【サウジアラムコ決算】調整後純利益334億ドル(約5.26兆円)で前年比+33%、ホルムズ海峡の供給混乱下でも増収増益 ギアリング比率は6.2%に上昇

2026年8月4日火曜日

企業決算

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【サウジアラムコ決算】調整後純利益334億ドル(約5.26兆円)で前年比+33%、ホルムズ海峡の供給混乱下でも増収増益 ギアリング比率は6.2%に上昇

【サウジアラムコ決算】調整後純利益334億ドル(約5.26兆円)で前年比+33%、ホルムズ海峡の供給混乱下でも増収増益 ギアリング比率は6.2%に上昇

2026年8月4日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab

令和8年熊本地震により、多くの尊い命が失われましたことに深く哀悼の意を表します。また、被災された皆様、そしてご家族・ご関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早く皆様が平穏な日常を取り戻せますよう、被災地の復旧・復興を心からお祈りいたします。

⏱ 30秒で読む結論

サウジアラムコの2026年4-6月期(Q2)は、調整後純利益334億ドル(約5.26兆円、YoY+33%)、純利益327億ドル(約5.15兆円、YoY+44%)と、ホルムズ海峡の供給混乱という地域的な混乱下でも増収増益を確保した。原油平均実現価格は108.1ドル/バレルとQ1(76.9ドル)から急騰し収益を押し上げた一方、フリーキャッシュフローはQ2で123億ドル(約1.93兆円)にとどまり、136億ドルの運転資本増加が重荷となった。ギアリング比率はQ1末の4.8%からQ2末6.2%へ上昇。取締役会はQ2基礎配当219億ドルを承認(Q3支払い)。PRefChem(対PETRONAS)売却などポートフォリオ最適化も進行中。

📄 一次資料:Saudi Aramco「Second Quarter and Half Year Interim Report 2026」 ※円換算は1ドル=157.6円(2026年8月4日時点の実勢レートを参考にした概算値)を使用

1|サウジアラムコとはどんな会社か

サウジアラビア国営石油会社(Saudi Arabian Oil Company、Tadawul:2222)は、時価総額で世界最大級の企業の一つであり、原油・天然ガス・NGLの探鉱・開発・生産を行うUpstream部門と、精製・石化製造・販売・物流を担うDownstream部門の2事業セグメントを持つ。本社はダーラン。2019年にIPOを実施し、サウジ政府(PIF傘下含む)が現在も約81.5%を直接保有する筆頭株主。会長兼CEOはAmin H. Nasser氏、CFOはZiad T. Al-Murshed氏。最大持続生産能力(MSC)は日量1,200万バレルを維持する方針を掲げている。

2|主要財務ハイライト(アナリスト予想との比較)

2026年8月4日、サウジアラムコは2026年4-6月期(Q2)の確定決算を発表した。地域の地政学的混乱による供給網の不確実性が高まるなかでも、原油価格の急騰を追い風に増収増益を確保した。

指標 '26 Q2 '26 Q1 '25 Q2 QoQ/YoY
売上高+その他収入 1,391億ドル
(約21.93兆円)
1,246億ドル
(約19.63兆円)
1,086億ドル
(約17.11兆円)
+11.6%/+28.1%
純利益(連結)
うち株主帰属分
327億ドル
(約5.15兆円)
324億ドル
325億ドル
(約5.13兆円)
227億ドル
(約3.57兆円)
+0.5%/+44.2%
調整後純利益 334億ドル
(約5.26兆円)
338億ドル
(約5.33兆円)
252億ドル
(約3.97兆円)
▲1.2%/+32.5%
フリーキャッシュフロー 123億ドル
(約1.93兆円)
186億ドル
(約2.94兆円)
152億ドル
(約2.40兆円)
▲34.2%/▲19.5%
設備投資 132億ドル
(約2.08兆円)
121億ドル
(約1.91兆円)
123億ドル
(約1.94兆円)
+9.0%/+7.0%
原油平均実現価格 108.1ドル/bbl 76.9ドル/bbl 66.7ドル/bbl +40.6%/+62.1%
ギアリング比率 6.2% 4.8% 6.5% +1.4pt/▲0.3pt
ROACE(12ヶ月ローリング) 22.1% 20.9% 20.3% +1.2pt/+1.8pt

