【GM決算】Q2売上480億ドル・調整後EPS3.57ドルで4四半期連続ビート——通期ガイダンス2回目の上方修正、株価5%高も純利益は31%減益
2026年7月22日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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General Motors(GM)の2026年第2四半期決算は、売上高480.3億ドル(公式発表$48.026B、前年比+1.9%、市場予想470.1億ドルを上振れ)・GAAP純利益13.1億ドル(同▲31.1%)・GAAP EPS1.41ドル(同▲26.0%)。特別項目を除いた調整後ベースでは、調整後EBIT39.4億ドル(同+29.8%、市場予想37.9億ドル程度を上振れ)・調整後EPS3.57ドル(市場予想3.20ドルを+0.37ドル上回る、同+41.3%)と、4四半期連続でコンセンサスを上回った。北米(GMNA)の調整後EBITマージンは8.6%と前年比+2.5ポイント改善。会社は2026年通期ガイダンスを年内2回目となる上方修正(調整後EBIT140〜160億ドル、旧135〜155億ドル/調整後EPS12.00〜14.00ドル、旧11.50〜13.50ドル)とした。GAAP純利益の大幅減益は、EV戦略見直しに伴う特別損失22.8億ドル(前年3.3億ドルから急増)が主因で、実態としての収益性は改善している。決算発表を受け、7月21日の取引でGM株は前日比約5%上昇し79.52ドル前後まで戻した。
📋 目次
1|GMとはどんな会社か
General Motors Company(NYSE: GM)は、シボレー・ビュイック・GMC・キャデラックの4ブランドを擁する米デトロイト本社の自動車大手。2026年1月には本社をデトロイト中心部の新開発地区「Hudson's Detroit」に移転した。事業はGM North America(GMNA)、GM International(GMI)、GM Financialの3セグメントで構成され、中国市場ではSAIC General Motors(SGMS)、SAIC-GM-Wuling(SGMW)の合弁を通じてBaojun・Buick・Cadillac・Chevrolet・Wulingの各ブランドを展開している。会長兼CEOはメアリー・バーラ氏、CFOはポール・ジェイコブソン氏。
2024年12月にロボタクシー事業「Cruise」への出資継続を停止し、自動運転戦略を個人向け車両(パーソナルAV)に一本化する方針を発表。2025年2月にはCruiseの少数株主持分を取得し、CruiseとGMの技術者チームをGMNAセグメントに統合した。近年は北米のフルサイズピックアップ・SUVで高い収益性を確保しつつ、EV事業の損失縮小と関税・warranty(保証)コストの低減による利益率改善が業績の柱となっている。
2026年に入り、OnStar/Super Cruiseを軸としたデジタル・ソフトウェア収益の拡大、GM Defense・GM Insuranceといった新規事業の育成、そして次世代フルサイズピックアップ(2027年型シボレー・シルバラード/GMCシエラ)の投入準備が、今後の成長ドライバーとして位置付けられている。
2|主要財務ハイライト(コンセンサス対比)
米国時間2026年7月21日朝、GMは2026年第2四半期(4〜6月期)決算を発表した。売上高・調整後EPSともにアナリストコンセンサスを上回る増収増益決算となった一方、GAAPベースの純利益・EPSは特別項目の影響で前年割れとなっている。
| 指標 | Q2'26実績(GAAP) | Q2'26実績(Adjusted) | コンセンサス | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 480.3億ドル($48.026B) | 480.3億ドル($48.026B) | 約470.1億ドル | +1.9% |
| EPS(希薄化後) | 1.41ドル | 3.57ドル | 約3.20ドル | GAAP▲26.0%/Adj+41.3% |
| EBIT(調整後) | — | 39.4億ドル | 約37.9億ドル | +29.8% |
| 調整後自動車FCF | — | 50.3億ドル | — | +78.0% |
| 純利益(GM株主帰属) | 13.1億ドル | — | — | ▲31.1% |
