【Tesla決算】Q2売上282億ドルで最高益も調整後EPS0.33ドルは市場予想を大幅未達——記録的納車も利益率が急低下、株価は時間外で下落
2026年7月23日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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Tesla, Inc.(NASDAQ: TSLA)の2026年第2四半期決算は、総収益282.36億ドル(前年同期比+21%表記の資料もあるが実際は+26%、過去最高)と市場予想(263〜276億ドル程度)を明確に上回った一方、GAAP EPS0.32ドル(前年比-3%)・調整後EPS0.33ドル(前年比-18%、市場予想0.51〜0.55ドル程度を大幅未達)と収益性は市場予想を大きく下回る結果となった。納車台数は48万126台(前年比+25%)で四半期として過去最高を記録し、市場予想(約40.6万台)を大幅に上回ったが、営業利益率は1.4%(前年4.1%から急低下)、調整後EBITDAマージンも11.6%(前年15.1%)と、増収の裏で利益率は大幅に悪化した。エネルギー貯蔵デプロイは13.5GWh(前年比+41%)で四半期として2番目の高水準、FSDアクティブサブスクは148万件(同+56%)と過去最高を記録した。決算発表を受け、株価は時間外取引で2.5〜3%程度下落している。
📋 目次
1|Teslaとはどんな会社か
Tesla, Inc.(NASDAQ: TSLA)は、電気自動車の製造・販売を中核としつつ、太陽光発電・蓄電池などのエネルギー生成・貯蔵事業、AI・ロボティクス事業を展開する米企業。事業セグメントは大きく「自動車(Automotive)」「エネルギー発電・貯蔵(Energy Generation and Storage)」「サービス・その他(Services and Other)」の3つで構成される。
自動車ラインアップはModel 3/Y、Cybertruck、Cybercabなどで、カリフォルニア・上海・ベルリン・テキサスの各工場で生産。エネルギー事業ではMegapack(産業用)・Powerwall(家庭用)を展開し、直近ではドイツ向けに三相電源対応のPowerwall 3Pを投入した。サービス・その他事業にはFSD(Full Self-Driving)サブスクリプション、Robotaxi、車両修理・保険等が含まれる。直近四半期は、Cybercabの量産開始、Robotaxiの米複数都市への展開拡大、Optimus(ヒューマノイドロボット)向け生産ラインの整備など、AI・自律走行・ロボティクス関連投資が事業の中心テーマとなっている。
2|主要財務ハイライト(コンセンサス対比)
米国時間2026年7月22日、市場引け後にTeslaは2026年第2四半期(4〜6月期)決算を発表した。総収益はアナリストコンセンサスを明確に上回った一方、EPSは市場予想を大幅に下回る「増収・大幅減益ショック」的な内容となった。
| 指標 | Q2'26実績 | コンセンサス | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 総収益 | 282.36億ドル | 約263〜276億ドル | +26% |
| EPS(希薄化後・GAAP) | 0.32ドル | 約0.36ドル | -3% |
| EPS(調整後) | 0.33ドル | 約0.51〜0.55ドル | -18% |
| 純利益(GAAP/調整後) | 11.14億ドル/11.53億ドル | 約12.8億ドル | -5%/-17% |
| GAAP粗利益率 | 16.8% | 約19.5% | 前年17.2% |
| 営業利益率 | 1.4% | 約5.4% | 前年4.1% |
📌 コンセンサス出典の内訳
- Tesla社集計コンセンサス(JPMorgan・Goldman Sachs等セルサイド23社対象、7月17日公表):総収益275.8億ドル/GAAP EPS0.36ドル/調整後EPS0.55ドル/純利益約12.8億ドル|出典:Tesla Investor Relations「Q2 2026 Earnings Consensus」
- Wall Street平均:総収益263〜264億ドル/調整後EPS0.53ドル前後|出典:Electrek「Q2 2026 earnings preview」(Estimize集計含む)
- CNBC集計:調整後EPS0.51ドル|出典:CNBC「Tesla (TSLA) Q2 2026 earnings report」
