【レーザーテック決算】26年6月期 経常利益9.7%減の1,078億95百万円で3期ぶり減益、コンセンサスをわずかに下回る~27年6月期は最高益更新目指し1,250億円へ、1株351円へ22円増配
2026年8月6日|ぱぶちゃんのファンダメンタルlab
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レーザーテック(6920)の2026年6月期本決算(日本基準・連結)は、売上高2,304億85百万円(前期比△8.3%)、営業利益1,052億59百万円(△14.3%)、経常利益1,078億95百万円(△9.7%)、純利益774億85百万円(△8.5%)で3期ぶりの減益。経常利益はIFISコンセンサス(1,094億70百万円)を1.4%下回った。半導体関連装置は前期の高水準の反動で減収となった一方、サービスは+36.5%と大幅増収。27年6月期は売上2,900億円(+25.8%)、営業利益1,250億円(+18.8%)、純利益900億円(+16.2%)と2期ぶりの最高益更新を予想するが、この経常利益予想もIFISコンセンサスを11.4%下回る水準にとどまる。配当は期末197円(通期329円、前期同額)、次期は22円増配の351円を予定している。
📋 目次
1|レーザーテックとはどんな会社か
レーザーテック株式会社(東証プライム6920、神奈川県横浜市)は、光応用技術を用いた半導体関連の検査・測定装置を主力とするメーカー。代表取締役社長執行役員は仙洞田哲也氏。半導体ウエハーの回路パターンの原版となるフォトマスクやマスクブランクスの欠陥検査装置(ACTIS、MATRICS)を主力とし、特に先端半導体のEUV露光工程に不可欠な検査装置で高いシェアを持つ。事業は単一セグメント(検査・測定装置の設計・製造・販売およびサービス)として開示されており、製造は当社が担い、販売・サービスは北米・欧州・韓国・台湾・中国・シンガポール/マレーシアの連結子会社5社を通じて展開している。2030年6月期を最終年度とする中期経営計画では、売上高4,000~5,000億円、営業利益率35%以上を財務目標に掲げている。
2|主要財務ハイライト(コンセンサス対比)
2026年8月6日、レーザーテックは2026年6月期(2025年7月~2026年6月)決算を発表した。
| 指標 | 2026年6月期 | 2025年6月期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,304億85百万円 | 2,514億77百万円 | △8.3% |
| 営業利益 | 1,052億59百万円 | 1,228億43百万円 | △14.3% |
| 経常利益 | 1,078億95百万円 | 1,194億44百万円 | △9.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 774億85百万円 | 846億52百万円 | △8.5% |
| 1株当たり当期純利益 | 862円99銭 | 938円61銭 | - |
報道によれば前期まで11年連続で最高益を更新していたが(決算短信本体には明記なし)、今期は3期ぶりの減益となった。売上高研究開発費比率は7.1%(前期4.6%)、営業利益率は45.7%(前期48.8%)に低下している。もっとも自己資本比率は73.3%(前期63.7%)、ROEは33.9%、ROAは23.3%と高水準を維持しており、有利子負債はゼロ。
📌 事前市場コンセンサスとの比較
アイフィス(IFIS)コンセンサスによれば、2026年6月期の経常利益は1,094億70百万円が見込まれていた。実績の1,078億95百万円はこれを1.4%下回る水準にとどまった。前期比では大幅な減益ではあるものの、絶対水準としては会社の期初計画(営業利益1,000億円)は上回っており、事前予想との比較では小幅な未達という結果となった。
3|品目別・地域別動向
品目別売上高は、半導体関連装置が1,680億90百万円(前期比△17.2%)と大きく減収した一方、サービスは586億46百万円(同+36.5%)と伸長し、四半期ベース(Q4)では過去最高の165億円を記録した。その他製品は37億47百万円(同△32.5%)。受注高は2,375億4百万円(同+125.7%)と大幅に回復し、マスク欠陥検査装置のACTIS・MATRICSが牽引した。会社は期中(2026年5月開催の第3四半期決算時点)に受注高見通しを1,700億~2,200億円から2,000億~2,400億円へ上方修正しており、実績はそのレンジの上限に近い水準で着地した。受注残高は3,229億64百万円(前期末比+70億円)で、期末為替レート162円/㌦(期首144円/㌦の円安)による押し上げも寄与している。
地域別売上高(通期)では、日本281億27百万円(前期比+36.0%)、韓国660億75百万円(同+23.2%)、台湾458億54百万円(同△29.7%)、その他アジア310億56百万円(同+31.5%)、米国516億10百万円(同△24.0%)、欧州77億59百万円(同△61.8%)となり、地域間で明暗が分かれた。棚卸資産は1,677億92百万円(前期末比微減)で高水準の在庫を維持している。
4|特殊要因・重要トピックス
- 自己株式取得:当連結会計年度中に自己株式120億3百万円を取得。この結果、自己株式は前期末9億76百万円から129億77百万円へ大幅に増加し、財務活動によるキャッシュ・フローの主な減少要因となった。
- 役員人事(2026年8月6日発表):2026年9月25日開催予定の第64期定時株主総会に付議のうえ、岡林理氏が取締役・会長執行役員、楠瀬治彦氏が取締役・副会長執行役員として再任される予定。田島敦氏(取締役・常務執行役員)は同株主総会終結をもって退任予定。
- 研究開発費の積み増し:研究開発費は162億92百万円(前期比+39.5%)と大幅増加し、会社の前回予想(130億円)を32億円上回った。1.4nmノード相当の技術開発の進行が背景にある。