GAAP純利益率は2.7%(前年4.0%)へ低下したものの、調整後EBITマージンは8.2%(前年6.4%)へ改善しており、GAAP・調整後の方向性が逆転している点が今回の決算の特徴だ。この差は主にEV戦略見直しに伴う特別損失の急増(前年3.3億ドル→今期22.8億ドル)による。
北米(GMNA)の調整後EBITマージンは8.6%(前年比+2.5ポイント)で、通期目標である8〜10%レンジの中央値近くに位置している。強い製品ポートフォリオと価格規律、コスト効率化が引き続き牽引役となった。
3|セグメント別・地域別の内訳
セグメント別では、最大セグメントのGMNAが増収増益で全体を牽引した一方、GM Financialは金利環境やリース減価償却費の増加が響き減益。GM International(GMI)は中東の卸売台数減少がありながらも、南米の好調が下支えした。
| セグメント | Q2'26売上高 | EBIT(EBT)調整後 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| GM North America(GMNA) | 399.1億ドル | 34.5億ドル | +42.7% |
| GM International(GMI) | 36.9億ドル | 1.9億ドル | ▲6.6% |
| GM Financial(EBT調整後) | 42.7億ドル | 6.1億ドル | ▲14.0% |
中国JV(SGMS・SGMW)は持分法投資利益として0.8億ドルを計上し、7四半期連続の黒字を確保。リストラを経た事業構造の下で、コスト効率化とミックス最適化による安定収益化が進んでいる。
| 地域・市場 | Q2'26販売台数 | 市場シェア | 備考 |
|---|---|---|---|
| 米国 | 71.5万台 | 16.6% | 業界1位・前年比▲4% |
| 北米合計 | 84.8万台 | 15.8% | — |
| 中国(JV含む) | 35.7万台 | 6.6% | 7四半期連続黒字 |
米国ではフルサイズピックアップ市場で43%のシェアを獲得し業界首位を維持、EV販売も第2位につけている。一方、中国事業を除くGMIでは中東での卸売台数減少(船積みの混乱)がEBIT悪化要因となった。中国事業では、Buick Electra E7(新エネルギー車SUV)が発売初月からトップセラー入りするなど新モデル群が成長を牽引した。
4|特別項目の中身(EV戦略見直し等)
GAAP純利益(13.1億ドル)と調整後EBIT(39.4億ドル)の差の主因は、以下の特別項目の合計24.6億ドル(前年6.6億ドル)である。
| 特別項目 | Q2'26 | Q2'25 |
|---|---|---|
| EV戦略見直し(Ultium含む) | 22.8億ドル | 3.3億ドル |
| 中国リストラ関連 | 1.8億ドル | 1.4億ドル |
| 合計調整額(EPS換算) | 24.6億ドル(2.70ドル) | 6.6億ドル(0.68ドル) |
EV戦略見直しに伴う特別損失は、サプライヤーとの商業交渉に関する13億ドル、契約供給契約に伴う損失11億ドル、コンプライアンス関連資産に係る純費用4.9億ドルなどで構成される。2025年後半以降の累計チャージは109億ドルに達し、うち現金影響を伴う72億ドルのうち45億ドル(約62%)を四半期末までに支払い済み。会社側は「EV戦略見直しに関する重要な現金支出の計上は実質的に完了した」との見解を示している。
5|四半期推移
| 四半期 | 売上高(GAAP) | 調整後EBITマージン(全社) | 北米(GMNA)調整後マージン | 調整後EPS |
|---|---|---|---|---|
| Q2'25 | 471.2億ドル | 6.4% | 6.1% | 2.53ドル |
| Q1'26 | 436.2億ドル | 9.8% | 10.1% | 3.70ドル |
| Q2'26(今回) | 480.3億ドル | 8.2% | 8.6% | 3.57ドル |
※Q1'26の数値はH1'26累計とQ2'26実績の差分から算出。
Q1に比べるとQ2の調整後EBITマージンはやや低下したものの、これはEV戦略見直しに伴う特別損失を除いた実質ベースの数字であり、通期を通じてはH1累計で北米マージン9.3%と、8〜10%の通期目標レンジ内で推移している。
6|キャッシュフロー・株主還元
| 項目 | Q2'26 | H1'26累計 |
|---|---|---|
| 調整後自動車フリーキャッシュフロー | 50.3億ドル | 63.0億ドル |
| 設備投資(CapEx) | 19.2億ドル | 34.3億ドル |