売上高は市場予想(Tesla社集計コンセンサス275.8億ドル、Wall Street平均263〜264億ドル程度)をいずれも明確に上回り、直近5四半期で最高水準となった。一方で調整後EPS0.33ドルは市場予想(0.51〜0.55ドルのレンジ)を35〜40%程度下回る大幅な未達となり、増収・大幅減益という対照的な内容となった。納車台数は48万126台(前年比+25%)で、市場予想の約40.6万台を7万台超上回っている。
※コンセンサス数値は報道機関・情報ベンダーによって集計対象アナリスト数が異なるため幅がある点に留意。
3|特別項目(非GAAP調整)の中身
Q2'26のGAAP純利益11.14億ドルには、SpaceXへの株式投資に係る未実現評価益10.05億ドルが含まれている。この一過性の評価益は非GAAP純利益の算定において除外されており、GAAP・非GAAPの差は主に株式報酬費用・デジタル資産評価損益・SpaceX評価益・一部税務項目の合算によるものだ。
| 調整項目 | Q2'26 | Q1'26 |
|---|---|---|
| 株式報酬費用(税引後) | 9.89億ドル | 8.03億ドル |
| デジタル資産の未実現損失(税引後) | 0.87億ドル | 1.73億ドル |
| SpaceX株式投資の未実現評価益(税引後) | △7.63億ドル | — |
| 一部税務項目(カリフォルニア州繰延税金資産評価引当金取崩し等) | △2.74億ドル | — |
| GAAP純利益 → 非GAAP純利益 | 11.14億ドル → 11.53億ドル | 4.77億ドル → 14.53億ドル |
特筆すべきは、SpaceX株式投資の評価益(10.05億ドル)という一過性の押し上げ要因があったにもかかわらず、GAAP純利益は前年同期比で減少(-5%)している点だ。仮にこの評価益を除いた事業ベースの実態で見ると、収益性の悪化はさらに深刻であったことを示唆している。
4|セグメント・事業別の内訳
| セグメント | 収益(Q2'26) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 自動車(Automotive) | 205.16億ドル | +23% |
| エネルギー発電・貯蔵 | 31.39億ドル | +13% |
| サービス・その他 | 45.81億ドル | +50%(過去最高) |
最も伸びが際立ったのはサービス・その他事業で、前年同期比+50%の45.81億ドルとなった。粗利益は前四半期比+3.02億ドルの6.48億ドル(粗利益率14%)と過去最高を記録しており、FSDサブスクリプションの拡大や車両保守サービスの拡充が寄与している。自動車事業は納車台数の増加を受けて収益は伸びたものの、規制クレジット収入の急減(前年4.39億ドル→今期1.46億ドル)と平均販売価格(ASP)の低下が利益率の重石となった。
| 自動車粗利益率 | Q2'26 | Q1'26 | Q2'25 |
|---|---|---|---|
| GAAP(規制クレジット込み) | 16.9% | 21.1% | 17.2% |
| 規制クレジット収入 | 0.6%(1.46億ドル) | 1.9%(3.80億ドル) | 2.2%(4.39億ドル) |
| 規制クレジット除き(非GAAP) | 16.3% | 19.2% | 15.0% |
規制クレジット除きの実質ベースで見ると、自動車粗利益率は16.3%となり、前四半期(19.2%)から2.9ポイントの大幅低下となった一方、前年同期(15.0%)は上回っている。つまり構造的な収益性は前年比では改善しているものの、直近四半期比では規制クレジット消失に加えてASP低下・出荷ミックスの影響が上乗せされ、単純な前年比較だけでは見えにくい四半期内の急速な悪化が起きている点に注意したい。
📊 その他の主要指標(Q2'26、前年同期比)
- 総納車台数:48万126台(+25%、四半期として過去最高)
- 総生産台数:45.18万台(+10%)
- エネルギー貯蔵デプロイ:13.5GWh(+41%、四半期として2番目の高水準)
- アクティブFSDサブスクリプション:148万件(+56%、過去最高)
- 北米新規納車のFSDサブスク付帯率:55%超(過去最高)
- 累計Robotaxi有償走行距離:230万マイル超(累計)
5|四半期推移
| 四半期 | 総収益 | 営業利益率 | EPS(GAAP/調整後) |
|---|---|---|---|
| Q2'25 | 225.0億ドル | 4.1% | 0.33/0.40 |
| Q3'25 | 280.95億ドル | 5.8% | 0.39/0.50 |
| Q4'25 | 249.01億ドル | 5.7% | 0.24/0.50 |
| Q1'26 | 223.87億ドル | 4.2% | 0.13/0.41 |
| Q2'26(今回) | 282.36億ドル | 1.4% | 0.32/0.33 |
