【Schwab決算】Q2売上71億ドル・調整後EPS1.62ドルで市場予想上振れ——過去最高益も株価は伸び悩み、通期見通しを上方修正
2026年7月22日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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The Charles Schwab Corporation(NYSE: SCHW)の2026年第2四半期決算は、純収益71.72億ドル(前年同期比+21%、過去最高)・GAAP EPS1.54ドル(同+43%、過去最高)・調整後EPS1.62ドル(同+42%、市場予想1.53〜1.55ドル程度を上回る)と、増収増益でコンセンサスを上回った。コア純新規資産は1,198億ドル(前年同期比+49%)で過去最高、うち6月単月は627億ドルと単月レコード。総顧客資産は13.08兆ドル(同+22%)、日次平均売買回数は1,190万件(同+57%)と、いずれも記録的な水準となった。会社は同日開催の「Summer Business Update」で通期2026年の収益成長率見通しを+17.5〜18.5%に上方修正している。決算内容自体は非常に強いが、株価は発表当日、事前の株価上昇(52週高値圏)を背景としたバリュエーション警戒感もあり、寄り前に一時1.5%超下落する場面もあるなど反応は限定的だった。
📋 目次
1|Charles Schwabとはどんな会社か
The Charles Schwab Corporation(NYSE: SCHW)は、米テキサス州ウェストレイクに本社を置く米大手金融サービス企業。証券ブローカレッジ、銀行、資産運用、カストディ、財務アドバイザリーサービスを個人投資家・独立系投資顧問(RIA)向けに提供する。事業セグメントは個人投資家向けの「Investor Services」と、独立系RIA向けの「Advisor Services」の2つで構成される。社長兼CEOはリック・ワースター(Rick Wurster)氏、マネージング・ディレクター兼CFOはマイク・ヴェルデスキ(Mike Verdeschi)氏。
総顧客資産13.08兆ドル、アクティブ証券口座3,980万件、銀行口座240万件、職域プラン参加者口座590万件を抱え、傘下のブローカー・ディーラーCharles Schwab & Co., Inc.(SIPC会員)や銀行子会社Charles Schwab Bank, SSB(FDIC会員)を通じて、投資信託・financial planning・退職プラン・カストディ/トレーディングサポート等、幅広い金融サービスをワンストップで提供している。
2|主要財務ハイライト(コンセンサス対比)
米国時間2026年7月21日寄り付き前、Schwabは2026年第2四半期(4〜6月期)決算を発表した。純収益・EPSともにアナリストコンセンサスを明確に上回る内容となった。
| 指標 | Q2'26実績 | コンセンサス | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 純収益 | 71.72億ドル($7,072M) | 約68.9億ドル | +21% |
| EPS(希薄化後・GAAP) | 1.54ドル | — | +43% |
| EPS(調整後) | 1.62ドル | 約1.53〜1.55ドル | +42% |
| 純利益(GAAP/調整後) | 28.00億ドル/29.30億ドル | — | +32%/+32% |
| 税前利益率(GAAP/調整後) | 51.9%/54.3% | — | 前年47.9%/50.1% |
| ROE(年率)/有形ROE | 25%/44% | — | 前年19%/35% |
純収益はQ1(64.82億ドル)比でも+9%と加速し、5四半期連続の増収増益となった。Zacksコンセンサス(1.53ドル)・Alphastreet集計コンセンサス(1.55ドル)のいずれに対しても、調整後EPS1.62ドルは明確な上振れとなっている。
※上表のコンセンサス数値はZacks Investment Research/Alphastreet集計に基づく。報道機関によって集計対象アナリスト数が異なるため、純収益予想は67.7億〜69.7億ドル程度の幅がある点に留意。
3|セグメント別・事業別の内訳
| 事業 | 顧客資産(Q2'26末) | 前年同期比 | Q2純新規資産 |
|---|---|---|---|
| Investor Services | 7.343兆ドル | +21% | 385億ドル |
| Advisor Services | 5.742兆ドル | +22% | 802億ドル(+89%) |
今四半期で最も際立ったのはAdvisor Services(独立系RIA向け)の伸びだ。純新規資産は前年同期比+89%と、Investor Services(+23%)の約4倍のペースで拡大しており、Schwabの成長ドライバーがリテール個人投資家からRIAチャネルへ明確にシフトしていることを示している。コア純新規資産は合計1,198億ドル(前年同期比+49%)に達し、6月単月では627億ドルの単月過去最高を記録、年率換算組織成長率は5.8%となった。
📊 その他の主要指標(Q2'26、前年同期比)
- 新規証券口座開設:138.8万件(+26%)
- 銀行貸出残高:670億ドル(6月末、+33%)
- マージンローン残高:1,651億ドル(前四半期比+30%)
- 日次平均売買回数:1,190万件(+57%、過去最高)
- 資産管理・運用手数料:18.25億ドル(+16%)
- トレーディング収益:12.15億ドル(+28%)
4|特別項目(非GAAP調整)の中身