| 自社株買い | 20.0億ドル(約2,490万株) | 28.0億ドル(約3,600万株) |
| 自動車事業現金残高(期末) | 197億ドル | (目標平均180億ドル超) |
四半期配当は1株0.18ドルで、2026年9月17日払い(権利確定日9月4日)。2026年1月に自社株買いプログラムの枠を60億ドル積み増し、総額63億ドル(期限なし)とした。Q2末時点で残枠は約35億ドル。GM Financialは四半期2.5億ドルの配当をGM本体に支払い、H1累計では9億ドルに達した。
調整後自動車FCFの増加は、主に調整後EBITの改善と、関税還付の入金タイミングおよびCapEx支出タイミングによるもの。Q2末の希薄化後発行済株式数は8.93億株で、前年同期比約8%減少しており、継続的な自社株買いがEPS成長に寄与している。単純計算では、EBIT等が横ばいでも発行済株式数が8%減少するだけでEPSは約8〜9%押し上げられる計算になり、調整後EPSの伸び率(+41.3%)のうち一定部分は自社株買いによる押し上げ効果とみられる。
7|通期ガイダンス上方修正の中身
| 項目 | 4月時点ガイダンス | 更新後ガイダンス |
|---|---|---|
| EBIT調整後 | 135〜155億ドル | 140〜160億ドル |
| EPS-diluted-adjusted | 11.50〜13.50ドル | 12.00〜14.00ドル |
| 調整後自動車FCF | 90〜110億ドル | 95〜115億ドル |
| 北米(GMNA)EBIT調整後マージン | 8〜10% | 8〜10%(据え置き) |
| 実効税率調整後(ETR-adj) | — | 20〜21% |
今回の上方修正は年内2回目で、前回(Q1決算時)の引き上げに続くもの。会社側は、価格の安定性・保証費用の低減・EV損失の縮小といった要因を根拠に挙げている。GM CFOのポール・ジェイコブソン氏はCNBCのインタビューで「(今回の実績は)ここ数年続けてきたことと非常に整合的」と述べ、現在の株価水準(当時約75ドル)を「バーゲン(お買い得)」と評した。
特に北米(GMNA)の調整後EBITマージン8.6%は、通期目標である8〜10%レンジのほぼ中央値に位置しており、Q1の10.1%からは低下したものの、EV戦略見直しの特別損失を除いた実質ベースでは通期を通じて目標レンジ内で安定的に推移している点は評価できる。
なお、関税環境については2026年2月20日に米連邦最高裁が「国際緊急経済権限法(IEEPA)は関税賦課を正当化しない」との判断を示したことを受け、GMは第1四半期に過去に支払った関税の還付を見込んだ5億ドルの有利調整を計上済み。通期の関税影響はEBIT調整後ベースで25億〜35億ドルのマイナス影響と見積もっているが、還付の時期・規模には不確実性が残る。
8|次世代シルバラード/OnStarなど主要イベント
📋 直近の主要イベント
- 次世代2027年型シボレー・シルバラードLD/GMCシエラLDを発表。5.7L・6.8L V8や2.7Lターボマックス(10速変速機との組み合わせ)、Duramax 3.0Lターボディーゼルを設定。Q4より発売開始、本格的な販売は2027年から
- OnStarの繰延収益は63億ドル(前年比+50%)、認識収益は8億ドル(同+20%超)。2026年中に約100万人の新規加入で年末には約1,300万人の加入者数を見込む
- Super Cruiseは認識収益が前年比約70%増、Q2に約7万人の新規加入。年末までに85万人超の加入を見込む
- 中国ではBuick Electra E7(新エネルギーSUV)が発売初月からブランド内トップセラー入り、Wuling Bin Guo Proが四半期3.1万台超を販売
- GM Defense・GM Insuranceなど新規事業を成長機会として位置付け
- Q2に20億ドル・約2,490万株の自社株買いを実施
9|株価反応
決算発表を受け、7月21日の取引でGM株は前日比約5%上昇し、79.52ドル前後で取引された。売上・調整後EPSの二重ビートに加え、通期ガイダンスの上方修正が好感された格好。Morgan Stanleyは決算後に北米事業の強さを評価するコメントを出し、投資家心理の改善を後押しした。
なお、決算発表前のGM株は軟調な地合いが続いており、6月29日〜7月2日の週には前週比▲2.7%の76.00ドルまで下落するなど、3週連続の下落局面にあった。背景には7月1日発表のQ2販売実績(前年比4%減)への警戒感があったとみられる。52週レンジは48.87〜87.62ドルで、直近の上昇はこの下落局面からの反発という側面も強い。