収益は直近5四半期で最高水準となった一方、営業利益率は直近5四半期で最も低い水準まで落ち込んでいる。EPS(GAAP・調整後とも)も前四半期・前年同期をいずれも下回っており、増収と収益性の乖離が今回の決算で最も特徴的な点だ。
6|キャッシュフロー・財務状況
| 項目 | Q2'26 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 46.97億ドル | 25.40億ドル(+85%) |
| 設備投資(capex) | 57.89億ドル | 23.94億ドル(+142%) |
| フリーキャッシュフロー | △10.92億ドル | +1.46億ドル |
| 現金・現金同等物及び短期投資(期末) | 435.24億ドル | 367.82億ドル(+18%) |
営業キャッシュフローは前年比+85%と大幅増加したが、Cybercab・Optimus・AIコンピュート・電池材料・半導体製造など複数の大型投資が同時並行で進んでいることを背景に設備投資が前年比+142%まで急増し、フリーキャッシュフローは2四半期ぶりのマイナス(△10.92億ドル)に転落した。現金及び短期投資は期末時点で435.24億ドルとなり、前四半期末比で12億ドル減少している。
7|アウトルック
Teslaは決算資料の中で、数値による通期ガイダンスは示していないものの、Volume(生産・販売量)・Cash(資金繰り)・Profit(収益性)・Product(製品戦略)の4項目について定性的な方針を示している。
📋 アウトルックの要旨
- 各工場の最大稼働率達成を重視。納車・デプロイ量は需要動向・サプライチェーン・自社運用フリートへの配分判断に左右されるとの立場
- 製品ロードマップ・長期的な生産能力拡張(垂直統合含む)の資金を確保できる強固な財務基盤の維持を重視
- ハードウェア関連の利益に、今後AI・ソフトウェア・フリートベースの利益が加わっていく見通しを維持
- Tesla SemiとMegapack 3は2026年内の生産開始を維持。Optimus初期生産ラインはフレモント工場で設置中、2026年内の生産開始を見込む
- AIコンピュート・太陽光・電池材料・半導体製造への複数年インフラ投資が進行中
数値ガイダンスが示されていないこと自体は従来からのTeslaの開示スタイルであり目新しさはないが、今回は特に「収益性の改善は当面の投資フェーズを経た後」という時間軸の長さが強調された内容となっている。
8|主要トピック・戦略イベント
📋 Q2'26〜7月の主な取り組み
- Cybercabがギガファクトリー・テキサスで生産開始。7月には従業員向けの構内試乗も開始し、Robotaxiフリートへの投入に向けた前段階として位置付け
- Robotaxi:オースティンでの無人運行エリアを拡大、7月にマイアミ・オーランド・タンパで無人ライドを開始。米7大都市圏で展開中
- Model YLを7月に米国市場へ投入。他市場同様、好意的な顧客反応が出ている
- フレモント工場でModel S/Xの生産ラインを廃止し、Optimus向け第一世代生産ラインを設置中。初期生産分はOptimus Academyでの学習データ収集等に活用予定
- FSD(Supervised)の欧州展開:オランダ承認に続き、リトアニア・エストニア・デンマーク・ベルギーでも承認取得。対象国での累計走行距離は5,000万km超
- FSD v14 liteの提供開始(米国・韓国、AI3ハードウェア搭載車向け)
- 連邦EV税額控除(7,500ドル)の失効(2025年9月末)に伴い、自動車規制クレジット収入が構造的に急減
- エネルギー貯蔵事業でベンダー起因のセル問題に関連する保証費用が発生し、利益率を圧迫
9|株価反応
決算は米国時間7月22日の市場引け後に発表された。決算発表直前の株価は376〜379ドル前後で推移しており、年初来では約16〜18%の下落となっていた。売上高が市場予想を明確に上回った一方、調整後EPSが市場予想を35〜40%程度下回る大幅な未達となったことを受け、株価は時間外取引で2.5〜3%程度下落した。
市場では、記録的な納車台数という「量」の強さは決算発表前から既に開示済みであったこともあり、決算当日の焦点はもっぱら自動車粗利益率と収益性に集まっていた。結果として、規制クレジット収入の消失・AI関連費用の増加・株式報酬費用の拡大・エネルギー事業の保証関連費用といった複数の要因が重なり、利益率の悪化が市場予想を上回る規模で顕在化したことが株価下落につながったとみられる。なお、Teslaは直近でもQ2・Q3'25決算時にEPSが市場予想を下回った際にそれぞれ-3.56%、-3.45%の同日下落を記録しており、今回も同様のパターンが再現された格好だ。
