【アルファベット決算】Q2売上1,197.96億ドルで四半期最高益、クラウド+82%加速も——AI投資拡大でCapExガイダンス上限205億ドルに引き上げ、株価は決算会見中に軟化
2026年7月23日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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アルファベット(NASDAQ: GOOG, GOOGL)の2026年第2四半期決算は、総収益1,197.96億ドル(前年同期比+24%、恒常通貨ベース+23%)で12四半期連続の二桁成長を達成し、市場予想(LSEG集計116.9億ドル前後)を明確に上回った。GAAP希薄化後EPSは9.11ドル(前年比+294%)と表面上は大幅な予想超えとなったが、これはSpaceX・Anthropicなど非上場株式の評価益990.3億ドルによるもので、この影響(+6.26ドル)を除いた実質ベースのEPSは約2.85ドルとなり、市場予想(2.86〜2.90ドル程度)とほぼ同水準〜わずかに下回る水準にとどまった。Google Cloud売上は前年比+82%(247.68億ドル)と、前四半期(Q1'26)の+63%から一段と加速し、契約バックログも5,140億ドルまで拡大。一方で2026年通期CapExガイダンスを従来の1,800〜1,900億ドルから1,950〜2,050億ドルへ再度上方修正し、市場予想(187億ドル前後)を大きく上回ったことを受け、決算発表直後は小幅高にとどまり、その後の決算会見中に株価は軟化した。
📋 目次
1|アルファベットとはどんな会社か
アルファベット(NASDAQ: GOOG, GOOGL)はGoogleの持株会社。事業セグメントは大きく「Google Services」(検索・YouTube・Android・Chrome・端末・サブスクリプション等)、「Google Cloud」(GCP・Workspace・企業向けAIソリューション)、「Other Bets」(Waymo等の新規事業群)の3つで構成される。
Google Servicesは広告収入を中心に、YouTube TV・YouTube Music・Google One等のサブスクリプション、アプリ内課金、端末販売などから収益を得る。Google CloudはGCPの従量課金・サブスクリプション、Workspace、企業向けサービスが収益源。直近四半期は、Gemini 3系モデル群の連続投入、Gemini Enterpriseの企業導入拡大、AIコーディングツールAntigravity、FIFAワールドカップ2026関連のYouTube視聴拡大など、AI・動画領域への投資が事業の中心テーマとなっている。
2|主要財務ハイライト(コンセンサス対比)
米国時間2026年7月22日、市場引け後にアルファベットは2026年第2四半期(4〜6月期)決算を発表した。総収益・Google Cloud成長率はいずれも市場予想を明確に上回った一方、GAAP EPSの大幅超過は非上場株式の評価益によるところが大きく、実質的な収益性はほぼ市場予想並みの内容だった。
| 指標 | Q2'26実績 | コンセンサス | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 総収益 | 1,197.96億ドル | 約1,169〜1,172億ドル | +24%(恒常通貨+23%) |
| 希薄化後EPS(GAAP) | 9.11ドル | 約2.86〜2.90ドル | +294% |
| 実質EPS(株式評価益除く・独自試算) | 約2.85ドル | 約2.86〜2.90ドル | ほぼ同水準〜やや下回る |
| 純利益(株主帰属) | 1,121.07億ドル | — | +298% |
| 営業利益 | 407.70億ドル | — | +30% |
| 営業利益率 | 34.0% | — | 前年32.0%(Q1'26の36.1%からは低下) |
📌 コンセンサス出典の内訳
- LSEG集計:総収益116.93億ドル|出典:CNBC「Google earnings Q2 live updates」
- Visible Alpha集計:総収益117.2億ドル|出典:Seeking Alpha「Alphabet Earnings Preview」
- Alphastreet集計(アナリスト41名対象):EPS2.89ドル/総収益116.84億ドル(レンジ:EPS2.59〜3.60ドル、収益1,136.2億〜1,201.3億ドル)|出典:Alphastreet「Alphabet (GOOGL) Q2 2026 Preview」
