシュフローはQ1(1.23億ドル)から大幅に改善した。総資産は258.28億ドル、長期債務は70.71億ドルで、自己資本比率は引き続き健全な水準を維持している。
7|Q3見通し・実効税率
| 項目 | 実績・見通し |
|---|---|
| 実効税率(実績) | 19.0% |
| 実効税率(調整後) | 18.3% |
| Q3 C&Pセグメント売上(QoQ) | 横ばい〜▲2% |
| Q3 D&Eセグメント売上(QoQ) | ▲3〜5% |
| 通期CapExガイダンス | 11億ドル前後(据え置き) |
会社は決算資料の中で正式な通期利益ガイダンスを開示していないが、決算説明会等ではQ3の segment 別売上について、C&Pが横ばい〜前四半期比▲2%、D&Eが▲3〜5%になる一方、営業利益率は25〜175ベーシスポイント改善する見通しを示したと報じられている。中東の地政学的混乱の影響について、Q2の業績には1株あたり0.07〜0.09ドル程度のマイナス影響が織り込まれていたとされる。
会社は装置をアルゼンチン・サウジアラビア・UAEなど収益性の高い国際市場へシフトする方針を示しており、中東を除く国際市場では二桁台前半の成長を見込んでいると報じられている。
8|主要受注・技術トピック
📋 直近の主要イベント
- Aramcoからサウジアラビア国内複数の陸上油田を対象に、ランプサム・ターンキー契約を受注。約285坑井の再入坑・掘削・完成・ワークオーバーを含む統合実行モデルを提供
- Aramcoからサウジアラビアのアンコンベンショナル(非在来型)ガス開発向けに、刺激・完成サービスの統合契約を複数年契約で受注
- TotalEnergies operatedのスリナム沖GranMorgu深海開発プロジェクトで、掘削・完成サービスの大型統合契約を獲得
- イラク南部のBasra Oil CompanyからBin Umar・Sindbad両油ガス田開発向けの統合フィールドマネジメント・EPCM契約を受注
- bp operatedのアゼルバイジャン沖ACG(Azeri-Chirag-Gunashli)プロジェクトでVersaFlex®拡張式ライナーハンガーシステムを展開
- Reservoir Xaminer™フォーメーションテストサービスの新ラインナップとしてXaminer® Deep Testingロギングサービスを投入
- OSTMZ®(Optimized Single-Trip Multi-Zone)サンドコントロールシステムを投入し、複数ゾーンを1回のトリップで処理可能に
- ノルウェーのソフトウェア企業InformatiQ ASを買収し、Landmarkのデジタルポートフォリオを拡張
- Shape Digitalとデジタル資産パフォーマンス管理領域で戦略的協業を締結
- 2026 Technology Showcase(5月4〜7日、ヒューストン)を開催、世界各国から約400名の業界関係者が参加
9|株価反応
決算発表を受け、7月21日のHAL株はプレマーケットの時点で既に3〜6%台の下落を示す複数の報道があり、寄り付き33.33ドルからその後も軟調な推移が続いた。終値は前日比5.47%安の33.19ドル(前日終値35.11ドル)、日中安値は32.38ドルまで売られる場面もあった。
売上・EPSともにコンセンサスを上回ったにもかかわらず売られた背景には、①中東の地政学的緊張の継続と、それに伴うQ3業績への継続的な下押し圧力への懸念、②OPEC+が2026年6月から追加増産を発表したことによる原油価格への下押し圧力、③調整後EPSの上振れ幅がわずか0.01ドルにとどまり「力強いビート」とは言い難かったこと、が指摘されている。同日のS&P500は+0.5%、ナスダックは+1.4%と上昇しており、HAL株の下落はセクター固有の要因が主因とみられる。
52週レンジは20.17〜43.59ドルで、直近1年の平均株価は30.79ドル。アナリスト平均目標株価は44.04ドル前後で、Citiグループはストリート最高値となる52ドルの目標株価を設定している。
10|注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・報道から読み取れる留意点
① 中東の地政学的緊張(クウェート・イラク・カタール等)が継続しており、中東/アジア地域の売上は前年同期比で約▲11%と落ち込んでいる。Q2業績には0.07〜0.09ドル/株の下押し影響が織り込まれていたとされ、Q3以降も同様の圧力が続く可能性がある
② OPEC+の2026年6月からの追加増産方針は原油価格への下押し要因となっており、上流投資意欲の抑制を通じてオイルフィールドサービス需要に影響を与えうる
③ 北米は化学品事業の一部売却(2026年4月クローズ)に伴う特殊化学品活動の減少と、Gulf of Americaでの掘削活動減少が相殺要因となっている
④ 調整後EPSは3四半期連続で0.55ドルと横ばいが続いており、増収基調に対して調整後ベースの収益性拡大は限定的
⑤ SAP S4移行費用は四半期あたり46百万ドルの費用計上が継続しており、通期を通じたコスト負担が続く
⑥ Q3ガイダンスではD&Eセグメントの売上が前四半期比▲3〜5%と減収見通しであり、ソフトウェア販売の季節性を含む需要動向の見極めが必要
総じて今回の決算は、売上・EPSともにコンセンサスを上回る「表面的には好決算」であったが、調整後EPSの伸び悩みと中東情勢を巡る不確実性が株価の重石となった。国際部門(中南米・欧州/アフリカ)の強さがサウジ・イラクの大型受注と合わせて中期的な成長ドライバーとなる一方、中東の地政学リスクとOPEC+の増産方針が短期的な業績のブレ要因として引き続き焦点になりそうだ。
出典
- Halliburton「Halliburton Announces Second Quarter 2026 Results」プレスリリース(2026年7月21日)|原文PDF
- Halliburton「Segment and Geographic Results」補足データ(2026年7月21日)|原文PDF
- Halliburton「Reconciliation of Effective Tax Rate to Adjusted Effective Tax Rate」(2026年7月21日)|原文PDF
- GuruFocus「Halliburton (HAL) Reports Q2 Earnings, Faces Middle East Sales Decline」(2026年7月21日)|記事リンク
- GuruFocus「Is Halliburton Co (HAL) Overvalued After Q2 Earnings Beat?」(2026年7月21日)|記事リンク
- ChartMill「Halliburton Co. (NYSE:HAL) Reports In-Line Q2 Earnings and Revenue Beat, Shares Fall on Geopolitical Risks」(2026年7月21日)|記事リンク
- Investing.com(Yahoo Finance配信)「Halliburton stock slides despite earnings and revenue beating expectations」(2026年7月21日)|記事リンク
- Investing.com「Why is Halliburton stock sliding today?」(2026年7月21日)|記事リンク
- TradingKey「Halliburton (HAL) Price Forecast: Beats Q2 2026 — Iraq Win and $36 Rally」(2026年7月21日)|記事リンク
- Investing.com「Halliburton Stock Price Today」(2026年7月22日更新)|記事リンク
- StockAnalysis.com「Halliburton Company (HAL) Stock Price & Overview」(2026年7月21日終値データ)|記事リンク
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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