- 従業員数の増加:グループ従業員数は1,335名(前期末1,163名から+172名)に増加。うち海外従業員が801名と全体の6割を占め、海外拠点の増強が続いている。
- 表示方法の変更:連結キャッシュ・フロー計算書において、従来「財務活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めていた「自己株式の取得による支出」を、金額的重要性が増したため当連結会計年度より独立掲記に変更。前期分も組み替えて表示している。
5|通期業績予想(コンセンサス対比)
| 項目 | 2026年6月期実績 | 2027年6月期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,304億85百万円 | 2,900億円 | +25.8% |
| 営業利益 | 1,052億59百万円 | 1,250億円 | +18.8% |
| 経常利益 | 1,078億95百万円 | 1,250億円 | +15.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 774億85百万円 | 900億円 | +16.2% |
| 為替レート(米ドル) | 150円/米ドル | 150円/米ドル | - |
27年6月期は売上高・営業利益・純利益いずれも過去最高を更新する見通しで、経常利益は2期ぶりの最高益となる。営業利益の増減要因(会社試算)は、粗利増が+249億円と押し上げに寄与する一方、研究開発費増(予想200億円、前期比+22.8%)で△37億円、その他販管費増で△15億円と押し下げ要因になり、差引でFY2026の1,052億円からFY2027は1,250億円へ197億円の増益を見込む。半導体デバイスメーカーのAI関連投資拡大や1.4nmノード相当の技術開発の進行を背景に、27年6月期の受注高見通しは3,000億~4,000億円と、過去最高(FY2022の3,237億円)を超える水準も視野に入れている。
📌 事前市場コンセンサスとの比較(通期予想)
27年6月期の会社側経常利益予想(1,250億円)は、IFISコンセンサスを11.4%下回る水準にとどまっている。増益率(+15.9%)自体はポジティブな内容だが、市場が織り込んでいた期待値には届いておらず、期初計画としてはやや保守的との見方もできる。会社側の期初予想は期中に上方修正されてきた実績があり(26年6月期も受注高見通しを2度にわたり上方修正)、今後の四半期進捗で上振れ余地が意識される可能性がある。
6|配当方針・配当予想
配当方針は連結配当性向35%を目安とし、業績に応じた弾力的な運用を基本とする(2015年6月期より継続)。2026年6月期の配当は期末1株当たり197円(中間配当なし、通期329円で前期と同額)とし、連結配当性向は38.1%となる見込み。2027年6月期は中間140円・期末211円の合計351円(前期比+22円)を予定しており、配当金総額は314億60百万円、配当性向は35.0%を見込む。
7|財政状態・キャッシュ・フロー
総資産は3,366億50百万円(前期末比+70億48百万円)、純資産は2,468億50百万円、自己資本比率は73.3%(前期末63.7%)に上昇した。現金及び現金同等物の期末残高は915億3百万円(前期末比+54億16百万円)。有利子負債はなく、財務基盤は引き続き強固。
営業活動によるキャッシュ・フローは485億40百万円の収入(前期比△37.7%)で、法人税等の支払額増加(434億51百万円)や前受金の減少(211億20百万円)が押し下げ要因となった。投資活動によるキャッシュ・フローは18億83百万円の支出(前期比△22.2%)。財務活動によるキャッシュ・フローは431億81百万円の支出(前期比+75.8%)で、配当金の支払額311億31百万円に加え、自己株式の取得による支出120億3百万円が主因。
8|リスク・注視すべきポイント
⚠️ 決算資料から読み取れる留意点
①26年6月期は前期まで11年連続で更新していた最高益が途切れ、3期ぶりの減益となった点
②26年6月期の経常利益はIFISコンセンサスをわずかに下回っており、27年6月期の経常利益予想もコンセンサスを11.4%下回る水準にとどまっている点
③地域別売上高は米国(△24.0%)・台湾(△29.7%)・欧州(△61.8%)で大きく減収しており、顧客の設備投資動向や検収時期の変動が業績のブレ要因となりやすい点
④棚卸資産(仕掛品中心)は1,677億92百万円と高水準で推移しており、需要変動時の在庫評価損リスクに注視が必要な点
⑤研究開発費は27年6月期予想で200億円(前期比+22.8%)と積み増しが続いており、営業利益率の押し下げ要因となっている点
⑥自己株式取得(26年6月期実績120億3百万円)の今後の実施状況と資本政策の方向性
⑦為替感応度が高く、27年6月期の想定為替レート(150円/米ドル)から円高方向に振れた場合の下振れリスク
出典
- レーザーテック株式会社「2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月6日公表)
- 同社「役員人事に関するお知らせ」(2026年8月6日公表)
- 同社「2026年(2025年7月~2026年6月)レーザーテック決算説明会資料」(2026年8月6日公表)
- 同社「Fact Sheet 2026」
- Yahoo!ファイナンス「【決算速報】レーザーテック、経常9.7%減益。アナリスト予想を下回る」(アイフィス株予報)(2026年8月6日)
- 楽天証券トウシル「レーザーテック:26年6月期予想受注高レンジを上方修正」(2026年5月8日)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年/ぱぶちゃんのファンダメンタルlabを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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