- StockAnalysis.com:EPS2.88ドル|出典:StockAnalysis.com「Alphabet (GOOGL) Stock Price & Overview」
総収益はコンセンサス各社(LSEG116.93億ドル、Visible Alpha117.2億ドル、Alphastreet116.84億ドル)をいずれも明確に上回った。一方、GAAP EPS9.11ドルは市場予想(2.86〜2.90ドル程度)を大幅に超過しているように見えるが、この超過分の大半は次章で解説する非上場株式の評価益によるものであり、単純比較には注意が必要となる。
3|特別項目(非GAAP調整)の中身
Q2'26のその他収益(費用)純額は979.83億ドル(前年26.62億ドル)と急増した。決算資料の注記によれば、この大半は保有する非上場株式(AnthropicやSpaceXへの出資持分等)の評価益990.31億ドルによるもので、この評価益の純効果だけで税負担を219億ドル、純利益を771億ドル、希薄化後EPSを6.26ドル押し上げている。
| 項目 | Q2'26 | Q1'26 |
|---|---|---|
| その他収益(費用)純額 | 979.83億ドル | — |
| うち株式評価益(純額) | 990.31億ドル | 369億ドル |
| EPSへの押し上げ効果(純額) | +6.26ドル | +2.35ドル |
| GAAP EPS → 実質EPS(独自試算) | 9.11ドル → 約2.85ドル | 5.11ドル → 2.62ドル |
| Q1'26時点の市場予想との比較 | 実質EPS2.62ドルは市場予想2.63ドルを1セント下回っていた | |
特筆すべきは、この構図がQ1'26に続き2四半期連続で発生している点だ。Q1'26は369億ドルの評価益がEPSを2.35ドル押し上げ、実質EPSは2.62ドルで市場予想2.63ドルをわずかに下回っていた。今回も同様に、評価益を除いた実質ベースのEPS(約2.85ドル)は市場予想レンジの下限付近〜やや下回る水準にとどまっており、「表面上の大幅増益=非上場株評価益による見かけ上の押し上げ」という構図が続いている。
4|セグメント・事業別の内訳
| セグメント | 収益(Q2'26) | 前年同期比 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| Google Services | 945.40億ドル | +15% | 41.8%(前年40.1%) |
| Google Cloud | 247.68億ドル | +82% | 35.6%(前年20.7%) |
| Other Bets | 3.82億ドル | — | 営業損失17.99億ドル(前年12.46億ドル) |
Google Servicesの内訳では、検索他が632.71億ドル(+17%)、YouTube広告が110.55億ドル(+13%)、サブスクリプション・端末等が129.11億ドル(+15%)と軒並み二桁成長を維持した一方、Googleネットワークは73.03億ドル(-1%)とわずかに減収となった。
最も際立ったのはGoogle Cloudで、前年同期比+82%と、前四半期(Q1'26、+63%)から19ポイントもの加速を示した。営業利益率も35.6%(前年20.7%)まで大幅改善した。契約バックログも5,140億ドル(前四半期4,620億ドルから拡大)に積み上がっており、エンタープライズAIインフラ・AIソリューション需要の強さを裏付けている。一方、Other Bets・Alphabetレベル活動(AI研究開発費等の全社共通コスト)の営業損失はいずれも前年より拡大しており、AI関連投資の重石が両セグメントにも及んでいる。
5|四半期推移
| 四半期 | 総収益 | 営業利益率 | 希薄化後EPS |
|---|---|---|---|
| Q2'25 | 964.28億ドル | 32.0% | 2.31ドル |
| Q3'25 | 1,023.46億ドル | 30.5%(EC制裁金除き33.9%) | 2.87ドル |
| Q4'25 | 1,138.3億ドル | 31.6% | 2.82ドル |
| Q1'26 | 1,098.96億ドル | 36.1% | 5.11ドル |
| Q2'26(今回) | 1,197.96億ドル | 34.0% | 9.11ドル |
収益は四半期として過去最高を更新し続けているが、営業利益率はQ1'26の36.1%から2.1ポイント低下した。EPSは2四半期連続で非上場株評価益に大きく押し上げられており、実質的な収益性トレンドは営業利益率・営業利益の推移で見るのがより実態に近い。
6|キャッシュフロー・財務状況
| 項目 | Q2'26 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 390.69億ドル | 277.47億ドル(+41%) |