📊 アナリスト予想との比較

決算発表前の7月21日時点でAlJazira Capitalが示していた予想では、株主帰属純利益はYoY+39.7%のSAR119.6億(約31.85億ドル)、売上高はSAR458.5億、原油平均実現価格は99.6ドル/バレル、総炭化水素生産量は10.0 mmboedとされていた。

実績の株主帰属純利益はSAR121,506百万(約324.0億ドル)・YoY+41.9%となり、予想を約1.6%上回った。売上高(Revenue単体、SAR450,772百万)は予想をやや下回った(約▲1.7%)ものの、原油平均実現価格の実績(108.1ドル)は予想(99.6ドル)を大きく上回り(+8.5%)、価格面での上振れが減収要因を補って純利益の予想超過につながった格好となった。一方、総炭化水素生産量の実績(9.463 mmboed)は予想(10.0 mmboed)を下回っており(約▲5.4%)、地政学リスクによる供給混乱が生産数量面では想定以上の下押し要因になったとみられる。

3|事業部門別動向(Upstream/Downstream)

  • Upstream(上流):調整後EBIT509億ドル(約8.03兆円、QoQ▲5.7%/YoY+14.0%)、設備投資103億ドル(約1.63兆円、QoQ+4.9%/YoY+11.9%)。総炭化水素生産量は9.5 mmboed(実績9.463 mmboed)とQ1(12.6 mmboed)から大幅減少しており、地域の供給混乱の影響がうかがえる。Zuluf原油増産プロジェクト(2026年完成予定、日量60万バレル処理能力)、Dammam開発フェーズ2(2027年オンストリーム予定、日量5万バレル増産)が進行中で、最大持続生産能力(MSC)12.0 mmbpdの維持を目指す。
  • Downstream(下流):調整後EBIT約62億ドル(約0.98兆円、QoQ+15.4%/YoY+94.0%)、設備投資25億ドル(約0.39兆円、QoQ+24.6%/YoY▲11.3%)。供給信頼性は98.4%と地域的な混乱下でも高水準を維持。精製マージンの改善が増益に寄与した。PRefChem(マレーシア)持分売却やTasʼhelat Marketing Company(TMC)の完全子会社化などポートフォリオ再編を推進している。

4|特殊要因・重要トピックス

  • 地政学リスクとホルムズ海峡混乱:Q2中、地域の地政学的緊張により供給網に混乱が生じたが、東西パイプラインの活用や国内外の備蓄・輸出インフラにより操業を継続。7月にも同社・関連会社の施設が攻撃対象となったが、6月末時点で財務・業績への重大な影響はないと会社側は評価している。
  • PRefChem売却:5月、マレーシアのPRefChem(Pengerang Refining/Petrochemical)持分全てをPETRONASへ売却する契約に署名。下流ポートフォリオの最適化の一環で、下期中の完了を見込む。
  • SABIC関連の欧州事業売却:SABIC(Aramco子会社)が欧州石化事業(AEQUITA向け)およびエンジニアリング樹脂事業(Mutares向け)の売却を進行中。7月にはETP事業の規制承認が完了し、Q3中のクロージングを見込む。
  • 自己株式取得:3月に取締役会が最大3.5億株・総額最大30.1億ドルの自社株買いプログラムを承認。Q2末時点で8,380万株を取得済み(SAR22.97億、1ドル=3.75リヤルの資料換算レートで約6.1億ドル)。
  • 社債発行:2月、GMTNプログラムの下で40億ドル相当の4トランシェ国際債を発行(3年〜30年債、クーポン4.0%〜6.0%)。

5|財務体質・キャッシュフロー

Q2の営業活動によるキャッシュフローは254億ドル(約4.01兆円)。設備投資控除後のフリーキャッシュフローは123億ドル(約1.93兆円)にとどまり、これは136億ドルの運転資本増加(政府への未収金の変動などが主因)が主因となった。ギアリング比率はQ1末の4.8%からQ2末6.2%へ上昇したが、これは主に配当支払い・設備投資によるもので、PRefChem負債の保有目的資産への振替による借入金減少で一部相殺された。