Q2'26の調整項目は、取得無形資産の償却費および買収・統合関連費用、合計税前1.70億ドル。前年同期は取得無形資産償却のみで、買収・統合関連費用の計上はなかった。今回新たに発生した買収・統合関連費用は、Forge Global買収に伴う統合コストが主因とみられる。
| 調整項目 | Q2'26 | Q2'25 |
|---|---|---|
| 取得無形資産の償却 | 1.42億ドル | 1.28億ドル |
| 買収・統合関連費用 | 0.28億ドル | 0 |
| 税効果 | △0.40億ドル | △0.32億ドル |
| GAAP純利益 → 調整後純利益 | 28.00億ドル → 29.30億ドル | 21.26億ドル → 22.22億ドル |
GAAP EPS1.54ドルから調整後EPS1.62ドルへの差分(0.08ドル)は主に取得無形資産の償却によるもので、Q1'26(1.37ドル→1.43ドル、差分0.06ドル)と比べても構造は大きくは変わっていない。ハリバートン決算の特別クレジット(一過性の利益押し上げ)とは異なり、Schwabの非GAAP調整は継続的に発生する償却・統合費用が中心である点に留意したい。
5|四半期推移
| 四半期 | 純収益 | 税前利益率(GAAP) | EPS(GAAP/調整後) |
|---|---|---|---|
| Q2'25 | 58.51億ドル | 47.9% | 1.08/1.14 |
| Q3'25 | 61.35億ドル | 49.2% | 1.26/1.31 |
| Q4'25 | 63.36億ドル | 50.2% | 1.33/1.39 |
| Q1'26 | 64.82億ドル | 49.2% | 1.37/1.43 |
| Q2'26(今回) | 71.72億ドル | 51.9% | 1.54/1.62 |
5四半期連続で増収増益・利益率改善が続いており、Q2'26は純収益・EPS・税前利益率のいずれも直近5四半期で最高水準。加速感は前四半期比の伸び率にも表れており、収益性の改善ペースが鈍化する兆しは今のところ見られない。
6|キャッシュフロー・株主還元
| 項目 | Q2'26 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 自社株買い | 1,120万株/10.0億ドル | — |
| 四半期配当(1株当たり) | 0.32ドル | 0.27ドル(+19%) |
| 優先株の入替 | シリーズI(21億ドル)償還/シリーズL(15億ドル)発行 | — |
| Tier1レバレッジ比率(連結・速報値) | 8.7%(AOCI調整後6.8%) | 9.8%(同7.2%) |
| 現金及び現金同等物(期末) | 40.6億ドル | 32.2億ドル |
自社株買いと配当を合わせた株主還元を継続する一方、優先株の入替(シリーズI償還・シリーズL発行)でネット6億ドルの資本流出があった影響もあり、Tier1レバレッジ比率は前年同期の9.8%から8.7%へ低下している。会社は「事業成長の下支え」「配当性向レンジの維持」「機動的な資本還元」の3本柱からなる資本管理フレームワークを掲げており、比率低下は急拡大するバランスシート(総資産は前年同期比+13%の5,173億ドル)を支えるための想定内の動きと位置付けられる。
7|通期ガイダンス(Summer Business Update)
決算発表と同日、機関投資家向けイベント「Summer Business Update」を開催し、2026年通期の財務シナリオを1月のWinter Business Update・4月のInvestor Dayからさらに上方修正した。
| 前提 | Winter Business Update | 2026 Investor Day | Summer Business Update(今回) |
|---|---|---|---|
| Fed Funds金利(26年末・上限) | 3.25% | 3.75% | 4.00% |
| 株式市場(25年末比) | +6.5% | +10% | +13% |
| コアNNA成長率 | 約5% | 約5% | 約5% |
| FY26日次平均売買回数 | 約740万件 | 約870万件 | 約1,060万件 |
📋 更新後の通期シナリオ(要旨)
- 通期収益成長率:前年比+17.5〜18.5%
- 通期純金利マージン:3.00〜3.10%(4Q26は3.25〜3.30%を想定)
- 調整後費用成長率:前年比+9.5〜10.5%(うち出来高連動費用が約300bp、Forge連結効果が約100bp押し上げ)
- 調整後税前利益率:50%台前半のさらに上のレンジへ拡大見込み
- 中期目標:ミドルティーンズ(10%台半ば)のEPS成長を通期サイクルで目指す方針を維持
金利・株式市場前提の引き上げに加え、日次平均売買回数の想定も年初来の実績(1〜6月平均は既に1,000万件超)を反映して大幅に上方修正されており、ガイダンス自体が「上振れの実績を追認する形」で更新されている点は評価できる一方、前提の一段の上振れ余地は限定的になりつつあるとも言える。
8|主要トピック・戦略イベント
📋 1H26の主な取り組み
- Schwab Crypto™を開始し、ビットコイン・イーサリアムへの直接アクセスを個人投資家に提供。あわせて24/7クリプト先物取引も追加
- 生成AI搭載の新機能「Portfolio Insights」を投入。ポートフォリオの日次変動やS&P500構成銘柄の関連ニュースをナラティブ形式で提示
- 「Schwab Assistant v1.0」などAI活用ツールを社内外向けに展開し、開発者生産性を15〜20%向上
- Forge Globalを買収、Wealth.com・Paxosへの出資を実施し、プライベート投資・トラスト・デジタル資産領域を強化
- Schwab Teen Investor™口座、Structured Asset Line、超富裕層(UHNW)向けアドバイザーサービスなど新商品を投入