| 設備投資(CapEx) | 449.24億ドル | 224.46億ドル(+100%) |
| フリーキャッシュフロー | △58.55億ドル | +53.01億ドル |
| 現金・現金同等物及び市場性証券(期末) | 2,424.74億ドル | 前期末1,268.43億ドル(+91%) |
CapExは5四半期連続で加速(224→240→279→357→449億ドル)し、四半期フリーキャッシュフローはついにマイナスに転落した。TTMベースのフリーキャッシュフローも532.73億ドルと前年比-20%となっている。一方、期末の現金・市場性証券等は前期末比+91%と急増しており、これは6月に実施した普通株(Class A・Class C)と強制転換型優先株を組み合わせた約496億ドルの資金調達、および203億ドルの無担保シニアノート発行によるもの(いずれもAIインフラ投資資金の確保が目的)。なお、最大400億ドルのATMプログラム(随時株式売出枠)も設定されているが、6月末時点では未行使。7月には四半期配当を普通株1株0.22ドル、優先株1株12.15ドル(預託株式換算約0.60ドル)で継続する方針を発表した。
7|アウトルック(CapExガイダンス)
アルファベットは数値による売上・EPSガイダンスを示していないが、決算会見の中で2026年通期CapExガイダンスを従来の1,800〜1,900億ドルから1,950〜2,050億ドルへ再度引き上げた。2月の当初見通しは1,750〜1,850億ドルであり、5か月あまりで200億ドル超の上方修正となる。
📋 CapExガイダンス改定の経緯
- 2026年2月(Q4'25決算時):1,750〜1,850億ドル
- 2026年4月(Q1'26決算時):1,800〜1,900億ドルへ上方修正
- 2026年7月(Q2'26決算時・今回):1,950〜2,050億ドルへ再度上方修正
- 市場予想(FactSet集計187.1億ドル、Visible Alpha集計188億ドル程度)を上回るガイダンスに
- CFOのAnat Ashkenazi氏:「増加の主因は需要の伸びに応えるための能力供給の前倒し」、依然「供給制約下にある」と説明
- 2027年CapExについても「大幅な増加」を見込むと言及
数値ガイダンスなしという開示スタイル自体は従来通りだが、CapEx水準の急拡大とその資金調達(増資・起債)が今後複数四半期にわたり投資家の焦点になり続けるとみられる。
8|主要トピック・戦略イベント
📋 Q2'26〜7月の主な取り組み
- Google Cloudバックログが5,140億ドルに拡大、Gemini Enterpriseはフォーチュン100社の約9割が利用
- Geminiアプリの月間アクティブユーザーは9.5億人(前四半期7.5億人から増加)、自社モデルAPIの処理量は毎分約220億トークン(前四半期160億トークン超から増加)
- 期中〜直近でGemini 3、Gemini 3.1 Pro、Gemini 3.5 Flash(サイバーセキュリティ特化の「Gemini 3.5 Flash Cyber」含む)、Gemini Spark、Nano Banana Pro、Google Antigravity(AIコーディングツール、週間アクティブ利用者240万人)、Genie 3、Gemini Omniを連続投入
- YouTubeはFIFAワールドカップ2026関連動画で17億人超のユニーク視聴者を記録
- 一方、次期主力モデル「Gemini 3.5 Pro」の投入遅延が報じられ、競合からは「最先端から後追いへの認識シフト」との指摘も
- Gemini共同責任者のNoam Shazeer氏がOpenAIへ移籍(6月発表)
- EU:Android独禁法制裁金(41億ユーロ/約46.7億ドル)が欧州司法裁判所により7月2日付で確定(8年越しの係争が終結)。7月17〜18日にはデジタル市場法(DMA)に基づく新たなデータ共有等の是正命令も
- バークシャー・ハサウェイがアルファベット株への大型新規投資(約100億ドル規模)を開示したと報じられた(7月中旬)
- 6月に普通株・優先株による約496億ドルの資金調達、203億ドルの無担保シニアノート発行を実施
9|株価反応
決算は米国時間7月22日の市場引け後に発表された。決算発表直前の株価は346〜347ドル前後で推移しており、年初来では約14%の上昇となっていたが、52週高値408.61ドルからは約12%下の水準だった。
収益・Google Cloud成長率はいずれも市場予想を明確に上回ったが、営業利益率がやや予想を下回ったこともあり、決算発表直後の時間外での株価反応は当初小幅高にとどまった。その後の決算会見でCapExガイダンスが市場予想を大きく上回る1,950〜2,050億ドルへ引き上げられたことが伝わると、株価は会見中に軟化し、決算発表後の株価は2%超の下落となった。