現金及び現金同等物は446億ドル(約7.03兆円)。総資産7,145億ドル(約112.60兆円)、資本合計(非支配持分含む)4,789億ドル(約75.47兆円、うち株主帰属分は4,185億ドル)。純負債(Net debt)は319億ドル(約5.03兆円)で、Q1末の237億ドルから増加した。

6|主要プロジェクト・今後の見通し

  • ガス増産計画:Fadhiliガスプラント拡張は2027年完成予定(生ガス処理能力+15億scfd追加)。Jafurahガス開発フェーズ2はRiyas NGL分留プラント建設を含め2027年完成目標で、2030年までにサステナブル販売ガス量20億scfd達成を目指す。販売ガス生産能力を2030年までに2021年比約80%拡大する方針を継続している。
  • 原油増産計画:Zuluf原油増産(2026年)、Dammam開発フェーズ2(2027年、+日量5万バレル)を軸に、MSC12.0 mmbpdの維持を図る。
  • 技術・AI投資:Pasqalとの提携による量子コンピューティング活用(港湾物流最適化・CO2貯留最適化等)、crude-to-chemicals一段階転換技術のパイロット運転も進行中。
  • なお、サウジアラムコは四半期ごとの業績ガイダンス(売上・EPS等の数値目標)を正式には開示していない。

7|株価反応

決算発表・決算説明会は2026年8月4日(リヤド時間10時/ロンドン時間8時/NY時間3時)に実施されたため、本記事執筆時点では決算を受けた具体的な株価反応データはまだ確定していない。参考情報として、決算発表前(7月29日時点)のTadawul株価は26.28サウジリヤル前後で推移しており、52週レンジは23.04〜27.96リヤル。配当利回りは5%前後とガルフ地域では際立って高く、インカム投資家からの底堅い需要がある一方、7月末にはフーシ派による紅海・バブ・エル・マンデブ海峡の「海上封鎖」宣言など地政学リスクが重荷となる局面も見られた。

決算前の相場環境としては、株主帰属純利益のYoY成長率+41.9%は市場予想(AlJazira Capitalの+39.7%)をやや上回る内容であり、原油平均実現価格の大幅な上振れも好感材料となり得る一方、総炭化水素生産量の予想未達や、136億ドルに達した運転資本増加によるフリーキャッシュフローの落ち込みが株価の重荷となる可能性もある。実際の株価反応については、確定後に改めて追記・確認したい。

8|リスク・注視すべきポイント

⚠️ 決算資料・関連報道から読み取れる留意点

①ホルムズ海峡・紅海など地域シーレーンの供給混乱が長期化・再燃した場合の生産・輸出への影響
②運転資本の変動によるフリーキャッシュフローの振れ幅(Q2は136億ドルのworking capital buildが重荷に)
③ギアリング比率の上昇トレンドが今後も続くか(4.8%→6.2%)
④原油価格が下落局面に転じた場合の減益インパクト(Q1→Q2で原油価格は76.9→108.1ドルと急伸したため、逆方向のリスクも意識すべき)
⑤PRefChem・SABIC欧州事業など進行中の資産売却の完了時期・条件確定リスク
⑥同社施設への攻撃など地政学リスクの再燃可能性(6月末時点では「重大な影響なし」との評価だが、7月以降も継続的な監視対象)

出典

  • Saudi Aramco「Second Quarter and Half Year Interim Report 2026」(2026年8月3日承認・公表)
  • Saudi Aramco「Q2 2026 Results Press Release」(2026年8月4日)
  •  アナリスト予想:AlJazira Capital「Aramco's profit forecast to surge 40% to $32bln in Q2 2026」(Reuters/Zawya、2026年7月21日付)
  •  市場・株価関連:The National「Aramco posts 42% jump in second-quarter profit despite supply disruptions」(2026年8月4日)、Investing.com(TADAWUL:2222)
  •  円換算レート:1ドル=157.6円(2026年8月4日時点の実勢レートを参考にした概算値)

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god

免責事項:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。円換算額は参考レートによる概算であり、実際の取引レートとは異なる場合があります。決算発表当日の株価反応については執筆時点で確定していない情報を含みます。

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