10|注視すべきポイント(EV損失・関税・訴訟等)
⚠️ 決算資料・10-Qから読み取れる留意点
① EV戦略見直しに伴う特別損失は累計109億ドル(うち現金影響72億ドル)に達しており、2026年内も追加チャージが見込まれる
② IEEPA関税を巡る最高裁判決後も、還付の時期・規模には不確実性が残る。通期の関税影響見積もり(EBIT調整後▲25〜35億ドル)は今後変動する可能性がある
③ 2026年4月のEPA「エンデインジャーメント・ファインディング」撤廃を受け、コンプライアンス関連資産に係る5億ドルの純費用を計上。規制環境の変化に伴う追加コストのリスクが残る
④ 保証(warranty)引当金残高は140億ドル(前年117億ドル)まで増加しており、コスト管理の持続性が焦点
⑤ ARC製エアバッグインフレーター問題は米当局(NHTSA)の調査が継続中で、追加リコールの可能性が排除できない。Takata関連の残存引当金は3億ドル
⑥ OnStar「Smart Driver」を巡るプライバシー訴訟は米FTC・カリフォルニア州との和解が成立したものの、他の集団訴訟・州当局調査は継続中(引当金5億ドル)
⑦ GMIは中国を除くと中東の出荷混乱などで収益性が悪化しており、地政学リスクの影響を受けやすい構造が続く
総じて、今回の決算は増収増益・ガイダンス上方修正という好材料が明確で、株価も大幅高で応えた。一方でGAAPベースの純利益は特別項目の影響で大幅減益となっており、EV戦略見直しの完了時期や関税環境の帰趨によって、今後の業績のブレ幅は依然として大きい。中期的には、次世代フルサイズピックアップの投入効果とOnStarデジタル収益の拡大ペースが、株価の次の焦点になりそうだ。
出典
- General Motors「GM releases 2026 second-quarter results, raises full-year 2026 guidance and declares quarterly dividend」プレスリリース(2026年7月21日)|原文PDF
- General Motors「Q2 2026 Letter to Shareholders」メアリー・バーラCEOレター(2026年7月21日)|原文リンク
- General Motors「Strong results, improving outlook」Q2 2026決算説明会資料(2026年7月21日)|原文PDF
- General Motors Company Form 10-Q(2026年6月30日期、米SEC提出、2026年7月21日付)|原文PDF
- General Motors「GM #1 in U.S. Sales for Q2」プレスリリース(2026年7月1日)|原文リンク
- General Motors「GM China Q2 Sales: Business Momentum Continues」プレスリリース(2026年7月3日)|原文リンク
- CNBC「General Motors raises 2026 earnings forecasts after beating Wall Street's Q2 estimates」(Michael Wayland、2026年7月21日)|記事リンク
- Morningstar「GM Stock - General Motors Stock Price」(2026年7月21日更新)|記事リンク
- GuruFocus「General Motors Co (GM) Shares Surge 4.9% -- What GF Score of 78 Tells Investors」(2026年7月21日)|記事リンク
- FX Leaders「General Motors GM Stock Resumes Uptrend as Strong Q2 Earnings Boost Morgan Stanley Outlook」(2026年7月21日)|記事リンク
- GM Authority「GM Stock Value Drops Another 3 Percent During Week Of June 29, 2026 To July 2, 2026」(2026年7月)|記事リンク
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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