過去の実績では、EPS予想超え時の平均株価変動は+0.7%程度、Q1'26決算時は(実質は評価益による見かけ上の大幅超過だったにもかかわらず)+9.96%の急伸を記録している。今回はそれとは対照的に、「増収・Cloud加速」という好材料よりも「AI投資コストの規模とその持続性」に市場の焦点が集まった形で、決算会見でのCFOのコメント内容が株価の方向性を左右する材料になったとみられる。
10|注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・報道から読み取れる留意点
① GAAP EPS9.11ドルの大半は非上場株式(Anthropic・SpaceX等)の評価益によるもので、これを除いた実質EPSは約2.85ドルと市場予想並み〜やや下回る水準。2四半期連続でこの構図が続いており、評価益の変動性の高さには注意が必要
② 2026年CapExガイダンスは2月の当初見通しから5か月あまりで200億ドル超上方修正され、2027年もさらなる増加が示唆されている。すでにQ2だけで約496億ドルの資本調達・203億ドルの起債を実施しており、資金調達ペースの持続性が今後の焦点
③ 四半期フリーキャッシュフローが初のマイナス転落、TTMベースでも前年比-20%となっている
④ 営業利益率はQ1'26の36.1%から34.0%へ低下、Other Bets・Alphabetレベル活動の損失も前年より拡大している
⑤ EU関連の規制圧力(独禁法制裁金確定、DMA是正命令)が継続しており、EMEA地域での事業運営コストに影響する可能性がある
⑥ 次期主力モデルの投入遅延や主要人材の流出など、AIモデル開発におけるリーダーシップ維持面での懸念も浮上している
総じて今回の決算は、「本業の強さ(Cloud急加速・二桁増収持続)」と「AI投資コストの急拡大」が同時に示された内容だった。表面上のEPSは非上場株評価益によって大きく歪められており、実態を見るには営業利益率・CapEx・フリーキャッシュフローの推移を追うことが重要になる。次四半期以降は、引き上げられたCapExガイダンスの実行ペースと、Google Cloudバックログの収益転換速度が焦点になりそうだ。
出典
- Alphabet Inc.「Alphabet Announces Second Quarter 2026 Results」決算資料(2026年7月22日)
- Alphabet Inc.「Q2 2026 Earnings」決算説明会スライド(2026年7月22日)
- CNBC「Alphabet earnings updates: Stock sinks during analyst call as company hikes 2026 capex」(2026年7月22日)|記事リンク
- Bloomberg「Alphabet Earnings: Google Parent Posts Cloud Sales Beat, Slight Miss on Search」(2026年7月22日)|記事リンク
- Seeking Alpha「Alphabet delivers Q2 beat with cloud revenue surging 82%, capex disappoints」(2026年7月22日)|記事リンク
- Alphastreet「Alphabet (GOOGL) Q2 2026 Preview: EPS Est. $2.89, Reports July 22」|記事リンク
- InsiderFinance「Alphabet Q2 2026 Earnings Preview」|記事リンク
- IG International「GOOGL Q2 2026 earnings preview: 63% cloud growth eyed」|記事リンク
- TradingKey「Alphabet Q2 Earnings Preview」(2026年7月22日)|記事リンク
- 24/7 Wall St.「Live: Will Alphabet Smash Q2 Earnings Tonight After Berkshire Hathaway's Big Bet?」(2026年7月22日)|記事リンク
- StockAnalysis.com「Alphabet (GOOGL) Stock Price & Overview」|記事リンク
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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