一方で、営業キャッシュフローの伸びやFSDサブスクリプション・サービス事業の成長など、事業の「地力」を示す指標は総じて良好であり、今後のカンファレンスコールでの経営陣によるマージン・自律走行事業のコメント内容が、株価の方向性を左右する材料になるとみられる。
10|注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・報道から読み取れる留意点
① 記録的な納車増加(+25%)にもかかわらず営業利益率が1.4%まで低下しており、増収と収益性の乖離が今回の決算で最も特徴的な点である
② 連邦EV税額控除の失効に伴い自動車規制クレジット収入が構造的に消失(前年4.39億ドル→今期1.46億ドル)しており、今後も同項目の押し下げ効果が継続する可能性が高い
③ 設備投資が前年比+142%の57.9億ドルまで急増し、フリーキャッシュフローは2四半期ぶりのマイナス(△10.92億ドル)に転落している。Cybercab・Optimus・半導体製造など複数の大型投資が並行して進んでおり、当面この傾向が続く見込み
④ GAAP純利益にはSpaceX株式投資の評価益10.05億ドルという一過性の押し上げ要因が含まれており、これを除くとGAAPベースの実態収益はさらに弱かった可能性がある点に留意が必要
⑤ エネルギー貯蔵事業でベンダー起因のセル問題に関連する保証費用が発生しており、一時的な要因か構造的な品質問題かの見極めが今後の焦点となる
⑥ Robotaxi・Cybercab・Optimusなど自律走行・ロボティクス関連の複数事業が同時並行で投資フェーズにあり、収益化までの時間軸の長さが株価のバリュエーションに与える影響は引き続き大きい
総じて今回の決算は、「需要面の強さ」と「収益性の弱さ」が同時に示された内容だった。納車台数・売上高・サービス事業・FSDサブスクリプションなど成長を裏付ける指標は軒並み良好だった一方、規制クレジットの消失やAI・ロボティクス関連投資の拡大が利益率を大きく圧迫しており、当面は「増収だが利益率は投資フェーズを経て回復を待つ」という構図が続く可能性がある。次四半期以降は、自動車粗利益率の下げ止まりとRobotaxi・Cybercabの収益貢献が本格化するタイミングが焦点になりそうだ。
出典
- Tesla, Inc.「Q2 2026 Update」決算資料(2026年7月22日)
- Electrek「Tesla (TSLA) releases Q2 2026 financial results: record revenue, big profit miss」(2026年7月22日)|記事リンク
- Electrek「Tesla (TSLA) Q2 2026 earnings preview: strong deliveries, murky profits」(2026年7月21日)|記事リンク
- CNBC「Tesla (TSLA) Q2 2026 earnings report」(2026年7月22日)|記事リンク
- Drive Tesla Canada「Tesla beats revenue expectations but misses on earnings in Q2 2026」(2026年7月22日)|記事リンク
- Drive Tesla Canada「Tesla releases Q2 2026 earnings consensus after smashing Wall Street delivery expectations」|記事リンク
- FXStreet「Tesla misses earnings consensus by 39% in Q2, shares slide」(2026年7月22日)|記事リンク
- Stocks Down Under「Tesla (NASDAQ:TSLA) Stock Falls After Q2 Profit Miss Despite Record Revenue」(2026年7月22日)|記事リンク
- Alphastreet「Tesla Q2 FY26 earnings decline despite higher sales, miss estimates」(2026年7月22日)|記事リンク
- 24/7 Wall St.「Live: Will Tesla Crush Tonight's Q2 Earnings After Big Delivery Volume Beat?」(2026年7月22日)|記事リンク
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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