- フラクショナル取引、Schwab Wealth Advisory™拡充など既存プラットフォームの機能強化を継続
- U.S. Newsの「Best Investing Platform」を4年連続受賞、Forbes「World's Best Banks 2026」にも選出
- クライアント推奨度スコア(Promoter Score)はInvestor Servicesで+9pt、Advisor Servicesで+10pt(前年同期比)改善
9|株価反応
決算は米国時間7月21日の寄り付き前に発表された。純収益・EPSともにコンセンサスを明確に上回る内容だったにもかかわらず、SCHW株はプレマーケットで一時1.5%超下落する場面があったと報じられている。その後の通常取引時間中も方向感を欠く展開となり、複数の情報源で終値水準にはややばらつきがあるものの、おおむね決算発表前の水準(102ドル台後半)近辺〜やや下で推移した模様だ。
反応が限定的だった背景には、SCHW株が発表前まで52週高値圏(52週高値107.50ドル)で推移し、好決算がある程度株価に織り込まれていたことに加え、バリュエーション面への警戒感があったとみられる。一方で決算内容自体への評価は高く、JPモルガン(目標株価137ドルに引き上げ)、モルガン・スタンレー(133ドル)、UBS(122ドル)、ピパー・サンドラー(118ドル)など複数のアナリストが決算前後に目標株価を引き上げている。
52週レンジは83.96〜107.50ドル。決算内容と株価反応が一致しない典型的な「材料出尽くし」的値動きとなった点は、今後の株価動向を見る上で留意しておきたい。
※なお、当日の終値・出来高については情報源(Investing.com/Robinhood/Morningstarなど)によって数値にややばらつきがあり、本記事では概況としての記載にとどめている。
10|注視すべきポイント
⚠️ 決算資料・報道から読み取れる留意点
① GAAP費用は前年同期比+12%と増加基調が続いており、取引量拡大に伴う出来高連動費用や人件費の増加が収益成長の一部を相殺している
② Tier1レバレッジ比率は前年同期の9.8%から8.7%へ低下しており、バランスシート拡大のペースと資本水準のバランスが今後の焦点となる
③ 日次平均売買回数はQ2実績で1,190万件と記録的水準に達している一方、通期ガイダンスは年間約1,060万件を前提としており、下期にかけて取引活動が減速した場合の収益への影響は無視できない
④ マージンローン残高が前四半期比+30%と急拡大しており、金利環境の変化やリスク許容度の変化に対する感応度が高まっている
⑤ 発表前の株価上昇(52週高値圏)により、好決算にもかかわらず株価の反応が限定的だった点は、市場が既に高い期待を織り込んでいたことを示唆する
⑥ Fed Funds金利が通期シナリオの前提(26年末4.00%)から乖離した場合、純金利収益への影響は大きく、Summer Business Update資料(Select Annualized Revenue Sensitivities、6月30日時点)によれば、Fed Funds金利25bpの変動あたり年換算で約3,000万ドルの純金利収益感応度が開示されている
総じて今回の決算は、純収益・EPSともにコンセンサスを明確に上回り、通期ガイダンスも上方修正される「内容面では文句のつけようがない」決算だった。一方で株価はすでに高い期待を織り込んでおり、材料出尽くし的な反応にとどまった。取引活動・純金利マージンの高水準がどこまで持続するか、また資本比率の低下トレンドが今後どこで下げ止まるかが、次四半期以降の焦点になりそうだ。
出典
- The Charles Schwab Corporation「Schwab Reports Record Quarterly Revenue and Earnings」プレスリリース(2026年7月21日)
- The Charles Schwab Corporation「Summer Business Update」投資家向けプレゼンテーション(2026年7月21日)
- FX Leaders「Charles Schwab (NYSE: SCHW) Q2 Earnings Preview: Can Record Client Assets Drive Another Beat?」(2026年7月21日)|記事リンク
- StockStory「Charles Schwab (NYSE:SCHW) Beats Q2 CY2026 Sales Expectations」(2026年7月21日)|記事リンク
- Zacks Investment Research(The Globe and Mail配信)「Schwab Stock Slides Despite Q2 Earnings Beat on Robust Trading & NIR」(2026年7月21日)|記事リンク
- Investing.com「Schwab Q2 2026 slides: record results, significant growth runway ahead」(2026年7月21日)|記事リンク
- The Motley Fool「Schwab (SCHW) Q2 2026 Earnings Call Transcript」(2026年7月21日)|記事リンク
- Alphastreet「Charles Schwab (SCHW) Q2 2026 Preview: EPS Est. $1.55, Reports July 21」|記事リンク
- CNBC「SCHW Stock Price Quote」(アナリスト目標株価データ)|記事リンク
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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